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高次脳機能障害

成人看護学 / 脳・神経

解説

高次脳機能障害とは、脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)や外傷性脳損傷、低酸素脳症などによって脳が損傷を受け、認知機能が低下した状態をいいます。今回は高次脳機能障害について解説します。

高次脳機能障害の定義と原因

高次脳機能障害は、運動麻痺や感覚障害だけでは説明できない、注意・記憶・思考・言語などの認知機能の障害を指します。原因疾患としては脳血管障害が最も多く、次いで頭部外傷、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などがあげられます。外見からは障害がわかりにくく、本人や家族が気づかないまま社会生活で困難を抱えることが多い点が特徴です。

主な症状

代表的な症状には、集中が続かずミスが多くなる注意障害、新しいことを覚えられない・思い出せない記憶障害、計画や段取りが立てられない遂行機能障害、怒りっぽさや依存性・抑制低下を示す社会的行動障害があります。これらに加えて、失語・失行・失認・半側空間無視・地誌的障害(よく知った道で迷う)など、損傷部位に応じた症状が現れます。

失行の分類

失行とは、運動麻痺・感覚障害・協調運動障害・意識障害がないにもかかわらず、目的をもった動作ができない状態です。多くは左半球の頭頂葉病変で生じます。代表的な分類として、道具の使用方法そのものがわからなくなる観念失行(買い物かごの使い方がわからないなど)と、口頭で命令された動作が再現できない観念運動失行があります。

失語の分類とコミュニケーション支援

失語は「聞く・話す・読む・書く」の障害で、損傷部位により型が異なります。左前頭葉ブローカ野の障害では理解は比較的保たれるが発語が努力性で困難となるブローカ失語(運動性失語)、左側頭葉ウェルニッケ野の障害では発語は流暢だが意味が通じず理解も悪い**ウェルニッケ失語(感覚性失語)**となります。両者がそろえば全失語、復唱だけが障害される伝導失語もあります。

コミュニケーションの工夫

失語のある方への支援では、はい・いいえで答えられる閉じた質問を用い、絵カードやジェスチャー、文字を活用して伝達手段を補います。ゆっくり短く話しかけ、発語を急かさず十分に待つことが大切です。専門的評価と訓練のため**言語聴覚士(ST)**との連携が欠かせません。

半側空間無視の特徴と対応

半側空間無視は右半球(特に頭頂葉)損傷で左側を見落とす症状で、本人に自覚がないことが特徴です。食事の左側を残す、左側の人や物にぶつかる、文章の左側を読み飛ばすなどの行動として現れます。看護では、食器をはじめ右側に置き完食したら左側に移すなど気づきを促す工夫を行い、左側からの声かけも効果的です。安全面では転倒・転落予防が重要で、ナースコールは健側に設置し、離床センサーやベッド柵を整え、移乗動作の手順をスタッフ間で統一します。

家族支援とチーム連携

家族は変わってしまった本人への接し方に戸惑うことが多いため、看護師が同席して実際のコミュニケーションを見せ、うまくいった成功体験を共有して在宅での関わりにつなげます。リハビリは作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・理学療法士(PT)・臨床心理士などの多職種チームで取り組みます。なお、急性期に脳浮腫や頭蓋内圧亢進があれば、浸透圧利尿薬のマンニトールなどが用いられます。

まとめ

高次脳機能障害は原因や症状が多彩で、外見からは見えにくい障害です。症状の正しい理解と本人の安全確保、家族支援、そして多職種連携によるリハビリテーションが、社会復帰を支える鍵となります。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    高次脳機能障害は、脳血管障害や外傷性脳損傷、低酸素脳症などによりが低下した状態をいう。

  2. 2.

    計画や段取りを立てて行動することが困難になる症状をという。

  3. 3.

    運動麻痺や感覚障害がないのに、道具の使い方そのものがわからなくなる失行をという。

  4. 4.

    左前頭葉のブローカ野の障害により、理解は保たれるが発語が困難になる失語を(運動性失語)という。

  5. 5.

    左側頭葉のウェルニッケ野の障害により、発語は流暢だが意味が通じず理解も悪い失語を(感覚性失語)という。

  6. 6.

    失語のある患者には、はい・いいえで答えられるを用い、絵カードやジェスチャーを併用するとよい。

  7. 7.

    右半球(特に頭頂葉)の損傷により左側を認識できなくなる症状をといい、本人に自覚がないことが多い。

  8. 8.

    半側空間無視の患者では、転倒予防のためナースコールはに設置する。

  9. 9.

    失語のリハビリテーションを担う専門職は(ST)である。

  10. 10.

    脳浮腫や頭蓋内圧亢進に対しては、浸透圧利尿薬であるが用いられる。

高次脳機能障害」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。