抗がん薬投与の看護!副作用と闘うための実践知識
看護師国家試験 第106回 午前 第49問 / 成人看護学 / がん看護
国試問題にチャレンジ
点滴静脈内注射によって抗癌薬を投与している患者の看護で適切なのはどれか。
- 1.悪心は薬で緩和する。
- 2.留置針は原則として手背に挿入する。
- 3.血管痛がある場合は直ちに留置針を差し替える。
- 4.2回目以降の投与では過敏症の症状の確認は必要ない。
対話形式の解説
博士
今日は抗がん薬点滴中の看護じゃ。正解はどれか考えてみよう。
サクラ
えーと、悪心は薬で緩和する…当たり前に感じますけど、これが正解ですか?
博士
その通り、1番が正解じゃ。抗がん薬の悪心・嘔吐は頻度が非常に高く、放置するとQOLが低下し治療継続が困難になる。
サクラ
悪心のメカニズムって何なんですか?
博士
大きく2つ。1つは化学受容器引金帯(CTZ)の刺激。これは脳の延髄にあって、血液中の抗がん薬を感知して嘔吐中枢を刺激する。もう1つは消化管粘膜障害によるセロトニン放出じゃ。
サクラ
だからセロトニン受容体を抑える薬が効くんですね。
博士
その通り!5-HT3受容体拮抗薬のグラニセトロンやオンダンセトロンが代表じゃ。他にNK1受容体拮抗薬のアプレピタント、ステロイドのデキサメタゾンを多剤併用する。
サクラ
投与前から予防的に使うんですか?
博士
そうじゃ。抗がん薬を催吐性リスクで4段階(high・moderate・low・minimal)に分類し、それぞれに応じた制吐レジメンを予防投与する。
サクラ
選択肢2の「留置針は原則手背に」はなぜ違うんですか?
博士
抗がん薬は血管外漏出すると壊死や潰瘍を起こす薬剤もある。手背は関節運動の影響を受けやすく、固定も困難じゃから漏出リスクが高い。
サクラ
じゃあどこに挿入するんですか?
博士
前腕の太くまっすぐな静脈が第一選択。関節部位(肘窩・手首)や古いルート、同一部位への反復穿刺は避ける。24時間以内の新しいルートが推奨じゃ。
サクラ
選択肢3の血管痛はどうなんですか?
博士
抗がん薬のpHや浸透圧、血管刺激性により血管痛は起こりうる。でも直ちに差し替えるのは不適切。まず逆血確認、刺入部の腫脹・発赤・漏出の観察をして、原因を確認するのじゃ。
サクラ
漏出していなければ?
博士
温罨法で血管を拡張させて緩和を図ったり、医師指示で薬剤の希釈・速度調整をしたりする。明らかな漏出や激しい痛みがあれば直ちに中止じゃ。
サクラ
選択肢4の「2回目以降は過敏症の確認不要」はありえないですよね。
博士
その通り!むしろアレルギーは2回目以降で発現することが多い。パクリタキセル、白金製剤、抗体医薬などは繰り返し投与で過敏反応が出やすい。
サクラ
初回は大丈夫でも油断できないんですね。
博士
そうじゃ。毎回投与時にバイタル監視、アナフィラキシー対応薬の準備(アドレナリン、ステロイド、抗ヒスタミン薬)を忘れずに。
サクラ
抗がん薬の看護って副作用対策が中心ですね。
博士
その通り。加えて骨髄抑制によるnadir期の感染予防、口腔ケア、食事工夫、患者教育など多岐にわたる。
サクラ
外来化学療法も増えてますよね。
博士
ここ20年で外来化療室が大きく発展した。セルフケア指導と緊急時連絡体制の確立が不可欠じゃ。患者さんが日常生活を保ちながら治療できる看護支援が重要になる。
サクラ
治療中のQOLと治療効果の両立ですね。
POINT
抗がん薬点滴中の看護では、悪心・嘔吐は制吐薬(5-HT3拮抗薬、NK1拮抗薬、ステロイドなど)で予防的・治療的に緩和するのが標準です。留置針は血管外漏出を避けるため前腕の太くまっすぐな静脈を選択し、手背や関節部位は避けます。血管痛は直ちに差し替えず、漏出の有無を確認しながら温罨法などで緩和を試みます。過敏症は2回目以降にも発現するため毎回観察が必要です。看護師は副作用への予防・早期発見・対処を通じて、患者のQOLと治療継続を支える要となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:点滴静脈内注射によって抗癌薬を投与している患者の看護で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。抗がん薬の副作用として悪心・嘔吐は頻度が高く、化学受容器引金帯(CTZ)の刺激や消化管粘膜障害によって生じる。症状の放置は食事摂取量低下・脱水・QOL低下・治療継続困難を招くため、5-HT3受容体拮抗薬(グラニセトロンなど)、NK1受容体拮抗薬(アプレピタント)、ステロイド(デキサメタゾン)などの制吐薬を、抗がん薬の催吐性リスクに応じて予防的に使用する。制吐療法は国際ガイドラインでも標準治療であり、「悪心は薬で緩和する」が適切な看護となる。
選択肢考察
-
○ 1. 悪心は薬で緩和する。
制吐薬を抗がん薬の催吐性リスクに応じて予防的・症状に応じて追加投与する。5-HT3拮抗薬、NK1拮抗薬、ステロイドなど多剤併用が標準。患者のQOLと治療継続のため必須のケアである。
-
× 2. 留置針は原則として手背に挿入する。
抗がん薬は血管外漏出時の皮膚障害リスクが高いため、関節運動の影響を受けやすい手背や肘窩は避け、前腕の太くまっすぐな静脈を選択するのが原則。手背は最終手段。
-
× 3. 血管痛がある場合は直ちに留置針を差し替える。
抗がん薬のpHや浸透圧、血管刺激性により血管痛が生じることがあるが、直ちに差し替えるのではなく、逆血確認、刺入部の腫脹・発赤・漏出の観察を行い、必要に応じて温罨法で緩和する。明らかな漏出を疑う場合は直ちに中止する。
-
× 4. 2回目以降の投与では過敏症の症状の確認は必要ない。
薬剤アレルギーは2回目以降の曝露でむしろ発現することが多く、パクリタキセルや白金製剤など繰り返し投与で過敏反応が出やすい薬剤もある。毎回投与時に過敏症の観察が必須。
抗がん薬投与の看護で重要なポイントは、(1)血管外漏出(extravasation)予防:前腕の太く直線的な静脈を選択、24時間以内の新しいルートを使用、定期的な逆血確認と刺入部観察、(2)催吐性リスクに応じた制吐療法:high、moderate、low、minimal emeticに分類し、投与前から制吐薬を予防投与、(3)過敏反応への備え:抗体医薬(リツキシマブ、セツキシマブなど)やパクリタキセルでは初回に限らず投与中のバイタル監視、アナフィラキシー対応薬の準備、(4)感染・出血リスクへのケア:骨髄抑制によるnadir期の感染予防、口腔ケアなど。血管外漏出時は直ちに投与中止し、薬剤ごとのプロトコルに従って対応する。
抗がん薬投与中の看護における副作用対策(悪心嘔吐、血管外漏出、血管痛、過敏症)を総合的に理解しているかを問う問題。
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