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化学療法中のセルフモニタリング

看護師国家試験 第108回 午前 第95問 / 成人看護学 / がん看護

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第95問

次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫38歳と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌(breast cancer)の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。 Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。 身体所見:体温36.8°C、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%。 検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、Ht37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35%)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP0.3mg/dL。 2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。

  1. 1.脈拍数
  2. 2.体温
  3. 3.血圧
  4. 4.体重

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは2サイクル目の治療に来院したのじゃ。検査所見を見ると白血球2,300/μL、好中球55%じゃな。

サクラ サクラ

好中球の絶対数を計算すると…2300×0.55で約1,265/μLですね。

博士 博士

そうじゃ。これは骨髄抑制の状態で、感染リスクが高まっておる。

サクラ サクラ

セルフモニタリングの最優先項目は何ですか?

博士 博士

正解は選択肢2の体温じゃ。感染の最も早い徴候は発熱じゃからのう。

サクラ サクラ

好中球減少下の発熱は特別なんですか?

博士 博士

『発熱性好中球減少症(FN)』と呼ばれ、緊急対応が必要な重篤病態じゃ。定義は好中球500/μL未満か1,000/μL未満で48時間内に500/μL未満になる見込み、かつ腋窩体温37.5℃以上じゃ。

サクラ サクラ

37.5℃というのが受診の目安なんですね。

博士 博士

その通り。在宅では毎日1〜2回の検温と、咽頭痛・排尿時痛・咳嗽・下痢などの局所症状もセットで観察するよう指導するのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の脈拍はどうでしょう?

博士 博士

脈拍は発熱や脱水で上がるが、体温の方が感染の直接指標として優先されるのう。

サクラ サクラ

選択肢3の血圧は?

博士 博士

血圧低下は敗血症性ショックの末期徴候じゃ。そこまで進んでから気づくのでは遅すぎる。早期発見のためには体温じゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の体重はどうですか?

博士 博士

1kg減はあるが、アルブミンも正常で栄養状態は保たれておる。体重は長期的指標として週単位で見る項目じゃ。

サクラ サクラ

骨髄抑制の時期にも周期性があるんでしょうか?

博士 博士

うむ、多くの抗がん剤は投与後7〜14日でnadir(最低値)を迎え、その後回復する。この時期は特に感染注意が必要じゃ。

サクラ サクラ

G-CSF投与などの対応もありますね。

博士 博士

MASCCスコアで高リスクと判定されれば、セフェピムなど広域抗菌薬を速やかに開始するのが標準治療じゃ。

サクラ サクラ

自宅での早期発見が治療成功につながるんですね。

博士 博士

セルフモニタリングは患者自身を治療チームの一員にする大切な指導じゃよ。

POINT

化学療法後の骨髄抑制期には好中球減少により感染リスクが高まり、発熱が最初のサインとなります。発熱性好中球減少症は緊急対応を要するため、在宅では体温測定を最優先としたセルフモニタリングを指導します。脈拍・血圧・体重も重要ですが、体温ほど早期警告性は高くありません。37.5℃以上の発熱時は速やかに医療機関に連絡するよう明確に伝えることが看護のポイントです。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫38歳と2人暮らし。身長155cm、体重57kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌(breast cancer)の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。 Aさんは、職場の上司と相談し、仕事を継続しながら化学療法を受けることになった。2サイクル目の治療のため、化学療法センターに来院した。Aさんは「1回目の治療のあと、数日間身体がだるくて食欲もなく、体重が1キロ減りました。仕事も休みました」と看護師に話した。 身体所見:体温36.8°C、呼吸数16/分、脈拍70/分、血圧120/74mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%。 検査所見:赤血球400万/μL、Hb12.5g/dL、Ht37%、白血球2,300/μL(好中球55%、単球5%、好酸球4%、好塩基球1%、リンパ球35%)、血小板18万/μL、総蛋白7.0g/dL、アルブミン4.5/dL、尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、CRP0.3mg/dL。 2サイクル目の化学療法を受けたAさんに行ってもらうセルフモニタリングで最も重要なのはどれか。

解説:正解は 2 です。Aさんは白血球2,300/μL、好中球55%で絶対好中球数(ANC)は約1,265/μLと減少しており、化学療法後の骨髄抑制による感染リスクが高まっています。感染初期の最も早い徴候は発熱であり、発熱性好中球減少症(FN)は緊急対応を要する重篤な病態です。そのため在宅でのセルフモニタリング項目として体温測定が最優先となります。

選択肢考察

  1. × 1.  脈拍数

    脈拍は発熱や脱水で変動しますが、感染徴候の指標としては体温に劣り、単独では骨髄抑制時の管理指標として優先度が低いです。

  2. 2.  体温

    好中球減少下では感染症が重症化しやすく、37.5℃以上の発熱は発熱性好中球減少症として緊急受診の目安となります。日々の体温測定が最重要です。

  3. × 3.  血圧

    Aさんの血圧は安定しており、敗血症性ショックのように血圧低下が問題になる段階まで進行すると自宅での判断は手遅れです。早期感染徴候としては体温が優先されます。

  4. × 4.  体重

    1kgの減少はあるものの検査所見上の栄養状態は保たれており、緊急性は低いです。体重は長期的な栄養・体液バランス指標として週単位での確認でよいでしょう。

発熱性好中球減少症(FN)は『好中球数500/μL未満、または1,000/μL未満で48時間以内に500/μL未満になる見込みで、腋窩体温37.5℃以上』と定義されます。G-CSF製剤の予防投与やMASCCスコアでリスク評価し、高リスクでは速やかに広域抗菌薬(セフェピムなど)投与が必要です。在宅中は発熱、咽頭痛、排尿時痛、咳嗽、下痢などの局所感染徴候も併せて観察します。

化学療法後の骨髄抑制時期における感染リスクを評価し、在宅セルフモニタリングとして体温測定の重要性を選択できるかが問われています。