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在宅看取りで介護する家族への支援

看護師国家試験 第105回 午後 第50問 / 成人看護学 / 終末期看護

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第50問

Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。 Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。

  1. 1.臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
  2. 2.自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。
  3. 3.配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。
  4. 4.夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん75歳女性の事例じゃ。終末期がんの夫を自宅で介護し、夫婦とも自宅看取りを希望しておる。

アユム アユム

博士、自宅看取りを希望する家族にはどんな支援が必要ですか?

博士 博士

安心して看取りを遂行できるよう、情報提供と心理的支援を両輪で行うのじゃ。特に臨死期の身体徴候を事前に説明しておくことが重要じゃぞ。

アユム アユム

正解は選択肢1の『臨死期に起こる身体徴候について説明しておく』ですね。どんな徴候があるんですか?

博士 博士

下顎呼吸、チェーンストークス呼吸、四肢冷感・チアノーゼ、意識レベル低下、尿量減少、死前喘鳴などが順に現れるのじゃ。

アユム アユム

事前に説明することでどんな効果がありますか?

博士 博士

家族は心の準備ができ、予期不安が軽減するのじゃ。実際に呼吸が変わっても『これは自然経過で苦しくない』とわかれば、慌てず穏やかに過ごせる。

アユム アユム

選択肢2『自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する』はなぜダメですか?

博士 博士

介護しているうちに不安や疲労、症状悪化で思いが揺れるのは自然なことじゃ。意思を固定させるのではなく、揺らぎに寄り添うのが看護師の役目じゃぞ。

アユム アユム

病院への切り替えもあり得るんですね。

博士 博士

その通り。状況によっては病院看取りに変更することもあるし、それも正当な選択じゃ。常に選択肢を残しておくのが大切じゃ。

アユム アユム

選択肢3『配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める』は?

博士 博士

遺族会は死別後のグリーフケアじゃ。まだ夫が存命のAさんに勧めるのは時期尚早で、今は夫と過ごす時間を大切にする段階じゃ。

アユム アユム

選択肢4『夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める』はどうですか?

博士 博士

思い出を語り合うのはライフレビューと呼ばれ、緩和ケアで大切な要素じゃ。夫にも家族にも癒しをもたらす。話題を制限するのは逆効果じゃぞ。

アユム アユム

在宅看取りを支える体制で必要なものは?

博士 博士

24時間対応の訪問看護、訪問診療医、緊急時連絡体制、身体徴候の教育、そして看取り後のグリーフケアじゃ。この5点セットが揃って初めて安心して看取れるのじゃ。

アユム アユム

死前喘鳴について教えてください。

博士 博士

喉元に溜まった分泌物で呼吸時にゼロゼロする音じゃ。本人は苦しくないことが多いが、家族には衝撃的に映る。事前に伝えておくと安心するぞ。

アユム アユム

看取りの瞬間、家族にどう声をかけますか?

博士 博士

『お疲れ様でした』『良い時間でしたね』といった労いの言葉と、故人への敬意を示す姿勢じゃ。グリーフケアはここから始まるのじゃよ。

POINT

在宅看取りを希望する家族への支援では、臨死期の身体徴候を事前に説明することが最も重要です。呼吸変化・意識低下・死前喘鳴などが自然経過であることを知っておくと家族は動揺せず最期に向き合えます。看取る意思の揺らぎには柔軟に対応し、生前からの遺族会参加や思い出の話題制限は適切ではありません。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。 Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。自宅で終末期の家族を介護する介護者に対する看護師の役割は、安心して看取りを遂行できるよう情報と心理的支援を提供することです。臨死期には下顎呼吸、チェーンストークス呼吸、四肢冷感・チアノーゼ、意識レベル低下、尿量減少、死前喘鳴などの身体徴候が順に現れます。これらは自然経過であることを事前に説明しておくことで、実際に出現した際にAさんが動揺せず、夫と穏やかな時間を過ごせるように支援できます。これは在宅看取りにおける家族支援の基本です。

選択肢考察

  1. 1.  臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。

    臨死期には呼吸・循環・意識レベルに特徴的な変化が現れます。事前に情報提供することで家族は心の準備ができ、予期不安が軽減し、最期の時間を落ち着いて過ごせます。最適なケアです。

  2. × 2.  自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。

    介護を続ける中で不安や疲労、症状悪化への恐れから看取り場所への思いが揺れるのは自然なことです。意思を固定させるのではなく、揺らぎに寄り添い、必要なら病院への切り替えも含めて選択肢を保つ柔軟な支援が大切です。

  3. × 3.  配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。

    遺族会はグリーフケアの一環で、死別後の悲嘆を共有する場です。まだ夫が存命のAさんに参加を勧めるのは時期尚早で、今は夫と過ごす時間を大切にする段階です。

  4. × 4.  夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。

    思い出を語り合うことはライフレビューとして緩和ケアの重要な要素です。患者・家族双方に癒しをもたらし、人生の統合に寄与します。話題を制限することは関係性や精神的ケアを損ないます。

在宅看取りの成功には、(1)本人・家族の意思確認、(2)症状マネジメント、(3)緊急時対応体制(訪問看護24時間対応、訪問診療)、(4)家族への身体徴候教育、(5)看取り後のグリーフケアが必要です。臨死期の徴候は呼吸パターンの変化(下顎呼吸・チェーンストークス呼吸)、死前喘鳴、橈骨動脈脈拍消失、チアノーゼ、下顎呼吸後の呼吸停止という流れで進みます。家族には『これは自然経過』『苦しくないことが多い』と伝え、不安を軽減します。

在宅看取りにおける介護者(家族)への支援を問う問題です。臨死期の身体徴候の事前説明の重要性と家族の揺らぎに寄り添う姿勢の理解が焦点です。