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出血傾向を見抜く血液検査―血小板とAPTTの出番

看護師国家試験 第106回 午後 第76問 / 成人看護学 / 血液・免疫系

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第76問

出血傾向を把握するために重要なのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.血糖値
  2. 2.血清鉄
  3. 3.血小板数
  4. 4.アルカリフォスファターゼ値
  5. 5.活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉

対話形式の解説

博士 博士

今日は出血傾向を把握する検査じゃ。止血の仕組みを順序立てて説明できるかの?

アユム アユム

ええと、血が止まる時って…血小板が集まって、それから固まるんですよね?

博士 博士

その通り。止血は大きく二段階じゃ。まず血管が収縮し血小板が傷口に集まって塊を作る『一次止血』。次に凝固因子が働いてフィブリン網で安定化する『二次止血』じゃ。

アユム アユム

血小板と凝固因子、両方必要なんですね。

博士 博士

そうじゃ。だから出血傾向を調べるには、どちらも評価せねばならん。

アユム アユム

じゃあ血小板数は必須ですね。正常値ってどのくらいですか?

博士 博士

15〜40万/μL。10万を切ると出血リスクが出てきて、5万以下で紫斑、2万以下で自然出血の危険が高まる。

アユム アユム

凝固因子はどう見るんですか?

博士 博士

代表的な検査がPTとAPTTじゃ。PTは外因系(Ⅶ・Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ・Ⅰ)、APTTは内因系(Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ)を反映する。

アユム アユム

血友病はどっちですか?

博士 博士

血友病AはⅧ因子、BはⅨ因子の欠乏じゃから、両方とも内因系=APTTが延長する。

アユム アユム

ワルファリンとヘパリンは?

博士 博士

ワルファリンはPT(PT-INR)、ヘパリンはAPTTで効果を判定するのが基本じゃ。

アユム アユム

血糖値や血清鉄は出血傾向と関係ないんですか?

博士 博士

血糖値は糖尿病、血清鉄は鉄代謝と貧血の評価。止血能の評価ではない。ALPは肝・胆道・骨の指標で、やはり別物じゃ。

アユム アユム

じゃあ答えは血小板数とAPTTですね。

博士 博士

その通り!さらに臨床ではD-dimerやフィブリノゲンも重要で、DICの評価に使うのじゃ。

アユム アユム

出血傾向のある患者さんのケアで気をつけることは?

博士 博士

転倒予防、筋注回避、軟毛歯ブラシ、電動髭剃りじゃな。採血部位の圧迫も長めにする。

アユム アユム

検査データとケアが結びつくと覚えやすいです!

博士 博士

うむ、看護師国試では『血小板=一次止血、APTT/PT=二次止血』をセットで頭に入れておくのじゃ。

POINT

出血傾向を把握するには一次止血と二次止血の両方を評価する必要があります。一次止血の中心は血小板で、血小板数(基準15〜40万/μL)の低下は紫斑や粘膜出血の原因となります。二次止血は凝固因子が担い、外因系の評価にPT(ワルファリン効果判定)、内因系の評価にAPTT(ヘパリン効果判定、血友病)が用いられます。血糖値・血清鉄・ALPは代謝や臓器障害の指標であり止血機能評価には用いません。出血傾向のある患者では、これら検査データを把握したうえで、転倒予防、筋注回避、軟毛歯ブラシなど日常生活の配慮が看護の要点となります。

解答・解説

正解は 3 5 です

問題文:出血傾向を把握するために重要なのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 3 と 5 です。出血傾向は『一次止血(血小板による血栓形成)』と『二次止血(凝固因子による安定化)』の障害で生じます。血小板数は一次止血能を最も直接的に反映する指標で、通常15〜40万/μLが正常範囲。10万/μL以下で出血傾向、5万以下で紫斑、2万以下で重篤な自然出血のリスクが高まります。活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系凝固因子(Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子)の機能を評価する検査で、血友病A/Bやヘパリン治療の効果判定、DIC(播種性血管内凝固症候群)の評価に用いられます。したがって血小板数とAPTTが出血傾向を把握する指標として重要です。

選択肢考察

  1. × 1.  血糖値

    血糖値は血中グルコース濃度で、糖尿病の診断・管理指標。出血傾向の評価には用いない。

  2. × 2.  血清鉄

    血清鉄は鉄欠乏性貧血など鉄代謝の評価指標。慢性的な出血の結果として低下することはあるが、出血傾向(止血能低下)そのものを把握する指標ではない。

  3. 3.  血小板数

    血小板は一次止血の主役。血小板数の低下(血小板減少症)は紫斑や粘膜出血など出血傾向を直接引き起こすため、把握に必須の項目。

  4. × 4.  アルカリフォスファターゼ値

    ALPは肝・胆道・骨疾患の指標。閉塞性黄疸や骨転移で上昇するが、止血能の評価には使わない。

  5. 5.  活性化部分トロンボプラスチン時間〈APTT〉

    APTTは内因系凝固因子の活性を反映。延長は血友病、von Willebrand病、ヘパリン効果、DICなどの出血傾向を示す重要な指標。

止血機構は一次止血(血管収縮+血小板血栓)と二次止血(凝固因子によるフィブリン形成)に大別される。評価指標は『血小板数(一次止血)』『PT/PT-INR(外因系=Ⅶ・Ⅹ・Ⅴ・Ⅱ・Ⅰ因子;ワルファリン効果判定)』『APTT(内因系=Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ因子;ヘパリン効果判定、血友病)』『フィブリノゲン・D-dimer・FDP(DICの評価)』。出血傾向のある患者では転倒予防、筋注回避、歯磨きは軟毛ブラシ、髭剃りは電動と、日常ケアの配慮も重要。

一次止血=血小板、二次止血=凝固因子(内因系APTT/外因系PT)の基本対応関係を問う問題。血糖・血清鉄・ALPなど無関係な指標との鑑別がポイント。