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1型糖尿病の自己管理指導〜低血糖・シックデイ・運動療法のツボ

看護師国家試験 第106回 午後 第41問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第41問

1型糖尿病( type1 diabetes mellitus )と診断された人への説明で適切なのはどれか。

  1. 1.自己血糖測定の試験紙の費用は医療保険の対象外である。
  2. 2.食事が摂取できないときはインスリン注射を中止する。
  3. 3.低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある。
  4. 4.運動は朝食前が効果的である。

対話形式の解説

博士 博士

今回は1型糖尿病の患者さんへの指導について学ぶぞ。1型糖尿病は何が原因で発症するか、覚えておるかな?

サクラ サクラ

確か、自己免疫で膵臓のβ細胞が壊されて、インスリンが出なくなる病気ですよね。

博士 博士

その通りじゃ。インスリンが絶対的に足りなくなるから、生きていくためにインスリン注射が必須になる。2型とは根本的に異なるのじゃ。

サクラ サクラ

じゃあ選択肢を見てみます。3番の「低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある」が正しそうですが、なぜそうなるんでしょう?

博士 博士

血糖が下がると体は危機だと感じて、交感神経を興奮させてアドレナリンを出すのじゃ。その結果、振戦、動悸、発汗、顔面蒼白、不安感などが現れる。これが「自律神経症状」じゃな。

サクラ サクラ

さらに血糖が下がるとどうなりますか?

博士 博士

脳のブドウ糖が足りなくなって、頭痛、眠気、異常行動、けいれん、意識障害などの「中枢神経症状」が出てくる。自律神経症状は低血糖の「警告サイン」だから、この段階でブドウ糖10gを摂ることが大切じゃ。

サクラ サクラ

なるほど。では2番の「食事が摂れないときはインスリンを中止する」はどうして違うんですか?

博士 博士

これはシックデイの質問じゃな。風邪や胃腸炎などで食事が摂れなくても、体はストレスホルモンで血糖を上げるし、基礎インスリンを完全に止めると糖尿病ケトアシドーシスを起こす危険があるのじゃ。

サクラ サクラ

ケトアシドーシスって、命に関わるんですよね?

博士 博士

その通り。意識障害や昏睡に至ることもある。シックデイルールとしては、水分を十分に摂る、糖分を少しずつ摂る、血糖を頻回に測る、インスリンを自己判断で止めない、早めに受診する、の5つが基本じゃ。

サクラ サクラ

4番の「運動は朝食前が効果的」はなぜダメなんですか?

博士 博士

朝食前は前夜から絶食状態で血糖が低めじゃ。ここで運動するとさらに血糖が下がって低血糖のリスクが高い。運動療法は食後1〜2時間後がおすすめじゃよ。

サクラ サクラ

1番の自己血糖測定の試験紙は、インスリン使用者なら保険適用なんですね。患者さんの経済的負担にも配慮した指導が大切ですね。

博士 博士

うむ、在宅自己注射指導管理料の枠で試験紙や穿刺針もカバーされる。看護師は病態だけでなく、制度も含めて患者さんを支えるのじゃ。

POINT

1型糖尿病の患者教育では、インスリン療法の継続、低血糖症状の理解、シックデイへの対応、運動療法のタイミングが四本柱となります。低血糖症状は、振戦・動悸・発汗などの自律神経症状(警告症状)から始まり、進行すると中枢神経症状(意識障害・けいれん)に至ります。シックデイでは食事が摂れなくても基礎インスリンを中止せず、水分・糖分を補給しながら頻回な血糖測定と早期受診が必要です。運動は食後1〜2時間後が推奨され、朝食前は低血糖リスクが高いため避けます。患者のライフスタイルに即した具体的指導が、合併症予防と生活の質向上の鍵となります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:1型糖尿病( type1 diabetes mellitus )と診断された人への説明で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。低血糖とは一般に血糖値が70mg/dL未満に低下した状態で、カテコラミンなどの交感神経系が活性化することにより、振戦(手足のふるえ)、動悸、発汗、顔面蒼白、不安感などの自律神経症状が出現する。さらに血糖が50mg/dL程度まで下がると、中枢神経のエネルギー不足により頭痛、集中力低下、眠気、異常行動、けいれん、意識障害などの中枢神経症状が現れる。1型糖尿病ではインスリン療法が必須であり、低血糖への理解と対応(ブドウ糖摂取など)の指導は最重要項目である。

選択肢考察

  1. × 1.  自己血糖測定の試験紙の費用は医療保険の対象外である。

    インスリン治療を行っている患者に対しては、血糖自己測定(SMBG)に必要な試験紙・穿刺針・測定器などが「在宅自己注射指導管理料」の枠内で医療保険の給付対象となる。自己負担ではない。

  2. × 2.  食事が摂取できないときはインスリン注射を中止する。

    食事が摂れない状態(シックデイ)でも、ストレスホルモンの影響で高血糖になりやすい。特に基礎分泌を補う持効型・中間型インスリンを中止すると、糖尿病ケトアシドーシス(DKA)を起こす危険があるため、自己判断で中止してはならない。

  3. 3.  低血糖症状には振戦などの自律神経症状がある。

    血糖低下に伴って交感神経が刺激され、振戦・発汗・動悸・顔面蒼白・不安感といった自律神経症状が出現する。これは「警告症状」として早期対応のサインとなる。

  4. × 4.  運動は朝食前が効果的である。

    朝食前は前夜からの絶食で血糖が低めになっており、ここで運動を行うと低血糖を起こしやすい。運動療法は食後1〜2時間後に行うのが基本で、血糖値の急上昇抑制にも有効である。

1型糖尿病は自己免疫により膵β細胞が破壊され、インスリン分泌が絶対的に欠乏する疾患で、小児・若年に発症することが多い。治療の基本は強化インスリン療法(基礎+追加インスリン)。シックデイルール(水分補給、糖分摂取、頻回な血糖測定、インスリンを勝手に止めない、早めの受診)や低血糖時のブドウ糖10g摂取は国試頻出。

1型糖尿病の患者教育に関する基本事項を問う問題。低血糖症状、シックデイ、運動療法のタイミング、保険適用など、日常管理に直結する知識が問われている。