高カリウム血症と心電図変化の関係を理解しよう
看護師国家試験 第108回 午前 第49問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系
国試問題にチャレンジ
高カリウム血症(hyperkalemia)の患者でみられるのはどれか。
- 1.Trousseau<トルソー>徴候
- 2.心電図でのT波の増高
- 3.腸蠕動音の低下
- 4.四肢の麻痺
対話形式の解説
博士
今日は第108回午前49問、高カリウム血症の身体所見を問う問題じゃ。電解質異常は看護師国家試験の頻出テーマで、特に心電図変化は必ず押さえておくべきじゃぞ。
サクラ
博士、高カリウム血症って血液中のカリウムが高くなる状態ですよね。どんな症状が出るんですか?
博士
そうじゃ。血清K値が5.5mEq/Lを超える状態を指す。カリウムは心筋や神経・骨格筋の興奮性に直接関わるから、上昇すると致死性不整脈を引き起こす可能性があるのじゃ。
サクラ
選択肢を見ると、トルソー徴候、T波の増高、腸蠕動音低下、四肢麻痺とありますね。
博士
さあ選んでみるかね。
サクラ
T波が高くなるイメージがあるので、2番だと思います。
博士
正解じゃ!正解は2の心電図でのT波の増高じゃ。これはテント状T波と呼ばれる尖鋭化した高い波で、高K血症の最も早期かつ特徴的な心電図所見なのじゃ。
サクラ
なぜT波が尖るんですか?
博士
T波は心室の再分極、つまり収縮した心筋が元の電気状態に戻る過程を表しておる。細胞外K濃度が上がると再分極が速く鋭くなるため、T波が先端のとがったテント状になるのじゃよ。
サクラ
他にどんな心電図変化があるんですか?
博士
進行すると順番に変化していく。まずテント状T波、次にP波の消失、QRS幅の増大、最後にサインカーブ様波形から心室細動や心停止に至る。数字で言えばK7.0mEq/L以上では緊急対応が必要じゃ。
サクラ
トルソー徴候はどう違うんでしょうか?
博士
トルソー徴候は低カルシウム血症の症状じゃ。上腕をマンシェットで収縮期血圧より高く加圧して3分以上置くと、手指屈曲と親指内転の『助産師手位』が出現する。低Ca血症ではクボステック徴候(頬部叩打で口角けいれん)も有名じゃぞ。
サクラ
腸蠕動音の低下は?
博士
高K血症では平滑筋の興奮性も高まるため、腸蠕動は亢進して下痢することが多いのじゃ。低下は麻痺性イレウスや術後腸管麻痺などで見られる別の症状じゃよ。
サクラ
四肢麻痺は低カリウム血症ですよね。
博士
そのとおり。周期性四肢麻痺は低K血症の代表症状じゃ。高K血症でもしびれや脱力感は出るが、いわゆる四肢麻痺として表現される症状は低K血症と関連するのじゃ。
サクラ
治療はどうするんですか?
博士
段階的なアプローチじゃ。①カルシウムグルコン酸で心筋保護②G-I療法つまりグルコースとインスリンで細胞内シフト③カリウム吸着薬で体外排出④重症では血液透析じゃ。看護としては12誘導心電図による継続モニタリングと、原因薬剤(ACE阻害薬、ARB、スピロノラクトン等)の確認が重要じゃよ。
POINT
第108回午前49問は高カリウム血症の所見を問う問題で、正解は2の心電図でのT波の増高です。高K血症では細胞外K上昇により再分極が障害され、尖鋭化したテント状T波が出現します。進行するとP波消失、QRS幅増大、心室細動へと至る致死性不整脈となるため、12誘導心電図での早期発見と段階的治療介入が重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:高カリウム血症(hyperkalemia)の患者でみられるのはどれか。
解説:正解は 2 です。高カリウム血症(血清K 5.5mEq/L超)では、細胞外カリウム濃度の上昇により心筋細胞の膜電位とレポラリゼーション(再分極)に異常が生じ、心電図上に特徴的な変化が現れます。初期には尖鋭化した『テント状T波』が出現し、進行するとP波消失、QRS幅の増大、最終的には心室細動や心停止に至ります。このため高カリウム血症は致死性不整脈の原因として、迅速な診断と治療介入が不可欠な電解質異常となります。
選択肢考察
-
× 1. Trousseau<トルソー>徴候
トルソー徴候は低カルシウム血症で見られる症状です。上腕をマンシェットで圧迫すると手指の屈曲・伸展が混在する助産師手位が出現します。高K血症とは無関係です。
-
○ 2. 心電図でのT波の増高
高カリウム血症では細胞外K上昇により再分極が障害され、尖鋭化したテント状T波が心電図上に現れます。進行するとP波消失、QRS幅増大、心室細動に至る致死性所見です。
-
× 3. 腸蠕動音の低下
高カリウム血症では平滑筋の興奮性も高まるため腸蠕動亢進や下痢が現れることが多く、低下は典型的症状ではありません。腸蠕動低下は麻痺性イレウスなどで見られます。
-
× 4. 四肢の麻痺
周期性四肢麻痺は低カリウム血症で見られる症状です。高カリウム血症では脱力感やしびれは出ますが、いわゆる四肢麻痺として表現される症状は低K血症と関連します。
高カリウム血症の治療は『G-I療法(グルコース+インスリン)で細胞内シフト、カルシウムグルコン酸で心筋保護、カリウム吸着薬で体外排出、重症では血液透析』という段階的アプローチが基本です。原因は腎不全、横紋筋融解、アシドーシス、ACE阻害薬・ARB・スピロノラクトンなどの薬剤が多く、緊急時はすぐに12誘導心電図で評価します。
電解質異常と身体症状・心電図変化を正しく結びつけて理解しているかを問う問題で、特に高K血症のテント状T波は頻出事項です。
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