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インスリン自己注射導入の評価

看護師国家試験 第108回 午前 第96問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第96問

次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(68歳、女性)は、1人暮らし。隣の市に娘がいる。日常生活は自立している。10年前に糖尿病(diabetes mellitus)と診断され、血糖降下薬を服用している。最近の血液検査でHbA1cが8.5%のため、インスリンの自己注射を導入するかどうかを検討することになった。医師からAさんには自己注射についてまだ説明されていない。 Aさんに自己注射を導入できるかを判断するための情報で最も重要なのはどれか。

  1. 1.細かい文字が読める。
  2. 2.運動療法を行っている。
  3. 3.近所に支援をしてくれる人がいる。
  4. 4.食品交換表の使い方を理解できている。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんは68歳、独居で糖尿病歴10年、HbA1c8.5%じゃ。内服から自己注射への切り替えを検討しておる。

アユム アユム

自己注射を導入するかどうか、何を重視すべきですか?

博士 博士

正解は選択肢1の『細かい文字が読める』じゃ。意外かもしれんが、これが最優先なのじゃよ。

アユム アユム

なぜ視力がそれほど重要なんですか?

博士 博士

ペン型インスリン注入器では、単位ダイヤルを回して正確な量を設定する必要がある。目盛りが1単位ずつ刻まれており、読み違えると低血糖や高血糖を招くのじゃ。

アユム アユム

単位を間違えると命に関わりますね。

博士 博士

そうじゃ。さらに薬液の残量確認、気泡チェック、注射部位の皮膚状態観察など、どれも細かい視覚作業じゃ。

アユム アユム

68歳だと白内障や老眼も気になりますね。

博士 博士

その通り。視力が不十分なら音声ガイド付きや拡大レンズ付きデバイス、あるいは訪問看護導入を検討するのじゃ。

アユム アユム

選択肢2の運動療法はどうですか?

博士 博士

運動療法は糖尿病管理の3本柱(食事・運動・薬物)の1つじゃが、自己注射の技術的可否とは別問題じゃのう。

アユム アユム

選択肢3の近所の支援者は?

博士 博士

支援者は低血糖時のサポートに役立つが、まずAさん自身が手技を安全に行えるかの評価が先じゃ。

アユム アユム

選択肢4の食品交換表はどうでしょう?

博士 博士

これは食事療法の知識で、注射手技そのものとは関係ないのう。

アユム アユム

他にも評価すべき項目はありますか?

博士 博士

手指の巧緻性、握力や振戦の有無、認知機能、低血糖対処能力、食事時間の規則性などじゃ。高齢者総合機能評価(CGA)の視点が役立つぞ。

アユム アユム

高齢者の血糖管理目標はどのくらいですか?

博士 博士

認知機能・ADL良好な高齢者ではHbA1c7.0%未満、併存症が多い場合は緩やかな目標(8.0%未満など)が設定される。Aさんの8.5%は管理不良の範囲じゃ。

アユム アユム

手技評価と治療目標をセットで考えるんですね。

博士 博士

自己注射導入は技術・知識・環境を総合評価する大切な看護判断じゃ。

POINT

インスリン自己注射では単位ダイヤルの正確な設定が必須で、視力は手技の前提条件として最優先に評価すべき項目です。運動療法や食品交換表の理解、近所の支援は糖尿病管理上重要ですが、注射手技の可否判断には直結しません。高齢者では視力・手指巧緻性・認知機能を総合評価し、必要に応じて補助デバイスや訪問看護導入を検討します。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(68歳、女性)は、1人暮らし。隣の市に娘がいる。日常生活は自立している。10年前に糖尿病(diabetes mellitus)と診断され、血糖降下薬を服用している。最近の血液検査でHbA1cが8.5%のため、インスリンの自己注射を導入するかどうかを検討することになった。医師からAさんには自己注射についてまだ説明されていない。 Aさんに自己注射を導入できるかを判断するための情報で最も重要なのはどれか。

解説:正解は 1 です。インスリン自己注射では、ペン型注入器の単位ダイヤルの目盛りを正確に合わせる、薬液の残量や気泡を確認する、注射部位の皮膚状態を観察するなど、細かい視覚的作業が不可欠です。68歳という年齢で視力が低下している可能性もあり、『細かい文字が読めるか』はインスリン量を誤投与しないための最も基本的かつ重要な評価項目です。

選択肢考察

  1. 1.  細かい文字が読める。

    インスリン自己注射では単位数の確認と設定が正確でなければ低血糖や高血糖を招きます。視力はこの手技の前提条件として最優先で評価すべき情報です。

  2. × 2.  運動療法を行っている。

    運動療法は糖尿病管理の3本柱の1つですが、自己注射の手技遂行可否とは直接関係ありません。

  3. × 3.  近所に支援をしてくれる人がいる。

    支援者の有無は低血糖時などの安全確保に役立ちますが、そもそもAさん自身が手技を実施できるかの評価が優先されます。

  4. × 4.  食品交換表の使い方を理解できている。

    食品交換表は食事療法の知識ですが、自己注射を技術的に行えるかとは別問題です。

インスリン自己注射導入の可否判断では、視力、手指の巧緻性(握力・振戦・関節可動域)、認知機能、低血糖対処能力、生活リズム(食事時間の規則性)、家族・社会的支援などを総合的に評価します。高齢者では白内障や加齢性黄斑変性などで視力低下がある場合、音で単位を確認できるインスリンペンや拡大レンズ付きデバイスを選択することもあります。HbA1c8.5%は管理不良で、高齢者の血糖管理目標(認知機能・ADL良好ならHbA1c7.0%未満)より高い状態です。

インスリン自己注射導入にあたって手技の安全性を左右する最も基本的な身体機能評価(視力)を選べるかが問われています。