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CO2ナルコーシスを見逃すな

看護師国家試験 第103回 午後 第49問 / 成人看護学 / 呼吸器系

国試問題にチャレンジ

103回 午後 第49問

Aさん(58歳、女性)は、10年前に肺気腫(pulmonary emphysema)を指摘されたが喫煙を続け、体動時に軽い息切れを自覚していた。Aさんは、肺炎(pneumonia)で救急病院に入院し経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉86%でフェイスマスクによる酸素投与(4l/分)が開始された。抗菌薬投与後6日、鼻腔カニューラによる酸素投与(2l/分)でAさんの経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が94%まで回復した。夜間Aさんは眠れているようだが、早朝に頭痛を訴え、日中も傾眠傾向になった。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

  1. 1.抗菌薬の変更
  2. 2.酸素投与量の増加
  3. 3.動脈血液ガス分析の実施
  4. 4.胸部エックス線撮影の実施

対話形式の解説

博士 博士

今日は肺気腫のAさんが肺炎で入院し、酸素投与で改善したものの早朝頭痛と日中傾眠が出現した症例じゃ。

サクラ サクラ

博士、SpO2は94%まで回復しているのに何が起きているんですか?

博士 博士

これはCO2ナルコーシスの典型症状じゃ。COPD患者は低酸素刺激で呼吸を保っておるから、酸素を多く与えると呼吸が抑制されてしまうんじゃよ。

サクラ サクラ

それで体内にCO2が溜まるんですね。

博士 博士

その通り。正解は3番、動脈血液ガス分析の実施じゃ。PaCO2とpHを確認することが最優先じゃ。

サクラ サクラ

1番の抗菌薬の変更は?

博士 博士

肺炎自体は改善傾向じゃから変更は不要じゃ。問題は酸素投与にあるんじゃ。

サクラ サクラ

2番の酸素を増やすのは逆効果ですね。

博士 博士

うむ、増やせばさらに呼吸抑制が進みCO2が貯留する。絶対にやってはいかんぞ。

サクラ サクラ

4番の胸部エックス線撮影は?

博士 博士

X線では肺炎の評価はできてもCO2ナルコーシスの診断にはならん。優先度は低い。

サクラ サクラ

COPD患者の酸素投与目標はどのくらいですか?

博士 博士

SpO2 88〜92%程度に抑えるのが目安じゃ。それでも改善せねばNPPVでCO2排出を促す。

サクラ サクラ

早朝頭痛と傾眠はCO2貯留のサインとして覚えますね。

博士 博士

うむ、これを見逃すと意識障害から呼吸停止に至ることもあるから要注意じゃ。

POINT

COPD患者の酸素投与ではCO2ナルコーシスのリスクがあり、早朝頭痛や傾眠が早期サインです。まず動脈血液ガス分析でPaCO2とpHを確認し、酸素投与量の調整やNPPV導入を検討します。SpO2目標は88〜92%を目安に管理します。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん(58歳、女性)は、10年前に肺気腫(pulmonary emphysema)を指摘されたが喫煙を続け、体動時に軽い息切れを自覚していた。Aさんは、肺炎(pneumonia)で救急病院に入院し経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉86%でフェイスマスクによる酸素投与(4l/分)が開始された。抗菌薬投与後6日、鼻腔カニューラによる酸素投与(2l/分)でAさんの経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が94%まで回復した。夜間Aさんは眠れているようだが、早朝に頭痛を訴え、日中も傾眠傾向になった。 Aさんへの対応で適切なのはどれか。

解説:正解は3です。COPD/肺気腫患者では慢性的にPaCO2が高く、低酸素刺激で呼吸を維持しています。酸素を多く投与すると呼吸刺激が抑制されPaCO2がさらに上昇し、CO2ナルコーシス(早朝頭痛・傾眠・意識障害)を引き起こします。確定診断には動脈血液ガス分析が必須です。

選択肢考察

  1. × 1.  抗菌薬の変更

    誤った対応です。SpO2は94%まで回復し肺炎自体は改善傾向にあるため、抗菌薬の変更は不要です。現在の症状は肺炎悪化ではなくCO2貯留が示唆されます。

  2. × 2.  酸素投与量の増加

    誤った対応です。CO2ナルコーシスが疑われる状態で酸素を増やすと、低酸素換気応答が抑制されさらにPaCO2が上昇して悪化します。

  3. 3.  動脈血液ガス分析の実施

    正しい対応です。早朝頭痛と日中傾眠はCO2ナルコーシスの典型症状であり、PaCO2とpHを動脈血ガス分析で確認することが急務です。

  4. × 4.  胸部エックス線撮影の実施

    誤った対応です。胸部X線では肺炎像の評価はできてもCO2ナルコーシスの診断にはつながりません。優先度は低くなります。

CO2ナルコーシスの3徴は意識障害、自発呼吸減弱、高度呼吸性アシドーシスです。COPD患者では酸素投与目標をSpO2 88〜92%程度に抑え、必要時はNPPV(非侵襲的陽圧換気)でCO2排出を促します。

COPD患者における酸素投与の落とし穴とCO2ナルコーシスの早期発見を問う問題です。