COPDの肺は『ふくらみやすく縮みにくい』風船
看護師国家試験 第106回 午後 第28問 / 成人看護学 / 呼吸器系
国試問題にチャレンジ
慢性閉塞性肺疾患( chronic obstructive pulmonary disease )について正しいのはどれか。
- 1.残気量は減少する。
- 2.%肺活量の低下が著明である。
- 3.肺コンプライアンスは上昇する。
- 4.可逆性の気流閉塞が特徴である。
対話形式の解説
博士
今日はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の病態を整理するぞ。
アユム
COPDって、タバコが原因の病気ですよね?
博士
その通り。長期喫煙により末梢気道の炎症と肺胞壁の破壊(肺気腫)が進む。肺の弾性線維が壊されるため、肺が縮みにくくなる。
アユム
縮みにくいと、息を吐き出せなくなるんですね。
博士
そうじゃ。その結果、残気量は増加、肺は常に過膨張となり『ビア樽状胸郭』を呈する。
アユム
選択肢1『残気量は減少する』は真逆なんですね。
博士
その通り。では『%肺活量』の低下は何の特徴じゃ?
アユム
えーと…肺が膨らまない病気?
博士
正解。肺線維症や間質性肺炎などの拘束性換気障害で%肺活量が低下する。COPDは閉塞性換気障害なので1秒率(FEV1/FVC)が70%未満に低下するのが診断基準じゃ。
アユム
ということは選択肢2も誤りですね。
博士
その通り。次に肺コンプライアンス。これは『肺の膨らみやすさ』を示す指標で、COPDではどうなる?
アユム
肺胞が壊れているから…しぼみやすい?
博士
ブブー。弾性線維が失われるので、逆に膨らみやすく縮みにくくなる。すなわちコンプライアンスは上昇じゃ。
アユム
なるほど、選択肢3が正解ですね。
博士
そうじゃ。風船に例えると、新品の硬い風船(健康な肺)は縮む力が強いが、ヨレヨレの風船(COPD)は膨らんでも戻りにくい、というイメージじゃ。
アユム
わかりやすい!選択肢4の『可逆性の気流閉塞』は?
博士
それは気管支喘息の特徴じゃ。COPDは気管支拡張薬で多少改善するが、基本的には不可逆性なのが鑑別点じゃ。
アユム
COPDの治療はどんなものがあるんですか?
博士
まず禁煙、これが絶対。そのうえで吸入薬(LAMA・LABA・必要時ICS)、呼吸リハ、インフル・肺炎球菌ワクチン、重症例では在宅酸素療法じゃ。
アユム
看護では何が大事ですか?
博士
口すぼめ呼吸や腹式呼吸の指導、息切れに合わせたADL工夫、低栄養予防、急性増悪の早期発見、感染予防、精神的サポートじゃ。
アユム
酸素投与で気をつけることはありますか?
博士
CO₂ナルコーシスじゃ。COPDの重症例では高濃度酸素で換気抑制が起こり得るので、SpO₂目標を88〜92%程度にするのが一般的じゃ。
アユム
病態と看護、両方を結びつけて理解することが大事ですね。
博士
その通り。病態が分かれば、なぜ口すぼめ呼吸が有効なのかも腑に落ちるはずじゃ。
POINT
COPDは喫煙などによる肺胞壁の破壊と末梢気道の慢性炎症を主体とする不可逆性の閉塞性換気障害です。肺の弾性収縮力低下により肺コンプライアンスは上昇し、残気量増加・1秒率低下・過膨張肺を呈します。%肺活量低下は拘束性換気障害、可逆性の気流閉塞は喘息の特徴で、それらとの鑑別が重要です。看護では禁煙支援、呼吸リハ、吸入指導、CO₂ナルコーシス予防を含む酸素管理、栄養管理、増悪予防とQOL維持への包括的支援が求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:慢性閉塞性肺疾患( chronic obstructive pulmonary disease )について正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。COPDでは肺胞壁の破壊(気腫性変化)により肺の弾性収縮力が低下し、肺コンプライアンス(肺の膨らみやすさ)は上昇します。結果として息を吐き出しにくい閉塞性換気障害(不可逆性)、残気量増加、1秒率低下が特徴です。
選択肢考察
-
× 1. 残気量は減少する。
COPDでは呼気時の気道虚脱や肺胞弾性力の低下により空気が肺に残りやすく、残気量・機能的残気量・全肺気量は増加する。過膨張肺(ビア樽状胸郭)が特徴。
-
× 2. %肺活量の低下が著明である。
%肺活量(予測値に対する肺活量の割合)の低下は拘束性換気障害(肺線維症・間質性肺炎など)の特徴。COPDは1秒率(FEV1/FVC)<70%が診断基準となる閉塞性換気障害。
-
○ 3. 肺コンプライアンスは上昇する。
肺胞壁の破壊で弾性線維が失われ、肺は膨らみやすく縮みにくくなる。すなわち肺コンプライアンスは上昇する。息を吐き切れないため過膨張肺となる。
-
× 4. 可逆性の気流閉塞が特徴である。
可逆性の気流閉塞は気管支喘息の特徴。COPDは気管支拡張薬投与後も改善に乏しい『不可逆性』の気流閉塞が特徴。
COPDはタバコ煙を主因とする末梢気道病変と肺気腫が混在する疾患で、長期喫煙歴のある中高年男性に多い。診断は気管支拡張薬吸入後のスパイロメトリーでFEV1/FVC<70%。管理の柱は禁煙、吸入薬(LAMA/LABA±ICS)、呼吸リハビリテーション、ワクチン接種(インフルエンザ・肺炎球菌)、在宅酸素療法(重症例)。看護としては口すぼめ呼吸・腹式呼吸の指導、増悪予防、栄養管理(やせの合併多い)、息切れに伴うADL/QOL低下への支援が重要。
COPDの病態生理(肺胞破壊→コンプライアンス上昇・不可逆性閉塞性換気障害)と、拘束性換気障害・喘息との鑑別が問われている成人看護の頻出問題。
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