腰椎椎間板ヘルニアはMRIで見つけて、まず保存療法
看護師国家試験 第106回 午後 第29問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系
国試問題にチャレンジ
腰椎椎間板ヘルニア( lumber disc herniation )で正しいのはどれか。
- 1.高齢の女性に多発する。
- 2.診断にはMRIが有用である。
- 3.好発部位は第1・2腰椎間である。
- 4.急性期では手術による治療を行う。
対話形式の解説
博士
今日は腰痛の代表疾患、腰椎椎間板ヘルニアを整理するぞ。
サクラ
ヘルニアって『飛び出す』って意味でしたよね?
博士
その通り。椎間板の中心にある髄核が、周囲の線維輪の亀裂から飛び出して神経根を圧迫するのじゃ。
サクラ
誰に多いんですか?
博士
好発年齢は20〜40歳代、男性が女性のおよそ2〜3倍多い。重量物を扱う仕事や前かがみ姿勢の多い人に起こりやすい。
サクラ
意外と若い人に多いんですね。高齢女性のイメージでした。
博士
高齢では椎間板が線維化して飛び出しにくくなる一方、変性性脊椎症や脊柱管狭窄症が増える。よって選択肢1は誤り。
サクラ
好発部位はどこですか?
博士
L4/5とL5/S1じゃ。可動性が大きく荷重のかかる腰椎下部にストレスが集中する。L1/2はまれなので選択肢3も誤り。
サクラ
診断はどうするんですか?
博士
MRIが第一選択じゃ。椎間板と神経を非侵襲的に細かく評価でき、手術適応判断にも使える。
サクラ
X線ではダメなんですか?
博士
X線は骨の評価はできるが椎間板や神経の評価は困難じゃ。CTは骨病変の評価に優れるが神経の描出はMRIに劣る。
サクラ
治療はすぐ手術ですか?
博士
いや、原則は保存療法じゃ。NSAIDs、神経ブロック、コルセット、理学療法などで多くは数週〜数か月で軽快する。
サクラ
では選択肢4も誤りですね。手術はどんな時?
博士
保存療法で効果がない場合、進行性の筋力低下、耐え難い疼痛、そして特に『馬尾症候群』を疑う場合じゃ。
サクラ
馬尾症候群って?
博士
両下肢の麻痺・しびれ・膀胱直腸障害(排尿排便障害)を来す重篤な病態で、緊急手術の適応となる。『サドル麻痺』(会陰部の感覚低下)も特徴じゃ。
サクラ
神経学的所見はどう診るんですか?
博士
SLRテスト(下肢伸展挙上)が有名じゃ。仰向けで下肢を挙上して70度以下で坐骨神経痛が誘発されれば陽性。L4/5ではL5神経根障害、L5/S1ではS1神経根障害の所見を取るのじゃ。
サクラ
看護ではどう関わりますか?
博士
疼痛コントロール、姿勢指導、コルセット装着指導、退院後の生活指導(前かがみや重量物挙上を避ける、体幹筋トレーニング)などじゃ。
サクラ
若い働き盛りに多いからこそ、復職支援の視点も大事ですね。
博士
その通り。正解は2のMRIじゃ。
POINT
腰椎椎間板ヘルニアは20〜40歳代男性に多く、好発部位はL4/5・L5/S1で、診断にはMRIが最も有用です。多くは保存療法(安静・NSAIDs・神経ブロック・リハビリ)で改善しますが、膀胱直腸障害を伴う馬尾症候群や進行性の麻痺では緊急手術の適応となります。看護では疼痛管理、正しい姿勢・動作指導、コルセット管理、退院後の再発予防教育が重要です。若年層での発症も多く、復職・ADL維持を見据えた包括的支援が求められます。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:腰椎椎間板ヘルニア( lumber disc herniation )で正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。腰椎椎間板ヘルニアの診断には MRI が最も有用で、椎間板の変性・膨隆・脱出と、それによる神経根・脊髄圧迫の状態を非侵襲的に詳細に評価できます。20〜40歳代男性に好発し、第4・第5腰椎間(L4/5)と第5腰椎・第1仙椎間(L5/S1)が頻発部位です。
選択肢考察
-
× 1. 高齢の女性に多発する。
好発年齢は20〜40歳代、男女比は約2〜3:1で男性にやや多い。高齢者では椎間板変性は進むが、典型的なヘルニア発症は壮年期に多い。
-
○ 2. 診断にはMRIが有用である。
MRIは椎間板や神経、脊柱管内部を非侵襲的に評価でき、ヘルニアの位置・大きさ・神経圧迫の有無を明瞭に描出できる第一選択の画像検査。
-
× 3. 好発部位は第1・2腰椎間である。
好発部位は腰椎の下方、L4/5とL5/S1。可動性が大きく荷重もかかる部位にストレスが集中するため。L1/2は稀。
-
× 4. 急性期では手術による治療を行う。
原則は保存療法(安静・NSAIDs・神経ブロック・コルセット・理学療法など)。膀胱直腸障害や進行性の筋力低下、強い疼痛が持続する場合などに手術が適応となる。
神経学的所見として、L4/5ヘルニアではL5神経根が障害され下腿外側〜足背のしびれ・足趾背屈力低下、L5/S1ヘルニアではS1神経根が障害され足底〜足外側のしびれ・アキレス腱反射低下・底屈力低下を来す。SLR(下肢伸展挙上)テストで坐骨神経痛を誘発できる。保存療法で軽快しない場合や、馬尾症候群(両下肢の麻痺・感覚障害・膀胱直腸障害)を疑う場合は緊急手術適応となる。看護では疼痛コントロール、姿勢指導(前かがみ・重量物挙上を避ける)、体幹筋トレーニングの指導などが重要。
腰椎椎間板ヘルニアの疫学(年齢・性別・好発部位)、診断(MRI)、治療方針(原則保存)を区別できるかを問う整形外科の定番問題。
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