副鼻腔手術後の看護の要点は眼窩合併症
看護師国家試験 第108回 午後 第46問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系
国試問題にチャレンジ
慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)の手術を受けた患者に対する説明で適切なのはどれか。
- 1.咽頭にたまった分泌物は飲んでも良い。
- 2.臥床時は頭部を低く保つ。
- 3.手術当日から入浴が可能である。
- 4.物が二重に見えるときは看護師に伝える。
対話形式の解説
博士
今日は慢性副鼻腔炎の手術を受けた患者への説明について考えよう。
アユム
副鼻腔炎の手術ってどんな手術ですか?
博士
現在は内視鏡下副鼻腔手術(ESS)が主流じゃ。鼻腔から内視鏡を入れて副鼻腔の病変組織を切除するんじゃよ。
アユム
正解はどれですか?
博士
4の物が二重に見えるときは看護師に伝える、が正解じゃ。
アユム
複視ってなぜ起きるんですか?
博士
副鼻腔は眼窩の内側壁である紙様板と接しておってな、手術操作で損傷すると外眼筋が巻き込まれて複視が出たり、眼窩内血腫で視神経が圧迫されると視力障害が起きるんじゃ。
アユム
重大な合併症なんですね。
博士
そう、早期発見が視機能保護に直結するから、複視・視力低下・眼窩周囲の腫れを感じたらすぐ報告するよう術前から説明するんじゃ。
アユム
1の分泌物を飲んでもいい、は違うんですか?
博士
違うぞ。咽頭に流れてくる後鼻漏には血液や滲出液が混じっておって、飲み込むと悪心や嘔吐を誘発するんじゃ。口から吐き出すよう指導するんじゃよ。
アユム
2の頭部を低く保つのも違いますね。
博士
頭を低くすると顔面の静脈還流が悪くなって腫脹や出血が悪化するんじゃ。ファウラー位や半座位で頭部を挙上することが基本じゃ。
アユム
3の入浴はいつから可能ですか?
博士
温浴は血管を拡張させて後出血の原因になるから、当日は禁止じゃ。シャワーは数日後、入浴は術後1週間くらい経ってからが目安じゃな。
アユム
他に生活指導で注意点は?
博士
鼻を強くかむ、鼻をすする、くしゃみを我慢するのも後出血の原因になる。くしゃみは口を開けて行うよう指導するんじゃ。
アユム
術後観察のポイントは?
博士
バイタルサイン、後鼻漏量、眼球運動、視力、髄液漏の有無じゃ。特に眼症状は時間単位で変化するから注意深く観察するんじゃよ。
アユム
鼻洗浄はしますか?
博士
タンポン抜去後に鼻洗浄を行うのが一般的じゃ。痂皮除去と創部清潔に役立つぞ。
アユム
退院指導まで理解できました。
POINT
副鼻腔内視鏡手術後の看護では眼窩内合併症の早期発見が最重要で、複視・視力低下は即報告が原則です。体位は頭部挙上、後鼻漏は吐き出す、入浴は術後1週間程度見合わせるなどの指導が必要です。鼻をかむ・すするを避け、くしゃみは口を開けて行うなど生活指導も重要です。タンポン抜去後の鼻洗浄も含めた退院指導でセルフケアを支えます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:慢性副鼻腔炎(chronic sinusitis)の手術を受けた患者に対する説明で適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。副鼻腔は眼窩や頭蓋底に隣接しており、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)では眼窩内壁(紙様板)損傷による複視や視神経管損傷による視力障害が重大な合併症となります。複視や視力低下、眼窩周囲の腫脹・皮下出血を認めた場合はただちに看護師へ報告するよう術前から説明することが必要です。
選択肢考察
-
× 1. 咽頭にたまった分泌物は飲んでも良い。
後鼻漏として咽頭に流れてくる分泌物には血液や滲出液が含まれ、嚥下すると悪心・嘔吐を招きやすいです。口から軽く吐き出すよう指導します。
-
× 2. 臥床時は頭部を低く保つ。
頭部を低くすると顔面への血流がうっ滞して腫脹や出血、頭重感を増悪させます。頭部を挙上したファウラー位や半座位で静脈還流を促し、後出血と腫脹を予防します。
-
× 3. 手術当日から入浴が可能である。
温浴は血管拡張を起こし後出血を誘発するため、手術当日の入浴は禁止です。シャワーは数日後から、入浴は術後1週間程度経過し出血リスクが低下してから許可されます。
-
○ 4. 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
副鼻腔手術の重大合併症として眼窩内壁損傷による外眼筋障害や眼窩内血腫があり、複視・視力低下・眼球運動障害として現れます。早期発見と対応が視機能保護に直結するため報告を促します。
内視鏡下副鼻腔手術の主な合併症は後出血、眼窩内合併症(複視・視力障害・眼窩血腫)、髄液漏、嗅覚障害などです。術後は頭部挙上、氷枕での冷罨法、鼻をかむ・強くすすることの禁止、くしゃみは口を開けて行うよう指導します。タンポン抜去までの間、後鼻漏の嚥下は避け吐き出すこと、鼻洗浄の方法なども退院指導に含まれます。
副鼻腔手術後の合併症、特に眼窩内合併症の重要性と体位・生活指導を問う問題です。視機能症状の早期報告の意義を理解できるかが焦点です。
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