鼓室形成術後の退院指導
看護師国家試験 第111回 午後 第47問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系
国試問題にチャレンジ
鼓室形成術を受けた患者の退院指導の内容で正しいのはどれか。
- 1.水泳は可能である。
- 2.耳垢はこまめに除去する。
- 3.鼻を強くかむことを禁じる。
- 4.エレベーターの使用を勧める。
対話形式の解説
博士
今日は鼓室形成術後の退院指導について学ぼう。鼓室形成術は慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対して、鼓膜と耳小骨連鎖を再建する手術じゃ。
サクラ
どんな術式があるのですか?
博士
I型は鼓膜のみ形成、II〜IV型は耳小骨再建を含む。自家軟骨、筋膜、あるいは人工耳小骨などを使う。聴力改善が目的じゃ。
サクラ
術後の最大のポイントは何ですか?
博士
再建した組織が安定するまで、中耳に圧力変化を与えないことじゃ。それと感染予防。この2本柱が退院指導の核となる。
サクラ
水泳は可能ですか?
博士
術後しばらくは耳内への水の侵入で感染リスクがあるため、水泳・洗髪時の耳への浸水は医師の許可があるまで避ける。選択肢1は誤りじゃ。
サクラ
耳垢除去はどうでしょう?
博士
術後の外耳道には創部があり、自己処置は創部損傷や感染を招く。耳垢処理は通院時に医師が行う。選択肢2も誤りじゃな。
サクラ
正解の3番、鼻かみについて教えてください。
博士
強く鼻をかむと鼻咽腔の圧が耳管を通じて中耳に伝わり、再建した鼓膜や移植組織がずれたり、出血・感染を起こす危険がある。だから強い鼻かみは厳禁じゃ。
サクラ
鼻をかむときはどうすればよいのですか?
博士
口を開けながら片方ずつ弱くかむのが基本じゃ。両鼻同時や強い鼻かみは耳管への圧伝達が大きい。
サクラ
エレベーターはどうですか?
博士
エレベーターは昇降で急激な気圧変化が生じる。飛行機と同様、中耳内圧に影響するため避けるよう指導する。選択肢4も誤りじゃ。
サクラ
他に気をつけることは?
博士
くしゃみは口を開けて行う、上気道感染予防、重い物を持ち上げない、頭位変換に注意、急な高所移動を避ける、といった具体的な指導が必要じゃ。
サクラ
聴力はすぐ改善するのですか?
博士
いや、移植組織が生着し安定するまで数か月かかる。術直後は逆に聴力が低下することもあり、焦らず経過観察が大切じゃ。
サクラ
退院指導の重要性がよくわかりました。
博士
手術の成否は術中だけでなく術後管理で決まる。患者と家族に具体的な生活指導を行うことが看護師の重要な役割じゃよ。
POINT
鼓室形成術後は再建組織の安定化と感染予防が最重要です。鼻を強くかむと中耳に圧がかかり移植組織の脱転を招くため厳禁で、口を開けて片方ずつ弱くかむよう指導します。水泳や自己での耳垢除去、エレベーターによる急な気圧変化も避けます。聴力改善は数か月かけて安定するため焦らず経過を追います。正解は選択肢3です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:鼓室形成術を受けた患者の退院指導の内容で正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。鼓室形成術は慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎、耳小骨離断などに対して、鼓膜と耳小骨連鎖を再建して伝音機能を回復させる手術です。術後は再建した鼓膜や移植組織が安定するまで中耳に圧力変化を与えないことが最重要で、鼻を強くかむと鼻咽腔の圧が耳管を通じて中耳に伝わり、移植組織のずれ・脱転、出血、感染を引き起こす危険があるため厳禁とされます。
選択肢考察
-
× 1. 水泳は可能である。
術後しばらくは耳内への水の侵入で感染を起こすリスクがあるため、水泳・洗髪時の耳への浸水は医師の許可があるまで避けます。許可されるまでの期間は術式や創部の治癒状況により異なります。
-
× 2. 耳垢はこまめに除去する。
術後の外耳道は創部が存在し、自己処置での耳垢除去は創部を損傷し感染や再建組織の障害を招きます。耳垢の処理は通院時に医師が行うため、患者自身での除去は控えます。
-
○ 3. 鼻を強くかむことを禁じる。
強い鼻かみは耳管を介して中耳に圧をかけ、再建した鼓膜や移植組織の偏位・脱転、出血、感染リスクを高めます。鼻をかむときは口を開けながら片方ずつ弱く行うよう指導します。
-
× 4. エレベーターの使用を勧める。
エレベーターは昇降に伴う急激な気圧変化が生じ、飛行機や高所の急な移動と同様に中耳内圧に影響します。術後しばらくは急激な気圧変化を避けるよう指導します。
鼓室形成術にはI型(鼓膜形成)からIVa・IVb型(耳小骨再建を含む複雑な術式)まであり、自家軟骨・筋膜・人工耳小骨などが使用されます。退院指導では、鼻かみの方法、耳への浸水予防、くしゃみ時に口を開ける、急な気圧変化を避ける、上気道感染予防、重い物を持ち上げない、頭位変換に注意するなどを具体的に伝えます。聴力改善は術後数か月かけて安定します。
中耳手術後の圧変動回避・感染予防を中心とした退院指導の要点を問う問題です。
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