50歳でも使える介護保険!末期がんと特定疾病
看護師国家試験 第105回 午前 第117問 / 地域・在宅看護論 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。 病棟看護師はAさんと夫とを交えてカンファレンスを行った。夫は「妻は体力がとても落ちて、見ているのがつらいです。病気が進行すると動けなくなると聞きました。私は介護に自信がありません」と不安を訴えた。 Aさんと夫への今後の不安に対する対応として最も適切なのはどれか。
- 1.生活保護の手続きをするよう促す。
- 2.要介護認定の申請手続きをするよう促す。
- 3.家事をしてくれる人を雇用するよう促す。
- 4.訪問リハビリテーションの利用を勧める。
対話形式の解説
博士
Aさんは50歳女性、子宮頸癌の終末期で余命2か月じゃ。夫は58歳で脳梗塞後遺症があり、介護に自信がないと訴えておる。
サクラ
50歳だと介護保険は使えないんじゃないですか?
博士
実はそこが大事なポイントじゃ。正解は2の要介護認定の申請促進じゃな。
サクラ
40歳から65歳未満でも使えるんですか?
博士
40〜64歳の第2号被保険者は『特定疾病』に該当すれば要介護認定を申請できるぞい。末期がんはその16疾病の一つじゃ。
サクラ
16疾病にはどんなものがあるんですか?
博士
がん末期、ALS、パーキンソン病関連疾患、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、初老期認知症、関節リウマチ、後縦靱帯骨化症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症による骨折、早老症、糖尿病性三合併症、閉塞性動脈硬化症、脳血管疾患、COPD、両側変形性関節症の16じゃ。
サクラ
1の生活保護はどうして違うんですか?
博士
生活保護は生活困窮者への最低生活保障制度じゃ。Aさん夫婦は経済的に安定していると明記されておるから対象外じゃな。課題は介護体制じゃ。
サクラ
3の家事代行の雇用は?
博士
家事負担の詳細は不明で、まず公的サービスを優先すべきじゃ。私費で家政婦を雇う前に介護保険・医療保険制度の活用が先じゃな。
サクラ
4の訪問リハビリは?
博士
訪問リハビリは機能維持や自立支援が目的。終末期でQOL維持や看取りが主眼の場合、最優先ではない。要介護認定を取ってから包括的にサービスを組み合わせるのがよい。
サクラ
申請から認定まで時間がかかりませんか?
博士
通常30日程度じゃが、末期がんでは暫定ケアプランで迅速にサービス導入する運用が一般的じゃぞい。
サクラ
どんなサービスが使えますか?
博士
訪問看護、訪問介護、福祉用具貸与(特殊寝台・エアマットなど)、訪問入浴、短期入所などが利用できる。夫の介護不安を具体的に解消できるんじゃ。
サクラ
医療面では訪問看護が医療保険でも利用できますよね。
博士
末期がんは医療保険で訪問看護が使える特例対象じゃ。介護保険と組み合わせて手厚い在宅支援が可能じゃぞい。
サクラ
在宅看取りを支える制度を理解しておくことが大切ですね。
POINT
末期がんは介護保険の特定疾病であり、50歳のAさんでも第2号被保険者として要介護認定を申請できます。正解は2で、訪問看護・訪問介護等を導入し夫の介護不安を軽減できます。生活保護は経済的に不要、家事代行より公的サービス優先、訪問リハビリは目的が異なり優先度が下がります。末期がんでは医療保険による訪問看護併用も可能です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。 病棟看護師はAさんと夫とを交えてカンファレンスを行った。夫は「妻は体力がとても落ちて、見ているのがつらいです。病気が進行すると動けなくなると聞きました。私は介護に自信がありません」と不安を訴えた。 Aさんと夫への今後の不安に対する対応として最も適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。40〜64歳の第2号被保険者は、介護保険の『特定疾病』に該当すれば要介護認定を申請でき、末期がんはその16疾病の一つです。認定を受けることで訪問看護、訪問介護、福祉用具貸与、訪問入浴など在宅療養に必要なサービスを導入でき、夫の介護負担と不安を大きく軽減できます。
選択肢考察
-
× 1. 生活保護の手続きをするよう促す。
生活保護は生活困窮者への最低生活保障制度であり、経済的に安定しているAさん夫婦は対象ではありません。抱える課題は介護体制であって経済ではありません。
-
○ 2. 要介護認定の申請手続きをするよう促す。
末期がんは介護保険の特定疾病に該当し、50歳のAさんでも第2号被保険者として要介護認定を申請できます。訪問看護や介護サービスを導入することで夫の介護不安を具体的に解消できます。
-
× 3. 家事をしてくれる人を雇用するよう促す。
家事負担の詳細は不明であり、私費で家政婦を雇うより公的サービスの活用が優先されます。介護保険や医療保険制度を使った正式なサービスが先です。
-
× 4. 訪問リハビリテーションの利用を勧める。
訪問リハビリは機能維持や自立支援が目的で、余命2か月の終末期でQOL維持や看取りが主眼の本事例では最優先とはなりません。まずは包括的サービス導入の要となる要介護認定が先です。
介護保険の特定疾病16疾病にはがん(末期)、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病関連疾患、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、初老期認知症、関節リウマチ、後縦靱帯骨化症、脊柱管狭窄症、骨折を伴う骨粗鬆症、早老症、糖尿病性腎症・網膜症・神経障害、閉塞性動脈硬化症、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、両側の変形性関節症が含まれます。申請から認定までは通常30日程度ですが、末期がんでは暫定ケアプランで迅速に導入するのが通例です。
終末期がん患者を介護保険の特定疾病として要介護認定申請できることと、公的サービスによる在宅支援の枠組みを理解しているかを問う問題です。
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