在宅看取りの司令塔!ケアマネジャーの役割
看護師国家試験 第105回 午前 第118問 / 地域・在宅看護論 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。 看護師が退院に向けて最も連携すべき職種はどれか。
- 1.理学療法士
- 2.管理栄養士
- 3.介護支援専門員
- 4.保健所の保健師
対話形式の解説
博士
Aさんは要介護認定の申請を終えて退院に向かうところじゃ。ここで最も連携すべき職種はどれかの?
アユム
3の介護支援専門員、ケアマネジャーだと思います。
博士
正解じゃ。ケアマネジャーはケアプラン作成とサービス調整を担う在宅療養の司令塔じゃな。
アユム
具体的にどんな仕事をしているんですか?
博士
利用者のアセスメント、ケアプラン作成、サービス担当者会議の開催、モニタリング、給付管理じゃ。各事業所を束ねて利用者のニーズに合ったサービスを組み立てる。
アユム
1の理学療法士はどうして違うんですか?
博士
終末期ケアでは機能回復より症状緩和・QOL維持・看取りが主眼じゃ。PTの介入は補助的で、サービス全体の調整役にはならん。
アユム
2の管理栄養士は?
博士
Aさんは食事が摂れておるから、現時点で栄養管理が最も切迫した課題ではないぞい。今後悪液質が進めば介入の場面はあるがな。
アユム
4の保健所の保健師は?
博士
保健所保健師は感染症・難病・母子保健・精神保健などの地域保健活動が主じゃ。個別の退院調整の中心にはならんな。むしろ市町村保健師や地域包括支援センターとの関係が個別支援では重要じゃ。
アユム
末期がんでは申請から認定までの間はどうするんですか?
博士
暫定ケアプランじゃ。認定結果を待たずに見込みで計画を立てて速やかにサービス導入する。退院時共同指導料も算定できて医療と介護の橋渡しが進むぞい。
アユム
他にはどんな職種が連携しますか?
博士
病棟看護師、退院調整看護師、訪問看護師、主治医、かかりつけ医、薬剤師、ソーシャルワーカー、福祉用具専門相談員などじゃ。チームで在宅看取りを支える。
アユム
夫も不全麻痺があるので福祉用具も必要そうですね。
博士
特殊寝台、エアマット、ポータブルトイレ、介助バーなどを早めに導入するとよい。ケアマネが段取りしてくれるんじゃ。
アユム
医療保険の訪問看護との連携も重要ですね。
博士
末期がんは医療保険訪問看護が特例で使えるから、訪問回数を柔軟に増やせる。主治医の訪問看護指示書とケアマネの連動が鍵じゃぞい。
アユム
在宅看取りはチーム医療なんですね。
POINT
在宅療養を支えるケアプラン作成と多職種調整の中核を担うのが介護支援専門員で、正解は3です。終末期がんでは暫定ケアプランと退院時共同指導により、訪問看護・訪問介護・福祉用具・主治医等をスピーディーに連動させる必要があります。理学療法士・管理栄養士・保健所保健師は状況に応じて関わりますが、退院調整の司令塔ではありません。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(50歳、女性)は、子宮頸癌(cancer of the uterine cervix)の終末期で入院し緩和ケア治療を行っている。倦怠感は強いが食事は摂れている。麻薬を使用し疼痛のコントロールはできており、ふらつきはあるがトイレ歩行はできる。医師からは余命2か月と告知されており、退院して自宅で最期を迎えたいと希望している。主な介護者となる夫は58歳で、5年前の脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で不全麻痺がある。経済的には安定している。子どもはいない。 看護師が退院に向けて最も連携すべき職種はどれか。
解説:正解は 3 です。介護支援専門員(ケアマネジャー)は要介護者のニーズを評価し、ケアプランを作成して各種サービス事業所と連絡調整を行う在宅支援の中核的職種です。末期がんで要介護認定を受けたAさんが自宅で最期を迎えるためには、ケアマネジャーを軸に訪問看護・訪問介護・福祉用具等を速やかに組み立てることが不可欠です。
選択肢考察
-
× 1. 理学療法士
終末期ケアでは機能回復よりQOL維持と看取りが主眼で、理学療法士の介入は補助的です。サービス全体のコーディネーターとして最優先ではありません。
-
× 2. 管理栄養士
Aさんは食事が摂れており、現時点で栄養管理が最も切迫した課題ではありません。退院調整の中心職種には該当しません。
-
○ 3. 介護支援専門員
介護支援専門員はケアプラン作成とサービス調整を担う在宅療養の司令塔です。訪問看護・訪問介護・福祉用具貸与などを夫の状況に合わせて組み立て、在宅看取りを実現するため最も連携が必要です。
-
× 4. 保健所の保健師
保健所保健師は地域保健活動(感染症、難病、母子保健、精神保健など)が主な業務で、個別の退院調整の中心にはなりません。終末期がんは医療依存度が高く市町村保健師や地域包括支援センターとの関係が中心です。
介護支援専門員は介護保険法に基づく資格で、利用者のアセスメント・ケアプラン作成・サービス担当者会議開催・モニタリング・給付管理を担います。末期がんでは迅速な暫定ケアプランと退院時共同指導が重要で、病棟看護師・退院調整看護師・ケアマネジャー・訪問看護師・主治医・かかりつけ医の連携が在宅看取りの成否を左右します。
在宅療養の中核職種としてのケアマネジャーの役割と、退院支援における多職種連携の中心を理解しているかを問う問題です。
「状況設定問題」の関連記事
-
片麻痺の高齢者が転びそうになった—訪問看護師が真っ先に確かめるのは「健側の力」
片麻痺で杖歩行する高齢者の在宅転倒予防において、最初に評価すべき身体機能を問う問題。健側の筋力が転倒回避の要…
114回
-
食べていない日こそ大切―在宅看取り期の口腔ケアという生命線
在宅で介護負担が大きい高齢夫婦に対し、誤嚥性肺炎予防の視点で「経口摂取がなくても口腔ケアは継続する」ことを家…
114回
-
「排泄だけは自立したい」—自尊心を守る尿失禁ケアの第一歩
自立心の強い在宅高齢者の尿失禁に対し、自立を維持できる行動療法的アプローチを選ぶ問題。本人の希望を尊重した支…
114回
-
在宅看取りという選択を支える―訪問看護師が家族に最初に伝えるべきこと
在宅看取りの意思決定支援において、訪問看護師が最初に提供すべき情報は「家族が安心して在宅看取りを選択できる支…
114回
-
退院3か月後の便秘—薬より先に整えるべきは「食卓」
在宅高齢者の便秘に対する初期対応として、薬剤や浣腸ではなく生活習慣の見直しを優先するという原則を問う問題。
114回