StudyNurse

人工呼吸器の低圧アラーム対応

看護師国家試験 第108回 午後 第116問 / 地域・在宅看護論 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

108回 午後 第116問

次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)<ALS>と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全(chronic renal failure)のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。 退院から1週後に妻から訪問看護ステーションに連絡があり「人工呼吸器のアラームが鳴り続けていて、どうしたらいいのかわかりません。低圧アラームが点灯しています。気管カニューレも抜けていないし、呼吸もいつも通りにしているように見えます」と尋ねた。 この時の訪問看護師の妻への回答で正しいのはどれか。

  1. 1.「気管内の吸引を行ってください」
  2. 2.「回路にゆるみがないか確認してください」
  3. 3.「電源プラグが抜けていないか確認してください」
  4. 4.「ウォータートラップに水が溜まっていないか確認してください」

対話形式の解説

博士 博士

今回は在宅で人工呼吸器を使っているAさんで、低圧アラームが鳴り続けている場面じゃ。

アユム アユム

気管カニューレは抜けていないのに低圧アラームが鳴る…どういうことでしょうか?

博士 博士

そこが核心じゃよ。低圧アラームは「気道内圧が下がった」ときに鳴る。つまり空気が漏れているんじゃ。

アユム アユム

正解は2番の「回路にゆるみがないか確認してください」ですね。

博士 博士

その通りじゃ。呼吸器本体〜蛇管〜加湿器〜ウォータートラップ〜患者接続部まで、どこかの接続が緩んだり外れたりするとリーク(漏れ)が起こる。

アユム アユム

カフ圧の低下も原因になりますか?

博士 博士

なるほど良い質問。気管カニューレ自体は抜けていなくても、カフが萎んでいたら漏れて低圧アラームが鳴るから、カフ圧の確認も大切じゃ。

アユム アユム

1番の気管吸引はどうですか?

博士 博士

痰が貯留していると気道内圧が上がるから、これは高圧アラームの原因じゃ。低圧とは逆じゃよ。

アユム アユム

3番の電源プラグは?

博士 博士

電源が抜けた場合は電源系アラーム(内部バッテリー作動、電源喪失)が鳴る専用回路がある。低圧アラームとは別物じゃ。

アユム アユム

4番のウォータートラップは?

博士 博士

ウォータートラップに水が溜まると蛇管内に水が流れず、回路抵抗が上がって高圧アラームが鳴るんじゃ。やはり低圧とは逆じゃな。

アユム アユム

高圧アラームの原因をまとめると?

博士 博士

痰貯留、咳嗽、回路屈曲、ウォータートラップ水貯留、バイティングなどじゃ。

アユム アユム

低圧アラームは?

博士 博士

回路外れ、接続緩み、カフ漏れ、蛇管破損など。「漏れ」を想像するとわかりやすいじゃろ。

アユム アユム

在宅では家族がまず対応するんですね。

博士 博士

そうじゃ。だから退院指導でアラーム種類別の対応手順を具体的に伝え、緊急連絡先を明確にしておく必要がある。今回の訪問看護師の電話対応も、妻が確認すべきポイントを的確に指示することが命を守るんじゃよ。

アユム アユム

訪問看護師の役割は本当に大きいですね。

博士 博士

24時間オンコール体制を整えることで、在宅人工呼吸療法は安心して続けられるんじゃ。

POINT

人工呼吸器の低圧アラームは気道内圧が低下した時、すなわち回路の外れ・緩み・カフ漏れなどリークが発生した時に作動します。気管カニューレが抜けていない場合は、蛇管の接続部やカフ圧を確認することが最優先です。痰貯留やウォータートラップの水貯留は高圧アラームの原因、電源喪失は電源系アラームと種類が異なります。家族が適切に初期対応できるよう、アラーム別のトラブルシューティング指導が重要です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:次の文を読み問いに答えよ。 Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)<ALS>と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全(chronic renal failure)のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。 退院から1週後に妻から訪問看護ステーションに連絡があり「人工呼吸器のアラームが鳴り続けていて、どうしたらいいのかわかりません。低圧アラームが点灯しています。気管カニューレも抜けていないし、呼吸もいつも通りにしているように見えます」と尋ねた。 この時の訪問看護師の妻への回答で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。低圧(気道内圧下限)アラームは回路の外れ・緩み・リーク(漏れ)により気道内圧が設定値を下回った時に作動します。気管カニューレが抜けていないなら、呼吸器本体〜蛇管〜加湿器〜ウォータートラップ〜患者接続部までの接続部の緩みやカフ圧低下を確認することが最優先です。

選択肢考察

  1. × 1.  「気管内の吸引を行ってください」

    痰貯留は気道内圧を上げるため高圧アラームが鳴ります。低圧アラーム点灯時の原因として合致しません。

  2. 2.  「回路にゆるみがないか確認してください」

    回路の緩み・外れ・リークは気道内圧を低下させ低圧アラームを作動させます。最初に確認すべき原因です。

  3. × 3.  「電源プラグが抜けていないか確認してください」

    電源が抜けた場合は電源系(内部バッテリー作動・電源喪失)アラームが鳴り、低圧アラームとは区別されます。

  4. × 4.  「ウォータートラップに水が溜まっていないか確認してください」

    ウォータートラップに水が溜まり回路内圧が上昇した場合は高圧アラームが鳴ります。低圧アラームの原因ではありません。

人工呼吸器アラームは大きく高圧系と低圧系に分かれます。高圧アラーム原因は痰貯留、咳嗽、回路屈曲、ウォータートラップの水貯留、バイティングなど。低圧アラーム原因は回路外れ、接続緩み、カフ漏れ、蛇管の破損など。ほかに無呼吸アラーム、分時換気量アラーム、電源系アラームがあります。在宅では家族がアラーム種類と対応を区別できるよう、具体的な確認手順を指導することが重要です。

在宅人工呼吸療法における低圧アラーム発生時のトラブルシューティングを問う問題です。