看護過程の5段階を制す 評価可能な目標がケアを変える
看護師国家試験 第114回 午後 第18問 / 必修問題 / 看護の基本技術
国試問題にチャレンジ
看護過程で適切なのはどれか。
- 1.医師の指示に基づいて看護問題の優先順位を決定する。
- 2.実施、評価の2段階で構成される。
- 3.潜在する問題は取り上げない。
- 4.評価可能な目標を設定する。
対話形式の解説
博士
今回は看護過程について学ぶぞ。看護過程って何段階で構成されるか分かるかな?
アユム
アセスメント、計画、実施、評価の4段階…ですか?
博士
惜しい。5段階じゃ。アセスメント→看護診断→計画立案→実施→評価の順じゃ。
アユム
看護診断ってアセスメントと別なんですか?
博士
そうじゃ。アセスメントは情報を集めて分析する段階、看護診断はその分析結果から「この患者にはこの看護問題がある」と問題を明確化する段階じゃ。
アユム
選択肢2では実施と評価の2段階となっていますが、これは間違いですね。
博士
もちろん間違いじゃ。情報を集めて問題を見極めずにいきなり実施したら、的外れなケアになってしまう。
アユム
選択肢1の「医師の指示で優先順位を決める」はどうですか?
博士
これも間違いじゃ。看護問題の優先順位を決めるのは看護師の責任。医師の指示は治療方針であって、看護診断とは別の概念じゃ。
アユム
優先順位はどうやって決めるんですか?
博士
生命の危険があるもの、患者の苦痛が強いもの、患者が望んでいるもの、放置すると他の問題に波及するものを優先する。マズローの基本的欲求階層やABCDアプローチも参考になるな。
アユム
選択肢3の「潜在する問題は取り上げない」も気になります。
博士
これも誤りじゃ。看護診断にはリスク型といって、まだ起こっていないけれど起こりうる問題にも対応する。例えば「転倒のリスク」「褥瘡発生のリスク」などじゃ。
アユム
予防的介入が看護の真骨頂ですね。
博士
その通り!医師は治療、看護師は生活と健康全体を支える。だからこそ潜在的問題への予防的アプローチが重要じゃ。
アユム
最後の選択肢4の「評価可能な目標」はなぜ正解なんですか?
博士
看護目標は評価できないと意味がない。例えば「歩けるようになる」では曖昧じゃろう?「○月○日までに病室から食堂まで杖を使って自力歩行できる」のように具体的にする。
アユム
SMART原則ってやつですね。
博士
ようく知っておるな。Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-bound(期間設定)じゃ。これに沿って目標を立てると評価できるのじゃ。
アユム
評価できれば次の改善につながるんですね。
博士
看護過程はぐるぐる回るサイクルじゃ。評価結果が次のアセスメントの材料になり、計画を修正していく。生きたプロセスとして患者ケアを進化させるのじゃ。
アユム
学生のレポートでも看護目標が曖昧だと指導されますもんね。
博士
そうじゃ、評価可能な目標設定は看護師の思考力の見せ所じゃ。これが身につけば、根拠に基づいた質の高いケアを提供できるようになる。
POINT
看護過程はアセスメント・看護診断・計画立案・実施・評価の5段階からなる科学的・系統的な問題解決プロセスで、看護師が主体的に対象者のニーズを把握しケアを組み立てる思考の枠組みです。看護目標は「いつまでに・何が・どの程度」できるかを観察可能・測定可能な形で設定することで評価が可能となり、PDCAサイクルが機能します。優先順位の決定や潜在的問題への対応は看護師の独立した判断によるもので、医師の指示で決まるものではありません。SMART原則を意識した目標設定や、リスク型看護診断による予防的介入は、根拠に基づく質の高い看護実践の基盤となります。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:看護過程で適切なのはどれか。
解説:正解は 4 の「評価可能な目標を設定する。」です。看護過程は対象者の健康問題やニーズを科学的・系統的に解決していく思考プロセスで、①アセスメント(情報収集と分析)→②看護診断(問題の明確化)→③計画立案(目標設定と介入計画)→④実施(計画に基づくケア提供)→⑤評価(目標達成度の判定)の5段階で構成されます。看護目標は患者を主語にして「いつまでに・何が・どの程度」できるかを観察可能・測定可能な形で設定する必要があり、これを満たすことで実施したケアの効果を客観的に判定し、次のサイクルに反映させることができます。
選択肢考察
-
× 1. 医師の指示に基づいて看護問題の優先順位を決定する。
看護問題の優先順位は看護師が主体的にアセスメントを行って判断するもの。生命の危険、患者の苦痛、患者のニーズ、波及効果などを基準にマズローの欲求階層なども参考に決定する。医師の指示で決めるのは医学的治療方針であり、看護診断・看護問題は別概念。
-
× 2. 実施、評価の2段階で構成される。
看護過程はアセスメント・看護診断・計画立案・実施・評価の5段階(NANDA-Iの分類では看護診断と計画を分け6段階とする場合もある)で構成される。実施と評価だけでは患者の問題を抽出するプロセスが欠落してしまう。
-
× 3. 潜在する問題は取り上げない。
看護過程では現に表れている顕在的問題だけでなく、リスク型看護診断として潜在的問題(例:転倒のリスク、皮膚統合性障害のリスクなど)にも予防的介入を行う。早期対応により合併症を回避できるため、潜在問題の抽出は看護独自の重要な機能。
-
○ 4. 評価可能な目標を設定する。
看護目標は患者を主語に、観察可能・測定可能・現実的・期間設定(SMART原則)された形で設定する。評価可能だからこそ介入の効果が判定でき、次のケア改善につながる。
看護過程の5段階は循環的・相互関連的で、評価結果に応じてアセスメントや計画に立ち戻る動的なプロセスである。看護診断は北米看護診断協会(NANDA-I)の分類では「実在型」「リスク型」「ヘルスプロモーション型」「シンドローム型」の4タイプに分類される。看護目標設定の際にはSMART(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期間設定)の原則を意識するとよい。優先順位の決定にはマズローの基本的欲求階層やABC(Airway, Breathing, Circulation)の考え方を活用する。
看護過程の5段階構成と看護独自の判断責任、目標設定の原則を問う問題。「評価可能な目標」がPDCAサイクルの起点となることを押さえる。
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