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乳児の心拍はなぜ速い?年齢別バイタルサインの基本を整理しよう

看護師国家試験 第114回 午後 第61問 / 必修問題 / 看護の基本技術

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第61問

乳児の心拍測定で正しいのはどれか。

  1. 1.心拍数110/分は正常である。
  2. 2.聴診ではⅠ音とⅡ音で2心拍である。
  3. 3.バスタオルで体幹および四肢を固定して測定する。
  4. 4.呼吸周期に関連した心拍リズムの不整は異常である。

対話形式の解説

博士 博士

今回は乳児の心拍測定についてじゃ。まず乳児の心拍数の正常値、いくつか覚えておるかの?

サクラ サクラ

えっと…成人より速い印象はあるんですが、具体的な数字は曖昧です。

博士 博士

乳児の心拍数はだいたい110〜130回/分が目安じゃ。新生児はもっと速くて120〜140回/分ほどになる。年齢が上がるにつれてだんだん遅くなり、学童期で80〜90回/分くらいに落ち着いていくのじゃ。

サクラ サクラ

どうして子どもは大人より心拍が速いんですか?

博士 博士

良い質問じゃ。乳児は心臓そのものが小さく、一度の収縮で送り出せる血液量(1回拍出量)が少ない。そのぶん心拍数を上げて必要な心拍出量を確保しておるのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど!じゃあ問題の選択肢2「Ⅰ音とⅡ音で2心拍」は明らかに違いますね。Ⅰ音は房室弁が閉じる音、Ⅱ音は半月弁が閉じる音で、合わせて1心拍ですよね。

博士 博士

その通りじゃ。「ドックン」のドックでⅠ音、ンでⅡ音、両方そろって1拍と数える。

サクラ サクラ

選択肢3のバスタオルで固定するというのは、乳児が暴れると危ないから良さそうに思えますが…?

博士 博士

ところがバスタオルでぎゅっと体を固定すると、嫌がって泣いてしまい、心拍が一気に150〜180回/分まで跳ね上がることがあるのじゃ。これでは正しい値が取れんじゃろ?

サクラ サクラ

確かに。安静にできる工夫が大事ということですね。抱っこされた状態のまま測ったり、おもちゃで気をそらしたりするんですか?

博士 博士

その通り。保護者の膝の上、できれば授乳後や入眠中など落ち着いている時間を選ぶとよい。聴診器も先に温めておくと驚かせにくいぞ。

サクラ サクラ

最後の選択肢4の呼吸性不整脈はどうですか?息に合わせてリズムが変わるのは普通だと聞いたことがあります。

博士 博士

うむ。吸気時には迷走神経の抑制が解けて心拍が増え、呼気時には迷走神経が優位になって心拍が減る。これが呼吸性不整脈で、健康な乳幼児や若年者ではむしろよくみられる生理的現象じゃ。

サクラ サクラ

逆にいうと、呼吸とまったく関係なく不規則に脈が乱れているときは要注意ということですね。

博士 博士

その通り。期外収縮や上室頻拍など病的な不整脈との鑑別は重要で、心音の規則性、脈の触れ方、顔色、機嫌、哺乳力などを総合的に観察する目を養っておこう。

POINT

乳児の心拍数の正常値は110〜130回/分とされ、110/分は正常範囲内です。Ⅰ音とⅡ音は1回の心拍を構成する2つの心音であり、両者を合わせて1心拍と数えます。バスタオルで強く固定すると啼泣により心拍が上昇するため、安静時に保護者の膝上などリラックスできる体位で測定するのが基本です。呼吸性不整脈は自律神経による生理的現象で、乳幼児では正常所見と捉えます。小児のバイタルサインは年齢ごとに基準値が異なり、看護師には発達段階を踏まえたアセスメント力が求められます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:乳児の心拍測定で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。乳児(生後1か月から1歳未満)の心拍数の基準値はおおむね110〜130回/分とされており、110/分はその範囲に収まる正常値である。乳児は成人に比べて1回拍出量が少ないため、心拍数を増やして必要な心拍出量を確保しており、年齢が低いほど脈拍は速い。発達段階ごとに正常値が異なるため、小児のフィジカルアセスメントでは年齢別の基準値を踏まえて判断することが大切である。

選択肢考察

  1. 1.  心拍数110/分は正常である。

    乳児の心拍数の正常値は110〜130回/分前後で、110/分はこの範囲内に収まり生理的に正常といえる。

  2. × 2.  聴診ではⅠ音とⅡ音で2心拍である。

    Ⅰ音(房室弁閉鎖音)とⅡ音(半月弁閉鎖音)は1回の心周期内で連続して聞こえる音であり、Ⅰ音+Ⅱ音で1心拍と数える。

  3. × 3.  バスタオルで体幹および四肢を固定して測定する。

    心拍測定は安静時に行うのが原則だが、バスタオルで体幹や四肢を強く固定すると啼泣や興奮を誘発し、かえって心拍数が上昇して正確な値が得られない。固定が必要なのは採血や注射などの処置時である。

  4. × 4.  呼吸周期に関連した心拍リズムの不整は異常である。

    吸気時に心拍が増え呼気時に減る現象は呼吸性不整脈と呼ばれ、自律神経の影響による生理的現象で、乳幼児や若年者では一般的にみられ異常ではない。

乳児のバイタルサインの目安としては、体温37.0〜37.5℃前後、脈拍110〜130回/分、呼吸30〜40回/分、収縮期血圧80〜90mmHg程度である。心拍は啼泣や授乳直後で容易に変動するため、できるだけ機嫌の良い安静時に1分間しっかり聴診することがポイントとなる。聴診器は前胸部の左第4肋間付近で心尖部音を捉えやすい。

乳児のバイタルサイン正常値、特に心拍数の基準と心音・呼吸性不整脈に関する基本的理解を問う問題である。