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なぜ足を広げるの?看護師の腰を守るボディメカニクス

看護師国家試験 第114回 午前 第20問 / 必修問題 / 看護の基本技術

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第20問

看護師のボディメカニクスで正しいのはどれか。

  1. 1.動作時の重心は高い位置に置く。
  2. 2.立位では支持基底面を広くとる。
  3. 3.重心線は支持基底面の外側に置く。
  4. 4.足底と床の間の摩擦力を小さくする。

対話形式の解説

博士 博士

今日はボディメカニクスじゃ。看護師の腰痛予防にも直結する大事な技術じゃぞ。

アユム アユム

ボディメカニクスってよく聞きますが、要するに何ですか?

博士 博士

人体の骨・関節・筋肉の力学を活かして、最小の力で安全に動作する技術じゃ。患者を持ち上げたり移乗するとき、自分の体を壊さず効率的に動くための原則じゃな。

アユム アユム

今日の問題のキーワードは「支持基底面」ですね。何のことですか?

博士 博士

両足で囲まれた床面の範囲のことじゃ。例えば気をつけの姿勢では狭く、両足を肩幅に開くと広くなる。広いほど安定する。

アユム アユム

イメージできます。ヨガのポーズで足を広げると安定しますね。

博士 博士

そう、その物理学が看護動作にも生きるのじゃ。重心線が支持基底面の中に収まっていれば倒れない。外に出ると倒れる。これが基本原理じゃ。

アユム アユム

選択肢3の「重心線を支持基底面の外側に置く」は逆ですね。

博士 博士

その通り。外に出たら姿勢が崩れて転倒や腰痛のリスクが上がる。常に支持基底面内に重心を置く意識が大事じゃ。

アユム アユム

選択肢1の「重心は高い位置に」も誤りですね。

博士 博士

重心は低い方が安定する。膝を曲げて腰を落とすことで、重心が低くなり踏ん張りも利く。腰だけで持ち上げず、膝・腰・体全体で支える姿勢が基本じゃ。

アユム アユム

摩擦力が小さい方が動きやすい気もしますが…。

博士 博士

それは違うぞ。床と足の摩擦が小さいと滑って力を伝えられず、自分が転倒する。看護師は滑り止め付きの靴で摩擦をしっかり確保するのが鉄則じゃ。

アユム アユム

ボディメカニクスの他の原則も教えてください。

博士 博士

主要な原則は8つじゃ。①支持基底面を広く、②重心を低く、③重心線を支持基底面内に、④大きな筋群(大腿四頭筋・大殿筋など)を使う、⑤介助者と患者の重心を近づける、⑥水平移動を活用、⑦てこの原理、⑧身体をねじらない。

アユム アユム

全部覚えるのは大変ですね。

博士 博士

最初は意識して、繰り返すうちに体に染みついていく。技術じゃから経験で身につくものじゃ。

アユム アユム

最近は「ノーリフティングケア」って言葉も聞きます。

博士 博士

看護職の腰痛は労働災害の最大原因の1つじゃ。だから「人力で持ち上げない」を原則とし、スライディングシート・スライディングボード・リフトなどの福祉機器を積極的に使う方向に変わりつつある。

アユム アユム

看護師自身の体を守ることも大事なんですね。

博士 博士

その通り。患者の安全と看護師の安全は両立して初めて持続可能なケアになる。ボディメカニクスはその出発点なのじゃよ。

POINT

ボディメカニクスは人体の力学的特性を活用し、最小の労力で安全に動作する技術で、支持基底面を広くとり重心を低く保ち、重心線を支持基底面内に置くことが基本原則です。立位での介助時には両足を肩幅以上に開くことで安定性が増し、患者の移動・移乗介助時の転倒リスクと看護師自身の腰痛リスクを同時に減らせます。摩擦力は小さくするのではなく、滑り止め付きの靴で確保することで踏ん張りが利きます。近年は人力に頼らず福祉機器を活用するノーリフティングケアが推進されており、スライディングシートやリフトの導入が標準化されつつあります。看護師自身の身体を守ることは、長く質の高いケアを提供し続けるための基盤であり、ボディメカニクスはその第一歩となります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:看護師のボディメカニクスで正しいのはどれか。

解説:正解は 2 の「立位では支持基底面を広くとる。」です。ボディメカニクスは、人体の骨格・関節・筋肉の力学的相互関係を活用し、最小の労力で安全な動作を行う技術です。支持基底面(足で囲まれた床面の範囲)を広くとると重心が安定し、患者の移動・移乗介助時に転倒や腰痛のリスクを減らせます。両足を肩幅以上に開く・前後に開いてスタンスを取ることが基本姿勢となります。

選択肢考察

  1. × 1.  動作時の重心は高い位置に置く。

    重心は低い方が安定する。膝を曲げ腰を落として重心を低く保つことが、力を効率的に使い腰部負担を減らす基本姿勢。

  2. 2.  立位では支持基底面を広くとる。

    両足を肩幅以上に開く・前後に開くなどして支持基底面を広げると、重心線が支持基底面内に安定して保たれ、姿勢が崩れにくくなる。

  3. × 3.  重心線は支持基底面の外側に置く。

    重心線が支持基底面の外側に出ると姿勢は崩れバランスを失う。常に支持基底面の中央付近に重心線を保つのが原則。

  4. × 4.  足底と床の間の摩擦力を小さくする。

    足底と床の摩擦が小さいと滑って踏ん張れず転倒リスクが高まる。滑りにくい靴で摩擦を確保するのが安全。

ボディメカニクスの原則は8項目で覚えると整理しやすい。①支持基底面を広く、②重心を低く、③重心線を支持基底面内に、④大きな筋群を使う、⑤介助者と患者の重心を近づける、⑥水平移動を活用、⑦てこの原理を使う、⑧身体をねじらない。これらは患者の安全だけでなく、看護師自身の腰痛予防にも直結する。日本では看護職の腰痛が労働災害の主因となっており、近年はノーリフティングケア(人力で持ち上げない介助)の推進、スライディングシート・リフトなど福祉機器の活用が標準化されつつある。

ボディメカニクスの基本原則のうち「支持基底面を広く」という原則を理解しているかを問う問題。