鼻腔内吸引の正しい手技
看護師国家試験 第105回 午後 第24問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
鼻腔内の吸引で正しいのはどれか。
- 1.無菌操作で行う。
- 2.吸引圧をかけた状態で吸引チューブを挿入する。
- 3.鼻翼から一定の距離で固定して吸引する。
- 4.吸引チューブを回転させながら吸引する。
対話形式の解説
博士
今日は鼻腔内吸引の看護技術について解説するぞ。
アユム
気管内吸引との違いがよく分かっていません。
博士
大きな違いは清潔度合いじゃ。鼻腔は常在菌が存在するため清潔操作、気管内は下気道で無菌環境のため無菌操作が必要じゃ。
アユム
では選択肢1は誤りですね。
博士
その通り。次に2のチューブ挿入時は吸引圧をかけた状態というのも誤りじゃ。
アユム
なぜですか?
博士
挿入時に陰圧がかかっていると、粘膜を吸い付けて損傷し出血や疼痛の原因になる。挿入時は指で回路を折って圧を遮断し、目的の深さまで達してから圧をかけるのが原則じゃ。
アユム
3の鼻翼から一定距離で固定というのは?
博士
これも誤りじゃ。固定すると同一部位に圧が集中して粘膜を傷つけ、離れた部位の分泌物も取れない。
アユム
正解は4の回転させながら吸引ですね。
博士
その通り。チューブを左右に回しながらゆっくり引き抜くことで、広範囲の分泌物を効率的に除去しつつ粘膜損傷を防げる。
アユム
吸引圧や時間の目安はありますか?
博士
成人で吸引圧は20〜26kPa、約150〜200mmHgが目安じゃ。1回の吸引は10〜15秒以内に収める。
アユム
長すぎるとどうなりますか?
博士
吸引中は換気ができず低酸素血症になる。SpO2をモニタリングし、95%以下になれば中断して酸素化を図るんじゃ。
アユム
チューブの挿入長はどう決めますか?
博士
鼻翼から耳たぶまでの距離を目安にする。無理に深く入れると粘膜損傷や迷走神経反射で徐脈を起こすこともある。
POINT
鼻腔内吸引は清潔操作で行い、チューブ挿入時は吸引圧を遮断します。目的の深さに達してから圧をかけ、チューブを回転させながら10〜15秒以内で吸引するのが原則です。吸引圧は20〜26kPa、SpO2をモニタリングしながら実施します。気管内吸引は無菌操作が必要です。正解は4です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:鼻腔内の吸引で正しいのはどれか。
解説:正解は 4 です。鼻腔内吸引は気道確保や分泌物除去を目的に行う看護技術で、上気道である鼻腔には常在菌が存在するため清潔操作で行います(気管内吸引は無菌操作)。チューブ挿入時は粘膜損傷を避けるため吸引圧をかけず、挿入後に吸引圧をかけながら回転・移動させて満遍なく吸引します。同一部位に圧をかけ続けると粘膜を傷つけるため、チューブを左右に回しながら10〜15秒以内で吸引します。
選択肢考察
-
× 1. 無菌操作で行う。
鼻腔には常在菌が存在するため清潔操作で十分です。無菌操作が必要なのは気管内吸引です。
-
× 2. 吸引圧をかけた状態で吸引チューブを挿入する。
挿入時に吸引圧をかけると粘膜を吸い付けて損傷し、出血や疼痛の原因になります。挿入時は圧を遮断します。
-
× 3. 鼻翼から一定の距離で固定して吸引する。
固定すると同一部位に圧が集中して粘膜を傷つけ、分泌物も十分に吸引できません。
-
○ 4. 吸引チューブを回転させながら吸引する。
回転させることで粘膜損傷を防ぎつつ、広範囲の分泌物を効率的に除去できます。
鼻腔吸引の吸引圧は成人で20〜26kPa(150〜200mmHg)程度、1回の吸引時間は10〜15秒以内が目安です。長時間の吸引は低酸素血症を招くため、SpO2モニタリングを行いながら実施します。チューブの挿入長は鼻翼から耳たぶまでの距離を目安とし、無理な挿入は避けます。
鼻腔吸引の手技(清潔操作、挿入時無圧、回転させながら吸引)の原則を問う必修問題です。
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