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点滴が漏れた!最初にやるべきたった一つのこと

看護師国家試験 第106回 午前 第22問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第22問

点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹を確認したときに、最初に実施するのはどれか。

  1. 1.体位を変える。
  2. 2.注入を中止する。
  3. 3.刺入部位を挙上する。
  4. 4.周囲のマッサージを行う。

対話形式の解説

博士 博士

今日は点滴中に刺入部が腫れてきた場面を考えるぞ。看護師にとって超基本の対応じゃ。

アユム アユム

腫れているってことは、血管の外に薬液が漏れているんですか?

博士 博士

その可能性が非常に高い。これを血管外漏出、略してエクストラバゼーションと呼ぶのじゃ。

アユム アユム

それはまずいですね。最初にどうすればいいですか?

博士 博士

答えは単純。「注入を中止する」ことじゃ。これ以上薬液が漏れ続けないよう、まず滴下を止めるのが鉄則じゃよ。

アユム アユム

抜針は中止の前ですか、後ですか?

博士 博士

注入を止めてから抜針じゃな。薬剤によっては抜針前に漏れた薬液をできるだけ吸引することもあるが、いずれにせよ最初の一手は「止める」こと。

アユム アユム

挙上やマッサージは意味がないんですか?

博士 博士

挙上は腫脹軽減に有効なこともあるが、それは中止・抜針の後の話。マッサージはむしろ薬液を周囲に広げて炎症を悪化させるから、やってはいかんのじゃ。

アユム アユム

なるほど、マッサージは逆効果なんですね。覚えておきます。

博士 博士

ちなみに、漏出のサインには腫脹のほかに疼痛、発赤、滴下速度の低下、逆血がないなどがあるぞ。一つでも気になったら必ずチェックするのじゃ。

アユム アユム

漏れたあとの処置って、冷やすんでしたっけ?温めるんでしたっけ?

博士 博士

多くの薬剤では冷罨法が基本じゃが、ビンカアルカロイド系抗がん剤などは温罨法の方が適切とされておる。薬剤ごとに対応が違うので、院内マニュアルや添付文書を確認するのが大事じゃ。

アユム アユム

抗がん剤の漏出は特に危ないと聞きました。

博士 博士

その通り。アントラサイクリン系などは壊死起因性が高く、皮膚が壊死してしまう。だからこそ点滴中の頻回な観察と、異常を感じた患者の訴えを軽視しないことが看護師の命綱じゃ。

アユム アユム

「なんか痛い」「おかしい」という患者さんの声は、点滴トラブルの初期サインなんですね。

博士 博士

まさにその通りじゃ。訴えを聞いたらまず滴下を止めて観察、これが鉄則。国試でも「最初にすることは?」と問われたら迷わず「中止」じゃぞ。

POINT

点滴静脈内注射中に刺入部の腫脹を認めた場合、最も疑うべきは薬液の血管外漏出です。最初にすべきことは「注入を中止する」ことで、これ以上の薬液漏出を防いで組織障害を最小限にとどめるのが原則です。体位変換や挙上、マッサージは単独では漏出を止められず、マッサージはむしろ炎症を悪化させるため不適切です。血管外漏出は早期発見と迅速な対応が予後を左右するため、看護師による定期的な観察と患者の訴えへの感度が重要な臨床スキルとなります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:点滴静脈内注射中の刺入部位の腫脹を確認したときに、最初に実施するのはどれか。

解説:正解は 2 の「注入を中止する」です。点滴の刺入部に腫脹がみられる場合、薬液が血管外に漏出(皮下に漏れる)している状態が強く疑われます。薬液が漏出し続けると組織障害や疼痛、壊死が生じるおそれがあり、抗がん剤やカルシウム製剤、高浸透圧輸液など壊死起因性の薬剤ではとくに重篤になるため、「まず注入を中止して、それ以上漏れないようにする」ことが最優先の行動となります。中止後に抜針、医師への報告、症状に応じた冷罨法や薬剤投与、穿刺部位の変更といった対応を行います。

選択肢考察

  1. × 1.  体位を変える。

    体位変換では血管外漏出そのものを止めることはできない。漏出が進行したまま放置することになるため不適切。

  2. 2.  注入を中止する。

    最初に行うべき対応。これ以上の薬液漏出を防ぐために直ちに滴下を止め、続いて抜針や医師報告などの対応につなげる。

  3. × 3.  刺入部位を挙上する。

    腫脹軽減のために挙上することはあるが、それは注入を中止し抜針した後の処置。注入を止めずに挙上しても漏出は続く。

  4. × 4.  周囲のマッサージを行う。

    漏出部位をマッサージすると薬液が周囲組織に拡散し、炎症や組織障害を悪化させるため禁忌に近い行為である。

血管外漏出(extravasation)の徴候は、刺入部の腫脹、疼痛、発赤、滴下速度低下、逆血の消失などである。対応の原則は①注入中止→②抜針前に可能なら漏出薬液を吸引→③抜針→④薬剤の性質に応じて冷罨法(多くの場合)または温罨法(ビンカアルカロイドなど)→⑤医師へ報告、解毒薬(抗がん剤の場合はデクスラゾキサンなど)の検討→⑥記録・経過観察、という流れになる。抗がん剤の漏出はとくに組織壊死のリスクが高く、看護師の早期発見が予後を左右する。

点滴の血管外漏出を疑った際の「最初の行動」を問う頻出問題。優先順位は「まず被害拡大を止める」=注入中止が原則。