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気管内吸引と低酸素血症の関係

看護師国家試験 第111回 午前 第22問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第22問

1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。

  1. 1.嘔吐
  2. 2.感染
  3. 3.低酸素血症
  4. 4.気道粘膜の損傷

対話形式の解説

博士 博士

今日は人工呼吸管理を受けている患者で頻繁に行う気管内吸引についてじゃ。1回の吸引を30秒以上続けると何が起こるかわかるかな?

アユム アユム

えっと、低酸素血症ですよね?吸引している間は酸素が入ってこないから…。

博士 博士

そのとおり、正解は3の低酸素血症じゃ。吸引中はカテーテルで気道の空気ごと吸い取っているから、患者にとっては無呼吸状態が続いておるのじゃ。

アユム アユム

だから1回の吸引は10〜15秒以内にしなさいと教わったんですね。

博士 博士

うむ。具体的には、カテーテル挿入から抜去まで15秒以内、陰圧をかける時間は10秒以内が目安じゃ。30秒も続けたらSpO2はあっという間に下がってしまうぞい。

アユム アユム

選択肢1の嘔吐はどうして違うんでしょう?

博士 博士

嘔吐はカテーテルが咽頭を刺激して嘔吐反射が誘発されることで起こるから、吸引時間の長さとは直接関係ないのじゃ。特に経鼻で吸引する時に注意が必要じゃな。

アユム アユム

選択肢2の感染も合併症ですよね?

博士 博士

そうじゃ、感染は吸引の重要な合併症じゃが、原因は無菌操作の不備やカテーテル・吸引水の汚染にある。気管内は下気道で本来無菌じゃから、清潔操作を徹底する必要があるぞい。

アユム アユム

選択肢4の気道粘膜損傷は?

博士 博士

これはカテーテル先端の物理的接触や過大な吸引圧が原因じゃ。成人では吸引圧は−150〜−200mmHg以下に設定するのが目安じゃよ。

アユム アユム

つまり30秒以上という時間の長さが直接引き起こすのは低酸素血症だけというわけですね。

博士 博士

そのとおり、この問題のポイントは時間と合併症の因果関係を区別することじゃ。

アユム アユム

吸引前後に酸素化を高めるプレオキシジェネーションという操作を聞いたことがあります。

博士 博士

よく知っておるな。吸引前後に100%酸素投与を短時間行うことで、吸引による低酸素を予防するのじゃ。人工呼吸器にはそのためのボタンが付いているものも多いぞい。

アユム アユム

吸引中は何を観察すればよいですか?

博士 博士

SpO2、心拍数、顔色、不整脈の有無、吸引物の性状・量・色じゃ。SpO2が90%を下回ったら直ちに吸引を中断して酸素化を優先するのじゃぞ。

アユム アユム

分泌物を取ることに集中しすぎず、患者の全身状態を見ることが大事なんですね。

博士 博士

そういうことじゃ。吸引は侵襲的な処置であることを常に念頭に置くのじゃよ。

POINT

気管内吸引では気道内の酸素も同時に吸引されるため、吸引中は実質的な無呼吸状態となり低酸素血症を引き起こします。1回の吸引は陰圧をかける時間を10秒以内、挿入から抜去まで15秒以内にとどめます。嘔吐・感染・粘膜損傷も合併症ですが、吸引時間の延長が直接引き起こす最重要合併症は低酸素血症です。吸引前後のプレオキシジェネーションとSpO2モニタリングが安全確保の要となります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:1回の気管内吸引を30秒以上実施した場合に生じるのはどれか。

解説:正解は 3 です。気管内吸引は気道内の分泌物とともに酸素も吸引してしまうため、吸引中は実質的な無呼吸状態となります。1回の吸引時間が長くなると動脈血酸素飽和度(SpO2)が低下し、低酸素血症を引き起こします。このため1回の吸引時間は10〜15秒以内(カテーテル挿入から抜去まで)とされ、30秒以上の吸引は危険とされます。

選択肢考察

  1. × 1.  嘔吐

    嘔吐はカテーテルが咽頭を刺激することで嘔吐反射として起こりうる合併症ですが、吸引時間の長さとは直接関係しません。

  2. × 2.  感染

    感染は無菌操作の不備や器具の汚染が原因で生じます。吸引時間の長さそのものが感染の直接原因となるわけではありません。

  3. 3.  低酸素血症

    吸引中は酸素供給が絶たれ、かつ気道内の酸素も同時に吸引されるため、30秒以上の吸引で明らかに低酸素血症を生じます。

  4. × 4.  気道粘膜の損傷

    気道粘膜の損傷はカテーテルの物理的接触や過大な吸引圧によって起こり、吸引時間よりも圧設定や挿入操作が原因となります。

気管内吸引の吸引圧は成人で−150〜−200mmHg(20〜26kPa)以下が目安で、カテーテルは無菌操作で扱います。吸引前後には十分な酸素化(プレオキシジェネーション)を行い、SpO2・心拍数・顔色を観察することが重要です。

気管内吸引時間の延長が引き起こす最も重篤な合併症(低酸素血症)と、安全な吸引時間の原則を問う問題です。