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看護師の守秘義務 ─ 法律が課す最も重い約束

看護師国家試験 第109回 午後 第5問 / 必修問題 / 看護における倫理と法律

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第5問

保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。

  1. 1.研究をする。
  2. 2.看護記録を保存する。
  3. 3.看護師自身の健康の保持増進を図る。
  4. 4.業務上知り得た人の秘密を漏らさない。

対話形式の解説

博士 博士

今日は保健師助産師看護師法、通称『保助看法』が看護師に課す義務について学ぶぞ。

サクラ サクラ

看護師には色々な義務がありそうですね。勉強したり、健康管理したり、記録を残したり…。

博士 博士

それらは立派な心がけじゃが、保助看法が『法的義務』として明記しているものは限られておる。その筆頭が守秘義務じゃ。

サクラ サクラ

守秘義務って、患者さんの情報を漏らさないってことですよね。

博士 博士

その通り。第42条の2に『正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない』と明記されておる。違反すれば6か月以下の懲役または10万円以下の罰金じゃ。

サクラ サクラ

退職しても続くんですか?

博士 博士

そう、条文には『看護師でなくなった後も同様』とある。辞めたからペラペラ話してよいわけではない。

サクラ サクラ

選択肢にある『看護記録を保存』は違うんですか?

博士 博士

これは医療法施行規則で病院等に課されている義務で、保助看法の規定ではない。看護記録は診療に関する諸記録として2年間保存が義務付けられておる。

サクラ サクラ

『研究をする』は?

博士 博士

日本看護協会の『看護職の倫理綱領』には専門性の向上として研究が掲げられておるが、保助看法の義務ではない。

サクラ サクラ

自分の健康管理も同じですね。

博士 博士

その通り。倫理的責務と法的義務を分けて考えることが大事なのじゃ。

サクラ サクラ

助産師の守秘義務も保助看法ですか?

博士 博士

良い質問じゃ。助産師の守秘義務は刑法第134条に規定されておる。医師・薬剤師などと並んで刑法で守秘義務を負う専門職じゃ。

サクラ サクラ

他に保助看法が課している義務はありますか?

博士 博士

業務独占・名称独占の遵守、医師の指示なしに診療補助を行わないこと、就業地の届出などがある。

サクラ サクラ

臨時応急の手当ては例外ですよね。

博士 博士

そう、第37条の但し書きに『臨時応急の手当てをすること』は例外とある。救命の場面を想定した規定じゃ。

サクラ サクラ

法的義務と倫理的義務を区別して覚える必要があるんですね。

POINT

保健師助産師看護師法第42条の2は看護師・准看護師・保健師に守秘義務を課しており、業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らすことを禁じ、退職後も同様に適用されます。違反には6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科され、助産師の守秘義務は刑法第134条に規定される点で根拠条文が異なります。看護記録の保存義務は医療法、研究や自己の健康保持は看護職の倫理綱領に位置付けられており、『どの法令に基づく義務か』を整理することが国家試験では頻出論点です。医療の高度化と個人情報保護法制の強化が進む現代、看護師にとって守秘義務は職業倫理の核であり、SNS時代のインシデント予防のためにも深く理解しておくべき事項です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。

解説:正解は 4 の「業務上知り得た人の秘密を漏らさない。」です。保健師助産師看護師法(保助看法)第42条の2には、保健師、看護師、准看護師は『正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師、看護師又は准看護師でなくなった後においても、同様とする』と守秘義務が明記されています。違反した場合は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金(親告罪)が科されます。なお助産師の守秘義務は刑法第134条に規定されており、法律上の根拠が異なる点に注意が必要です。

選択肢考察

  1. × 1.  研究をする。

    研究への取り組みは日本看護協会の『看護職の倫理綱領』には記載があるが、保助看法上の義務ではない。

  2. × 2.  看護記録を保存する。

    看護記録の保存(2年間)は医療法施行規則で病院等に課された義務で、保助看法ではない。

  3. × 3.  看護師自身の健康の保持増進を図る。

    自身の健康管理は倫理綱領には示されているが、保助看法には規定されていない。

  4. 4.  業務上知り得た人の秘密を漏らさない。

    保助看法第42条の2に明記された守秘義務。退職後も継続し、違反すれば罰則(6か月以下の懲役または10万円以下の罰金)がある。

保助看法が定める看護師の主な義務は、①守秘義務(42条の2)、②業務独占・名称独占の遵守(31条など)、③臨時応急手当以外は医師の指示によって行う『診療の補助』の制限(37条)、④保健師・助産師を除く特定の届出義務など。さらに6年ごとの就業地等届出(30条の2および施行令)も義務付けられている。倫理綱領や医療法による義務との混同が頻出論点。

保健師助産師看護師法が看護師に課している義務と、倫理綱領や他法令による義務を区別して理解しているかを問う問題。