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食道はどこにつながる?25cmの管に隠された3つの狭窄

看護師国家試験 第114回 午前 第12問 / 必修問題 / 人体の構造と機能

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第12問

成人の食道の構造で正しいのはどれか。

  1. 1.胃の幽門につながる。
  2. 2.上1/3が平滑筋である。
  3. 3.生理的狭窄部位がある。
  4. 4.長さは約45cmである。

対話形式の解説

博士 博士

今回は食道の構造についてじゃ。一見シンプルな管に見えるが、覚えるべきポイントが意外と多いぞ。

アユム アユム

食道って胃のどこにつながっていましたっけ…幽門でしたっけ?

博士 博士

そこを間違えるとアウトじゃ。食道は胃の入口の「噴門」につながる。幽門は胃の出口で、十二指腸へ続く部位じゃよ。

アユム アユム

ああ、そうでした。長さはどのくらいなんですか?

博士 博士

成人で約25cmじゃ。内径は約2cm。前歯列から噴門までだと約40cmあって、これは胃管挿入の長さの目安になっておる。

アユム アユム

食道の壁の筋肉って、全部平滑筋ではないんですか?

博士 博士

ここが意外と知られていないが、上1/3は骨格筋(横紋筋)、中1/3は混在、下1/3が平滑筋なのじゃ。

アユム アユム

なんで上が骨格筋なんですか?

博士 博士

嚥下の最初の段階は随意的な動きが必要じゃろう?飲み込んだ瞬間は意識的に喉を動かすから骨格筋、下に向かうにつれて自動的な蠕動運動になるから平滑筋に切り替わるというわけじゃ。

アユム アユム

なるほど、機能と構造が結びついているんですね。

博士 博士

そして今日の主役、生理的狭窄部位じゃ。3か所あるから順に言ってみよ。

アユム アユム

えっと…食道の入口、気管分岐部、それから…横隔膜のところ?

博士 博士

お見事!食道入口部・気管分岐部(大動脈弓と左主気管支の圧迫)・食道裂孔部の3か所じゃ。この狭窄部位は異物が引っかかりやすく、食道癌の好発部位でもある。

アユム アユム

臨床ではどんな場面で意識しますか?

博士 博士

内視鏡検査や経鼻胃管の挿入時、それからお年寄りの誤嚥した食物が停滞する場所として重要じゃ。胃管を入れるときに抵抗を感じる場所がだいたいこの3か所なのじゃよ。

アユム アユム

食道って漿膜がないって本当ですか?

博士 博士

鋭いのう。食道は漿膜を欠き外膜のみじゃ。これが食道癌が周囲組織に浸潤しやすい解剖学的理由の1つとされておる。

アユム アユム

構造を知ると、病態や処置の意味まで見えてきますね。

POINT

成人の食道は咽頭から胃の噴門までをつなぐ約25cmの筒状の臓器で、上1/3が骨格筋、下1/3が平滑筋という特徴的な筋層構成を持ちます。最大のポイントは食道入口部・気管分岐部・食道裂孔部の3か所にある生理的狭窄部位で、異物の停滞や食道癌の好発部位として臨床的に重要です。胃管挿入時の抵抗や内視鏡所見の解釈にも、この解剖学的知識が直結します。また食道は漿膜を持たないため腫瘍の浸潤・転移が起こりやすく、これも国試で問われやすいポイントです。看護師は嚥下障害や食道疾患のケアにあたり、解剖と機能の結びつきを理解することで観察と援助の質が高まります。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:成人の食道の構造で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 の「生理的狭窄部位がある。」です。成人の食道は咽頭から胃の噴門までをつなぐ筒状の臓器で、長さは約25cm、内径は約2cmです。食道には解剖学的に3か所の生理的狭窄部位があり、上から順に①食道入口部(輪状咽頭筋の高さ)、②気管分岐部(大動脈弓と左主気管支による圧迫)、③食道裂孔部(横隔膜貫通部)です。これらの部位は誤嚥した異物が引っかかりやすく、食道癌の好発部位でもあります。

選択肢考察

  1. × 1.  胃の幽門につながる。

    食道は胃の入口である噴門に連続する。幽門は胃の出口で十二指腸へつながる部位であり、混同しないこと。

  2. × 2.  上1/3が平滑筋である。

    食道筋層は上1/3が骨格筋(横紋筋)、中1/3は両者の混在、下1/3が平滑筋である。嚥下初期の随意運動と中下部の蠕動運動の役割分担を反映している。

  3. 3.  生理的狭窄部位がある。

    食道入口部・気管分岐部・食道裂孔部の3か所に生理的狭窄があり、異物停滞や食道癌の好発部位として臨床的にも重要。

  4. × 4.  長さは約45cmである。

    成人の食道の長さは約25cm。前歯列から胃噴門までの距離は約40cmで、これは胃管挿入の目安として用いられる長さである。

食道は粘膜・粘膜下層・筋層・外膜の4層構造で、漿膜を持たない点が他の消化管と異なり、食道癌の浸潤・転移をきたしやすい解剖学的要因の1つとされる。胃管(NGチューブ)挿入では鼻孔から胃まで約45〜55cmが目安で、生理的狭窄部位を通過する際は抵抗を感じやすい。下部食道括約筋(LES)は解剖学的構造ではなく機能的括約筋で、緩むと逆流性食道炎の原因となる。

食道の長さ・連続部位・筋層構成・狭窄部位といった基本構造を問う、解剖の典型問題。