降圧薬と転倒リスクの関係
看護師国家試験 第103回 午後 第19問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術
国試問題にチャレンジ
転倒・転落するリスクの高い薬はどれか。
- 1.去痰薬
- 2.降圧薬
- 3.抗菌薬
- 4.消化酵素薬
対話形式の解説
博士
転倒・転落のリスクを高める薬といえば、降圧薬が代表的じゃ。なぜか分かるかな?
サクラ
血圧が下がりすぎてふらつくからですか?
博士
その通り。特に内服開始時や増量直後、起立した瞬間に血圧が一時的に下がる起立性低血圧でめまいやふらつきが起こる。だから正解は2じゃ。
サクラ
どんな種類の降圧薬で起こりやすいですか?
博士
Ca拮抗薬でめまい、α遮断薬で立ちくらみ、利尿薬で脱水と血圧低下、ACE阻害薬やARBでも血圧変動が起こる。高齢者は特に注意じゃ。
サクラ
他の選択肢はどう違うんですか?
博士
1の去痰薬は気道分泌物を排出しやすくする薬で、副作用は消化器症状や発疹じゃ。転倒リスクは上げない。
サクラ
3の抗菌薬は?
博士
主な副作用は消化器症状、過敏症、菌交代症じゃ。アミノグリコシド系では前庭障害が起こり得るが、それは特殊例で設問の主旨ではない。
サクラ
4の消化酵素薬は?
博士
消化を助ける薬で副作用は過敏症が中心、転倒リスクとは無関係じゃ。
サクラ
他に転倒ハイリスクな薬はありますか?
博士
睡眠薬や抗不安薬のベンゾジアゼピン系、抗精神病薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、血糖降下薬による低血糖でのふらつきなどじゃ。
サクラ
看護のポイントは?
博士
内服開始時や増量時はベッドサイドでの起立確認、ゆっくり立ち上がる指導、トイレ歩行時の付き添いが大切じゃ。高齢者ではポリファーマシーも要注意じゃのう。
サクラ
薬剤師さんとの連携も重要ですね。
博士
転倒は寝たきりや骨折の原因になるから、予防の視点が看護師に求められるのじゃぞ。
POINT
降圧薬は起立性低血圧やめまいを引き起こし転倒・転落リスクを高める代表的な薬剤です。Ca拮抗薬・α遮断薬・利尿薬などで特に注意が必要で、内服開始時や増量時、高齢者でリスクが上がります。睡眠薬・抗不安薬・抗精神病薬・血糖降下薬なども転倒ハイリスク薬であり、ベッドサイドでの起立確認や移動介助、ポリファーマシーへの配慮が看護のポイントです。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:転倒・転落するリスクの高い薬はどれか。
解説:正解は 2 です。降圧薬は血圧低下作用により起立性低血圧やめまい、ふらつきを起こしやすく、特に内服開始時や増量時、高齢者で転倒リスクが高まります。睡眠薬・抗不安薬・抗精神病薬・抗パーキンソン病薬・利尿薬なども転倒ハイリスク薬として知られ、看護では服薬導入時のベッドサイドでの起立確認や移動介助が重要となります。
選択肢考察
-
× 1. 去痰薬
ブロムヘキシンやアンブロキソールなどの去痰薬の主な副作用は消化器症状や発疹で、転倒リスクを直接高める作用はありません。
-
○ 2. 降圧薬
Ca拮抗薬・α遮断薬・利尿薬など多くの降圧薬で起立性低血圧やめまいが起こり、立位や歩行時の転倒リスクが高まります。
-
× 3. 抗菌薬
主な副作用は消化器症状、過敏症、菌交代症で、転倒リスクを直接高めるものではありません。アミノグリコシド系で前庭障害が起こることはあり得ますが、設問の主旨ではありません。
-
× 4. 消化酵素薬
消化を助ける薬剤で、副作用は過敏症が中心です。転倒リスクとは無関係です。
転倒ハイリスク薬として日本転倒予防学会などが挙げる薬剤群は、降圧薬・利尿薬・睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)・抗不安薬・抗精神病薬・抗うつ薬・抗パーキンソン病薬・血糖降下薬(低血糖によるふらつき)です。高齢者では特にポリファーマシー(多剤併用)が転倒リスクを増やすため、薬剤師との連携で減薬の検討も重要です。
薬剤の副作用と転倒リスクの関連を理解し、降圧薬による起立性低血圧の危険性を判断できるかを問う問題です。
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