針刺し事故でまず疑うべきウイルスはどれ?
看護師国家試験 第106回 午後 第22問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術
国試問題にチャレンジ
針刺し事故によって感染するのはどれか。
- 1.RSウイルス
- 2.B型肝炎ウイルス
- 3.ヘルペスウイルス
- 4.サイトメガロウイルス
対話形式の解説
博士
今回は医療現場で起こりやすい『針刺し事故』の感染症について確認していくぞ。
アユム
針刺し事故ってよく聞きますが、何が怖いんですか?
博士
最大のリスクは血液を介するウイルス感染じゃ。代表的なのが B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、そしてHIV の3つじゃ。
アユム
なるほど。じゃあ選択肢の中で血液感染するのはどれでしょう?RSウイルスは風邪のイメージが強いです。
博士
そうじゃ、RSウイルスは飛沫感染や接触感染で、血液感染ではない。気道感染を起こすウイルスじゃな。
アユム
ヘルペスウイルスは?
博士
単純ヘルペスは皮膚・粘膜の接触、水痘・帯状疱疹は空気感染が主じゃ。血液感染ではない。
アユム
サイトメガロウイルスは?
博士
唾液・尿などの接触感染や母子感染が中心。針刺しリスクとして取り上げられることは少ない。
アユム
残るのはB型肝炎ウイルスですね!
博士
その通り!HBVは針刺しで感染成立率がおよそ30%前後と非常に高い。HCVは約3%、HIVは約0.3%と言われておる。
アユム
HBVが桁違いに高いんですね…怖い。
博士
だからこそ医療従事者はHBVワクチンの事前接種が強く推奨されるのじゃ。
アユム
万一刺してしまったらどうすればいいんですか?
博士
まず流水で洗浄、次に責任者に報告、曝露源と自分の血液検査、必要に応じてワクチン・HBIG・抗HIV薬などを開始する。時間との勝負じゃ。
アユム
『刺したらすぐ絞って血を出す』って聞きますが、効果あるんですか?
博士
強く絞る行為は組織損傷のおそれがあり推奨されぬ。流水で洗うのが基本じゃよ。
アユム
標準予防策の徹底と、リキャップしないこと、安全機構付き針の使用が大事なんですね。
博士
その通り。予防と初動対応、両方を押さえるのが看護師として必須じゃ。
POINT
針刺し事故で問題となるのは主に血液を介して感染するB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、HIVの3つで、中でもHBVは感染力が最も高く医療従事者のワクチン接種が強く推奨されています。事故が起こった際には流水洗浄、速やかな報告、感染症検査、必要に応じた免疫グロブリン投与や抗ウイルス薬による曝露後予防(PEP)が重要です。RSウイルスやヘルペス、サイトメガロウイルスは主に飛沫・接触感染で、針刺しによる感染が典型的に問われる病原体ではありません。日頃から標準予防策を徹底し、リキャップ禁止・安全機構付き器材の使用といった一次予防を意識することが、看護師の身を守るうえで欠かせません。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:針刺し事故によって感染するのはどれか。
解説:正解は 2 です。針刺し事故で問題となる病原体の代表は、血液を介して感染する B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV) の3つであり、中でも HBV は感染力が最も強く(感染成立率およそ30%前後)、曝露直後からの対応が特に重要です。
選択肢考察
-
× 1. RSウイルス
主に飛沫感染・接触感染で伝播するウイルスで、乳幼児の細気管支炎や肺炎の原因となる。血液を介して感染するものではないため、針刺し事故で問題となる病原体ではない。
-
○ 2. B型肝炎ウイルス
血液・体液を介して感染する代表的ウイルスで、針刺し事故で最も感染リスクが高い。母子感染・性行為・輸血などでも伝播する。HBVワクチンによる予防および曝露後のHBIG投与が重要。
-
× 3. ヘルペスウイルス
単純ヘルペスウイルスは皮膚・粘膜の接触感染が主で、水痘・帯状疱疹ウイルスは空気感染する。血液を介した針刺し感染のリスクは高くない。
-
× 4. サイトメガロウイルス
唾液・尿・母乳などを介した接触感染や胎盤感染が主。血液製剤では問題になり得るが、針刺し事故で代表的に挙げられる病原体ではない。
針刺し事故後の対応は『①流水で洗浄 → ②直ちに報告 → ③曝露源の検査と自身の検査 → ④必要に応じた予防投薬』の流れ。HBV 曝露でワクチン未接種かつHBs抗体陰性の場合は HBIG(抗HBs人免疫グロブリン)とHBVワクチン接種、HIV曝露では抗レトロウイルス薬による曝露後予防(PEP)を速やかに開始することが重要。
針刺し事故=血液・体液感染症、という基本を押さえた上で、主要3ウイルス(HBV・HCV・HIV)を識別できるかを問う頻出の必修問題。
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