ボディメカニクスの基本
看護師国家試験 第108回 午前 第18問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術
国試問題にチャレンジ
動作を安定させるために行うのはどれか。
- 1.重心位置を低くする。
- 2.足を閉じた姿勢にする。
- 3.底が滑らかな素材の靴を履く。
- 4.重心線を支持基底面の中心より遠くする。
対話形式の解説
博士
今日は動作の安定性、ボディメカニクスの基礎を確認するぞ。腰痛予防にも直結する看護技術じゃ。
アユム
そもそも動作の安定は何で決まるんですか。
博士
鍵は「支持基底面」と「重心」じゃ。支持基底面は足や接地している部分で囲まれた面積で、重心線がこの面に収まっていれば安定する。
アユム
重心を低くするとどう変わりますか。
博士
重心位置が低いほど支持基底面までの距離が近くなり、多少揺れても重心線が外に出にくい。結果として姿勢が安定するのじゃ。
アユム
だから正解は1ですね。
博士
そのとおり。介助時は膝を曲げ腰を落として重心を下げるのが基本じゃ。
アユム
2の足を閉じるはどうですか。
博士
足を閉じると支持基底面が狭くなり、重心線がわずかに揺れても外に出てしまう。立位で足を肩幅か前後に開く方が安定するぞ。
アユム
3の滑りやすい靴は明らかに危ないですね。
博士
うむ、摩擦が減ると踏ん張れず、看護者も患者も転倒リスクが増す。現場では滑りにくい作業靴を選ぶのが鉄則じゃ。
アユム
4の重心線を支持基底面の中心より遠ざけるのは。
博士
重心線が支持基底面の外縁に近いほどバランスを崩しやすい。中心に近いほど安定するので、方向は真逆じゃ。
アユム
ボディメカニクスの原則を整理してください。
博士
支持基底面を広く、重心を低く、対象に近づく、水平移動、てこの原理、大きな筋群を使う、身体を小さくまとめる、ねじらず同一方向を向く、の8つじゃ。
アユム
患者を動かすとき、腰に負担をかけないコツは。
博士
まず対象に密着して重心を近づける。次に膝を曲げて腰を落とし、背筋は伸ばしたまま下肢の大きな筋群で持ち上げる。腰だけで引き上げると椎間板ヘルニアのリスクになるぞ。
アユム
トルクの原理も習いました。
博士
患者の身体を小さくまとめると回旋しやすくなる。肘や膝を曲げて体軸を整え、少ない力で体位変換ができる。これもボディメカニクスの応用じゃ。
アユム
腰痛予防には環境面も大事ですよね。
博士
そのとおり。ベッドの高さを看護者の腰程度に合わせる、スライディングシートや移乗用具を活用するなど、道具と環境整備も欠かせないのじゃ。
POINT
動作の安定は支持基底面と重心の関係で決まり、重心を低くすることで支持基底面内に重心線が収まりやすくなり姿勢が安定します。足を閉じる・滑りやすい靴・重心線を中心から遠ざける動作は逆効果です。ボディメカニクスの8原則を踏まえ、患者との密着・膝を曲げる・大きな筋群を使う・スライディング器具の活用を組み合わせることで、看護者の腰痛予防と患者の安全確保の両立が可能になります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:動作を安定させるために行うのはどれか。
解説:正解は 1 です。動作の安定性は「支持基底面」と「重心」の関係で決まり、重心位置を低くすると支持基底面との距離が近くなり姿勢が安定します。また重心線が支持基底面の中心内に収まるほど転倒しにくくなります。ボディメカニクスの基本は、支持基底面を広く・重心を低く・対象に近づき・大きな筋群を使うことで、看護者自身と患者双方の安全と安楽を守る技術です。
選択肢考察
-
○ 1. 重心位置を低くする。
重心を低くすると支持基底面との距離が近づき、動作中の姿勢が安定します。
-
× 2. 足を閉じた姿勢にする。
足を閉じると支持基底面が狭くなり、重心線が外れやすくなるため姿勢は不安定になります。
-
× 3. 底が滑らかな素材の靴を履く。
底が滑らかで摩擦の少ない靴は足と床の摩擦係数が低下し、転倒や体位変換時の滑りを招きます。
-
× 4. 重心線を支持基底面の中心より遠くする。
重心線が支持基底面の外縁に近づくほどバランスが崩れやすくなり、不安定になります。
ボディメカニクスの8原則は、①支持基底面を広くする、②重心を低くする、③重心を対象に近づける、④水平移動で重心移動を行う、⑤てこの原理を使う、⑥大きな筋群を使う、⑦身体を小さくまとめる、⑧ねじらず同一方向を向く、です。看護者が膝を曲げて腰を落とし、患者に密着して介助すると腰部への負荷が軽減し、腰痛予防にもつながります。摩擦の多いシューズを履き、作業靴の安全性も合わせて確認しましょう。
ボディメカニクスの基本原則のうち、重心を低くすることで動作が安定する理由を問う問題です。
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