全身性けいれん発作時の最優先対応
看護師国家試験 第111回 午後 第17問 / 必修問題 / 患者の安全・安楽を守る看護技術
国試問題にチャレンジ
全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。
- 1.気道確保
- 2.周囲の環境整備
- 3.末梢静脈路の確保
- 4.心電図モニターの装着
対話形式の解説
博士
今日はけいれん発作の初期対応を学ぶぞ。全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれじゃ?
サクラ
気道確保だと思います。ABCDEのAが最優先ですよね。
博士
正解じゃ。全身性けいれん中は呼吸筋の異常収縮や舌根沈下、嘔吐物の誤嚥などで気道が閉塞しやすいからな。
サクラ
気道確保って具体的には何をするんですか?
博士
側臥位にして舌根沈下や誤嚥を防ぐのが基本じゃ。必要に応じて吸引も行う。発作中に無理に口を開けさせたり物を詰めたりするのは禁忌じゃぞ。
サクラ
昔は舌をかまないように物を口に入れると習った気がしますが。
博士
それは古い知識で、現在は禁忌じゃ。歯牙損傷や窒息のリスクが高く、そもそも発作中に深く舌をかむことは稀なんじゃよ。
サクラ
2の周囲の環境整備はどうですか?
博士
ベッド柵の使用や危険物の除去は外傷予防で大切じゃが、気道確保ほどの緊急性はない。環境整備は同時並行で行うべきことじゃな。
サクラ
3の末梢静脈路の確保は?
博士
抗けいれん薬のジアゼパムなどを投与するためには必要じゃが、四肢の不随意運動中は穿刺が難しく危険じゃ。発作が落ち着いてから確保することが多い。
サクラ
4の心電図モニターの装着は?
博士
発作中は筋収縮のアーチファクトで波形が乱れ、そもそも装着作業自体が困難じゃ。発作後のモニタリングには必要となる。
サクラ
発作が長引くとどうなるんですか?
博士
5分以上続くけいれんや、意識が戻らないうちに再発する場合を痙攣重積状態と呼ぶ。脳の不可逆的障害につながるため、速やかな薬物介入が必要じゃ。
サクラ
薬物は何を使うんですか?
博士
第一選択はベンゾジアゼピン系のジアゼパムやミダゾラムじゃ。効果不十分ならフェニトインやレベチラセタムを追加することもある。
サクラ
発作後に観察すべきポイントは?
博士
意識レベルの回復、呼吸状態、バイタルサイン、瞳孔、四肢の動きじゃ。発作の様式や持続時間も医師への情報提供に不可欠じゃ。
サクラ
発作の体位はどうすればいいんでしたか?
博士
側臥位が基本じゃ。回復体位と呼ばれる体位で、嘔吐物の誤嚥を防ぐ。頸部は過度に屈曲させず、気道を確保しやすい角度を保つのがコツじゃ。
POINT
本問はけいれん発作時の初期対応における優先順位を問う必修問題です。けいれん中は気道閉塞と低酸素血症のリスクが最も高いため、ABCDE原則に従って気道確保Aが最優先となります。環境整備や静脈路確保、心電図モニターも必要ですが、いずれも気道確保より優先度は低く、発作の様式や持続時間の観察と並行して実施します。5分以上続く場合は痙攣重積状態として迅速な薬物介入が必要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:全身性けいれん発作を起こしている患者に最も優先して行うのはどれか。
解説:正解は 1 です。全身性けいれん発作中は意識消失に加え、呼吸筋の不規則な収縮や舌根沈下、嘔吐物の誤嚥などにより気道閉塞を来しやすく、低酸素血症から二次的な脳障害に至る危険があります。そのため、ABCDEアプローチの最優先項目であるA気道の確保を最優先に行い、患者を側臥位にして気道を開通させることが救命の第一歩となります。
選択肢考察
-
○ 1. 気道確保
けいれんによる呼吸筋の異常収縮や舌根沈下、分泌物・嘔吐物の誤嚥により気道閉塞を来しやすく、低酸素予防のため気道確保が最優先となります。
-
× 2. 周囲の環境整備
ベッド柵や周囲の危険物を取り除く環境整備は外傷予防のために重要ですが、気道確保ほどの緊急性はなく優先順位は下がります。
-
× 3. 末梢静脈路の確保
抗けいれん薬投与のために静脈路確保は重要ですが、四肢の不随意運動中は穿刺が困難で危険を伴うため、優先度は気道確保より低くなります。
-
× 4. 心電図モニターの装着
発作中は筋収縮で波形が乱れ正確な解釈が難しく、装着作業そのものも不随意運動のため困難です。気道確保を優先します。
けいれん中は無理に口腔内に物を入れると窒息や歯牙損傷の危険があり、舌をかまないように物を口に入れる行為は禁忌です。5分以上続くけいれんや意識が戻らないうちに再発するけいれんは痙攣重積状態と呼ばれ、ジアゼパムなどのベンゾジアゼピン系抗けいれん薬を速やかに投与する必要があります。発作後は呼吸・循環のモニタリングと体位保持、発作の持続時間や様式の観察が重要です。
けいれん発作時の初期対応で、ABCDE原則に基づく優先順位を判断できるかを問う問題です。
「患者の安全・安楽を守る看護技術」の関連記事
-
高齢者の転倒を防ぐ環境整備、やりがちなNGも解説
高齢者の転倒予防における環境調整の基本原則(段差解消・手すり設置・照明確保・安定した座面)を問う。
114回
-
病室の湿度はなぜ50%?乾燥と過湿のはざまで決まる「療養環境」の基本
病室環境整備における適切な湿度を問う必修問題。40〜60%(最適は50%)という基本的な数値を確実に押さえる。
114回
-
入院中の転倒・転落、内的要因と外的要因をどう見分ける?
転倒・転落の要因を「内的(患者由来)」と「外的(環境由来)」に分類できるかを問う必修問題。薬剤は内的要因の代…
114回
-
N95マスクが守る命—空気感染対策の最前線を理解する
空気感染予防の標準的な防護策を問う問題。N95マスクと陰圧管理がキーワード。
114回
-
無菌操作と清潔操作の使い分け
処置対象部位の常在菌の有無を判断し、無菌操作と清潔操作を正しく使い分けられるかを問う問題です。下気道は無菌と…
113回