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下血はどこからのサイン?消化管出血を見抜く

看護師国家試験 第112回 午前 第13問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第13問

下血がみられる疾患はどれか。

  1. 1.肝囊胞(liver cyst)
  2. 2.大腸癌(colon cancer)
  3. 3.子宮体癌(uterine corpus cancer)
  4. 4.腎細胞癌(renal cell carcinoma)

対話形式の解説

博士 博士

今日は下血の原因疾患について学ぶぞ。君、下血の定義を言えるかの?

サクラ サクラ

肛門から血が出ることですよね?

博士 博士

もう少し正確に言うと、消化管から生じた出血が肛門から排出される現象のことじゃ。消化管は口から肛門まで続く一本の管、食道・胃・小腸・大腸・直腸が該当する。

サクラ サクラ

なるほど、だから消化管以外からの出血は下血じゃないんですね。

博士 博士

その通り。選択肢を見ると、肝嚢胞・大腸癌・子宮体癌・腎細胞癌。この中で消化管に属するのはどれじゃ?

サクラ サクラ

大腸癌ですね。じゃあ正解は大腸癌?

博士 博士

正解!大腸癌は腫瘍表面の脆い血管から持続的に出血し、血便・下血が自覚症状としてよく見られるのじゃ。

サクラ サクラ

子宮体癌や腎細胞癌はなぜ違うんですか?

博士 博士

子宮体癌は不正性器出血、つまり膣からの出血が症状。腎細胞癌は血尿として尿路から出血する。どちらも消化管経路ではないのじゃ。

サクラ サクラ

肝嚢胞は?

博士 博士

肝臓に液体がたまった袋状の病変で、ほとんどは無症状。消化管とつながっていないから下血はしない。

サクラ サクラ

大腸癌の他の症状も教えてください。

博士 博士

便通異常(便秘と下痢の交代)、便の狭小化、腹痛、腹部腫瘤、慢性出血による貧血などじゃ。特にS状結腸・直腸が好発部位で、便が固まった後に腫瘍と接触するため血便が目立ちやすい。

サクラ サクラ

右側の結腸癌はどうなんですか?

博士 博士

良い質問じゃ。右側結腸癌では便がまだ水様で腫瘍と接触しても肉眼的血便になりにくく、慢性の貧血と倦怠感が先に現れることが多い。だから貧血精査で見つかることもあるのじゃ。

サクラ サクラ

下血の色で出血部位がわかるって聞きました。

博士 博士

そうじゃ。上部消化管出血(食道・胃・十二指腸)では胃酸で血液がヘマチンに変化してタール便(黒色便)になる。下部消化管では鮮紅色〜暗赤色の血便になる。ただし大量出血なら上部でも鮮紅色になることがあり、診断は内視鏡が決め手じゃ。

サクラ サクラ

検診ではどうやってチェックするんですか?

博士 博士

40歳以上では便潜血検査(免疫法)が推奨される。陽性なら大腸内視鏡で精査。早期発見すれば5年生存率はきわめて高いがんじゃ。

サクラ サクラ

下血は軽く見ちゃいけないサインですね。

POINT

下血は消化管から生じた出血が肛門から排出される現象で、選択肢の中では唯一消化管疾患である大腸癌が該当します。大腸癌は血便・下血、便通異常、便の狭小化、腹痛、貧血などを呈し、便潜血検査は検診の標準スクリーニングとなっています。子宮体癌は不正性器出血、腎細胞癌は血尿と、出血経路が消化管以外であれば下血とは呼びません。上部消化管出血はタール便、下部消化管出血は鮮血便と色調が異なるため、問診で色を確認することは出血源推定の重要な手がかりです。下血は大腸癌発見のチャンスでもあり、看護師は症状の聞き取りと検診受診の推奨を通じて早期発見に貢献する役割を担います。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:下血がみられる疾患はどれか。

解説:正解は 2 の大腸癌である。下血とは消化管(口から肛門までの一本の管)からの出血が肛門から排出される現象の総称で、鮮紅色・暗赤色・黒色(タール便)まで色調は出血部位に依存する。大腸癌では腫瘍表面の脆弱な血管からの持続的な出血で血便・下血をきたし、進行すると便通異常(便秘・下痢の交代)、便の狭小化、腹痛、体重減少、貧血などを伴う。子宮体癌・腎細胞癌は消化管以外からの出血(性器出血・血尿)であり下血には該当しない。

選択肢考察

  1. × 1.  肝囊胞(liver cyst)

    肝嚢胞は肝内に液体を貯留する袋状病変で、多くは無症状・経過観察で良い。消化管と連続しないため下血の原因にはならない。

  2. 2.  大腸癌(colon cancer)

    大腸癌の主な症状は下血・血便、便通異常、便の狭小化、腹痛、腹部腫瘤、貧血による倦怠感である。便潜血検査陽性は大腸癌検診の重要なスクリーニング所見。

  3. × 3.  子宮体癌(uterine corpus cancer)

    子宮体癌の代表的症状は閉経後の不正性器出血である。出血経路は膣であり消化管由来ではないため、下血には分類されない。

  4. × 4.  腎細胞癌(renal cell carcinoma)

    腎細胞癌は血尿・側腹部痛・腫瘤触知の三徴が古典的。出血は尿路系に出るため血尿として現れ、下血ではない。

消化管出血は上部(Treitz靭帯より口側:食道・胃・十二指腸)と下部(小腸・大腸・直腸・肛門)に分けられる。上部消化管出血では吐血(コーヒー残渣様)と下血(黒色・タール便)の両方が起こり得るが、下部消化管出血では吐血は生じず、鮮紅色〜暗赤色の血便・下血が主となる。大腸癌の好発部位はS状結腸・直腸で、右側結腸癌では貧血が前面に出て血便に気づきにくいこともある。40歳以上では便潜血検査が検診で推奨され、陽性なら大腸内視鏡での精査が標準である。

『下血=消化管由来の肛門からの出血』という定義を押さえ、選択肢の臓器が消化管かどうかを判別する問題。