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糖尿病の急性合併症はこれだ!ケトアシドーシスを見逃すな

看護師国家試験 第112回 午前 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第14問

糖尿病(diabetes mellitus)の急性合併症はどれか。

  1. 1.足壊疽(foot gangrene)
  2. 2.脳血管疾患(cerebrovascular disease)
  3. 3.糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)
  4. 4.ケトアシドーシス昏睡

対話形式の解説

博士 博士

今日は糖尿病の合併症を整理するぞ。選択肢の中で急性合併症はどれじゃろう?

アユム アユム

足壊疽は緊急っぽい響きですけど…急性ですか?

博士 博士

いやいや、足壊疽は長年の神経障害と末梢動脈疾患が積み重なって起きる慢性合併症じゃ。正解はケトアシドーシス昏睡じゃよ。

アユム アユム

ケトアシドーシスって具体的にどんな状態ですか?

博士 博士

インスリンが絶対的に不足すると、ブドウ糖を細胞に取り込めず、代わりに脂肪をエネルギー源として分解する。その副産物としてケトン体(アセトン・アセト酢酸・βヒドロキシ酪酸)が大量に作られて血液が酸性に傾くのじゃ。

アユム アユム

それで昏睡まで行くんですね。症状はどんな感じですか?

博士 博士

口渇・多飲・多尿・体重減少といった糖尿病の典型症状が急激に出現し、進行すると悪心嘔吐・腹痛・クスマウル呼吸(深く大きな呼吸)・呼気のアセトン臭(果物様の甘い臭い)・意識障害・昏睡に至る。

アユム アユム

どんな人が起こしやすいんですか?

博士 博士

主に1型糖尿病じゃ。インスリン注射の中断、感染症、シックデイ管理不十分が引き金になる。若年者や初発時にも見られるから見逃せない。

アユム アユム

治療はどうするんですか?

博士 博士

大量の生理食塩水輸液で脱水補正、少量持続インスリン投与で血糖降下、カリウム補正が治療の三本柱じゃ。血糖を急速に下げすぎると脳浮腫を起こすので時間をかけて調整する。

アユム アユム

もう1つの急性合併症も教えてください。

博士 博士

高浸透圧高血糖症候群(HHS)じゃ。主に2型糖尿病の高齢者で、感染や脱水を契機に血糖600mg/dL以上、血漿浸透圧320mOsm/L以上になる。ケトーシスは軽度だが脱水と意識障害が強いのが特徴。

アユム アユム

慢性合併症の覚え方ってありますか?

博士 博士

三大合併症は『しめじ』の語呂じゃ。し=神経障害、め=目(網膜症)、じ=腎症。動脈硬化性の大血管症は『えのき』で、え=壊疽、の=脳血管疾患、き=虚血性心疾患じゃ。

アユム アユム

この問題の他の選択肢はこの『えのき』と『しめじ』なんですね。

博士 博士

その通り。足壊疽は『え』、脳血管疾患は『の』、網膜症は『め』にあたる慢性合併症。急性のケトアシドーシスだけが別枠じゃ。

アユム アユム

看護で気をつけることは?

博士 博士

シックデイルール(風邪や下痢で食事がとれない時のインスリン・水分管理)の指導が急性合併症予防のカギじゃ。患者の自己管理支援が看護師の重要な役割じゃよ。

POINT

糖尿病の合併症は急性と慢性に大別され、急性合併症には糖尿病ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群(HHS)があります。DKAはインスリン欠乏による脂肪分解亢進でケトン体が蓄積し代謝性アシドーシスと昏睡をきたす病態で、主に1型糖尿病でシックデイやインスリン中断を契機に発症します。治療は大量輸液・少量持続インスリン・電解質補正が柱で、急速な血糖低下による脳浮腫に注意が必要です。足壊疽・脳血管疾患・網膜症はいずれも慢性合併症で、三大合併症(神経・網膜・腎)と大血管症に整理できます。看護師は患者教育、特にシックデイルールの徹底とフットケアを通じて、急性・慢性両方の合併症予防に関わります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:糖尿病(diabetes mellitus)の急性合併症はどれか。

解説:正解は 4 のケトアシドーシス昏睡である。糖尿病の合併症は発症様式により急性と慢性に分けられる。急性合併症には糖尿病ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群(HHS)の2つがあり、いずれも著明な高血糖を背景に意識障害や昏睡を引き起こし、生命にかかわる緊急病態である。DKAは主に1型糖尿病でインスリン欠乏により脂肪分解が亢進し、ケトン体が蓄積して代謝性アシドーシスをきたす。クスマウル呼吸・呼気のアセトン臭・脱水・意識障害が特徴。一方、足壊疽・脳血管疾患・糖尿病網膜症はいずれも慢性合併症である。

選択肢考察

  1. × 1.  足壊疽(foot gangrene)

    糖尿病性神経障害と末梢動脈疾患が長期に進行した結果生じる慢性合併症。靴ずれや小外傷から感染・壊疽に至るフットケア管理が重要。

  2. × 2.  脳血管疾患(cerebrovascular disease)

    高血糖と動脈硬化の進行で脳梗塞のリスクが上昇するが、これは年単位で進む慢性経過の大血管合併症であり、急性合併症には分類されない。

  3. × 3.  糖尿病網膜症(diabetic retinopathy)

    高血糖で網膜の細小血管が損傷を受け生じる慢性合併症。三大合併症(神経障害・網膜症・腎症)の1つで、日本の成人失明原因上位。

  4. 4.  ケトアシドーシス昏睡

    インスリン欠乏による急性代謝異常。高血糖・ケトン体蓄積・代謝性アシドーシスが進行し昏睡に至る。速やかな輸液とインスリン持続投与が必要。

急性合併症はもう1つ、高浸透圧高血糖症候群(HHS)も押さえる。HHSは主に2型糖尿病高齢者にみられ、感染や脱水を契機に血糖値が600mg/dL以上、血漿浸透圧320mOsm/L以上に達するが、ケトーシスは軽度でアシドーシスは目立たない点がDKAと異なる。意識障害・重症脱水が前面に出るため大量輸液が治療の柱。慢性合併症は『しめじ(神経・目・腎)』と『えのき(壊疽・脳・虚血性心疾患)』の語呂で細小血管症と大血管症を整理すると覚えやすい。HbA1c 7.0%未満を目標に血糖コントロールすることで、これらの合併症発症・進行を抑制できる。

糖尿病合併症を急性と慢性に分類できるかを問う問題。DKA・HHSの2つが急性、三大合併症と動脈硬化性疾患が慢性という整理が核心。