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Virchow転移はどこ?胃癌の固有名詞付き転移を完全整理

看護師国家試験 第114回 午後 第16問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第16問

胃癌(gastric cancer)のVirchow<ウィルヒョウ>転移が生じる部位はどれか。

  1. 1.
  2. 2.肝臓
  3. 3.ダグラス窩
  4. 4.左鎖骨上窩

対話形式の解説

博士 博士

今回は胃癌の転移について学ぶぞ。胃癌の転移経路は何種類あるか知っておるか?

アユム アユム

えっと…リンパ転移と血行性転移ですか?

博士 博士

惜しいぞ。3種類じゃ。リンパ行性転移、血行性転移、そして腹膜播種の3つ。

アユム アユム

腹膜播種って何ですか?

博士 博士

癌細胞が腹膜表面に種をまくように散らばって増殖することじゃ。胃癌では特に重要な転移様式じゃな。

アユム アユム

今回問われているVirchow転移はどれですか?

博士 博士

Virchow転移はリンパ行性転移の一種で、左鎖骨上窩のリンパ節に転移することを言う。

アユム アユム

なんで左鎖骨上窩なんですか?右じゃダメなんですか?

博士 博士

ここがポイントじゃ。お腹の臓器のリンパ液は胸管という太いリンパ管に集まって、最終的に左の鎖骨下静脈と内頸静脈の合流部に注ぎ込む。だから消化器癌のリンパ行性遠隔転移は左に出るのじゃ。

アユム アユム

なるほど、解剖学的に左に流れるからなんですね。

博士 博士

その通り!触診で左鎖骨上に硬い結節を触れることがあり、これをトロワジエ徴候と呼ぶ。進行胃癌の所見として古くから有名じゃ。

アユム アユム

他の選択肢はどんな転移なんですか?

博士 博士

肝臓と肺は血行性転移じゃ。胃の静脈血は門脈を通って肝臓に流れ込むから、肝転移が最も多い。肺は門脈→肝→下大静脈→肺と流れた先で起こる。

アユム アユム

ダグラス窩への転移には名前がついてましたよね?

博士 博士

それがSchnitzler(シュニッツラー)転移じゃ。腹膜播種でダグラス窩に転移したものを指す。直腸診で触れることもあるぞ。

アユム アユム

他にも固有名詞付きの転移はありますか?

博士 博士

卵巣転移はKrukenberg(クルッケンベルグ)腫瘍と呼ばれる。両側性に起こることが多く、印環細胞癌が特徴じゃ。

アユム アユム

Virchow、Schnitzler、Krukenbergの3つを区別できないとダメですね。

博士 博士

うむ、国試頻出じゃから完全に整理するのじゃ。「Virchow=左鎖骨上=リンパ行性」「Schnitzler=ダグラス窩=播種」「Krukenberg=卵巣=播種または血行性」とセットで覚えるとよい。

アユム アユム

看護師として注意することは何ですか?

博士 博士

進行胃癌では遠隔転移の有無が予後に直結する。身体所見として左鎖骨上窩のリンパ節腫大、腹水、ダグラス窩の硬結などをアセスメントすることが大切じゃ。

POINT

Virchow転移とは胃癌をはじめとする消化器癌が、腹部リンパ→胸管→左鎖骨下静脈合流部の経路を通って左鎖骨上窩リンパ節に転移するリンパ行性転移を指します。同じ胃癌の転移でも、肝・肺は血行性転移、ダグラス窩への腹膜播種はSchnitzler転移、卵巣転移はKrukenberg腫瘍と呼ばれ、いずれも進行癌の重要な遠隔転移として固有名詞で覚える必要があります。看護師は進行胃癌患者のフィジカルアセスメントとして左鎖骨上窩のリンパ節触診、腹水や腹部腫瘤、直腸診所見などから遠隔転移を疑う視点を持つことが重要です。これらの転移知識は治療方針や予後予測、症状緩和の方向性を理解するうえで欠かせない基礎となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:胃癌(gastric cancer)のVirchow<ウィルヒョウ>転移が生じる部位はどれか。

解説:正解は 4 の左鎖骨上窩です。Virchow(ウィルヒョウ)転移とは、胃癌など腹部の消化器癌のリンパ流が胸管を介して左鎖骨下静脈に注ぐ部位の左鎖骨上窩リンパ節に転移することをいいます。腹部内臓のリンパ液は最終的に胸管を通って左静脈角(左鎖骨下静脈と左内頸静脈の合流部)に流入するため、消化器癌のリンパ行性転移はこの経路をたどり、左鎖骨上窩のリンパ節(特にトロワジエ徴候として知られる左鎖骨上の結節として触れることがある)が腫脹します。胃癌の遠隔リンパ行性転移として古くから有名で、進行胃癌の身体所見としても重要です。

選択肢考察

  1. × 1.  肺

    肺への胃癌転移は血行性転移にあたる。腫瘍細胞が血流に乗って肺毛細血管に達して定着するもので、リンパ行性のVirchow転移とは経路が異なる。

  2. × 2.  肝臓

    肝臓は胃癌の血行性転移として最も頻度が高い臓器。胃の静脈血は門脈を経て肝臓に流入するため肝転移を起こしやすい。リンパ行性転移ではない。

  3. × 3.  ダグラス窩

    ダグラス窩は腹腔内の最深部で、ここに腹膜播種で生じた転移巣はSchnitzler(シュニッツラー)転移と呼ばれる。直腸診で触知できることがあり、腹膜播種の指標となるがVirchow転移とは別。

  4. 4.  左鎖骨上窩

    左鎖骨上窩リンパ節への転移をVirchow転移と呼ぶ。胸管を経由するリンパ行性転移で、進行胃癌で見られる代表的な遠隔転移。

胃癌の転移様式は3つに大別される。①リンパ行性転移:所属リンパ節転移→Virchow転移(左鎖骨上)。②血行性転移:門脈を経由した肝転移が最多、次いで肺・骨・副腎など。③腹膜播種:Schnitzler転移(ダグラス窩)、Krukenberg腫瘍(卵巣転移)が代表的。これらの固有名詞付き転移は国試頻出で、「Virchow=左鎖骨上=リンパ行性」「Schnitzler=ダグラス窩=腹膜播種」「Krukenberg=卵巣=腹膜播種または血行性」とセットで覚えるとよい。

胃癌の特殊な転移様式とその名称を結びつける問題。Virchow転移は左鎖骨上窩リンパ節へのリンパ行性転移であることを確実に押さえる。