止血の鉄則!前腕からの動脈出血で押さえる動脈はどこ?
看護師国家試験 第106回 午前 第44問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
前腕部からの動脈性の外出血に対する用手間接圧迫法で血流を遮断するのはどれか。
- 1.鎖骨下動脈
- 2.腋窩動脈
- 3.上腕動脈
- 4.橈骨動脈
対話形式の解説
博士
今日は外傷の止血法じゃ。前腕から動脈性出血があるとき、間接圧迫法で押さえる動脈はどこじゃろう?
アユム
えーと、動脈出血って結構危険ですよね。直接押さえるんじゃないんですか?
博士
良い指摘じゃ!第一選択は直接圧迫止血法、出血部位を清潔なガーゼで強く押さえる。でも、それで止まらない場合や深い傷では間接圧迫法が補助的に使われるのじゃ。
アユム
間接圧迫って、どこを押さえるんですか?
博士
原則は「出血部位より中枢側、つまり心臓に近い側の太い動脈を、骨に向けて圧迫する」ことじゃ。そうすれば出血部への血流量が減る。
アユム
なるほど!前腕出血なら、前腕より心臓側ってことは…上腕動脈ですか?
博士
正解!選択肢3の上腕動脈じゃ。上腕二頭筋の内側溝で上腕骨に向けて指で圧迫する。血圧測定で触る脈拍の場所と同じじゃよ。
アユム
あ、血圧測定のとき聴診器を当てる場所ですね!
博士
その通り。では選択肢4の橈骨動脈はどうじゃ?
アユム
橈骨動脈は手首の脈をとるところですよね…前腕よりも末梢だから、圧迫しても止血できないってことですか?
博士
その通り!中枢・末梢の概念は超重要じゃ。末梢を押さえても、出血部より先を塞ぐだけで止血にはならん。
アユム
鎖骨下動脈や腋窩動脈はなぜダメなんですか?上腕動脈より中枢側ですけど…
博士
鎖骨下動脈は鎖骨の裏にあって圧迫しづらい。腋窩動脈は上腕出血には適するが、前腕出血には遠すぎて効率が悪く、腕の循環を不要に広範囲で止めてしまう。
アユム
つまり「一番近い中枢側の動脈」を選ぶんですね。
博士
その通り。下肢なら膝下からの出血は大腿動脈、太もも付け根の鼠径部を押さえる。覚えておくと良い。
アユム
圧迫は何分くらい続けるんですか?
博士
救急搬送されるまでの一時的措置と考えるべきじゃ。長時間だと末梢組織の虚血や神経麻痺のリスクがある。5〜15分程度で再評価するのが一般的じゃな。
アユム
ターニケット(駆血帯)との使い分けは?
博士
鋭い!ターニケットは手足の四肢切断など大量出血で直接・間接圧迫でも止血できない場合に使う最終手段じゃ。最近の災害医療やテロ対応で再評価されておる。
アユム
実際の救急現場ではどんな観察がポイントですか?
博士
出血量、出血の種類(動脈性は鮮紅色・拍動性、静脈性は暗赤色・持続性)、ショック症状の有無(意識レベル、皮膚色、冷汗、脈拍)、末梢の冷感や感覚異常などじゃ。
アユム
単なる止血じゃなくて全身管理が大事なんですね。
POINT
用手間接圧迫法は、出血部位より中枢側の太い動脈を骨に向けて圧迫し、出血部への血流を減少させる止血法です。前腕部からの動脈性外出血では、前腕を支配する上腕動脈(上腕二頭筋内側)を圧迫することで血流を遮断します。第一選択は直接圧迫止血法で、間接圧迫法はその補助と位置づけられ、長時間の圧迫は末梢虚血リスクがあるため救急搬送までの一時的措置と捉えます。上肢は腋窩動脈・上腕動脈・橈骨動脈、下肢は大腿動脈・膝窩動脈が主な圧迫部位で、国試やBLS研修で頻出の実践知識です。看護師は応急手当の原則を理解し、出血性ショックの観察とともに迅速な止血処置ができる力が求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:前腕部からの動脈性の外出血に対する用手間接圧迫法で血流を遮断するのはどれか。
解説:正解は 3 です。用手間接圧迫法(間接圧迫止血法)は、出血部位よりも中枢側(心臓に近い側)の太い動脈を体表から骨に向けて圧迫し、出血部への血流を減少させる止血法である。前腕は上腕動脈から分岐する橈骨動脈・尺骨動脈によって灌流されており、前腕部からの動脈性出血では前腕の直上の中枢側にある上腕動脈(上腕二頭筋内側、上腕骨内側面付近)を圧迫することで血流が効果的に遮断できる。
選択肢考察
-
× 1. 鎖骨下動脈
鎖骨下を走行する動脈で、上肢全体の血流源となる近位の動脈。前腕出血に対しては遠すぎるうえ、圧迫が困難で、通常の用手間接圧迫部位には選ばれない。
-
× 2. 腋窩動脈
腋窩を通る動脈で、上腕出血に対する圧迫部位。前腕出血の場合、より末梢の上腕動脈を圧迫した方が効果的で解剖学的に適切である。
-
○ 3. 上腕動脈
上腕二頭筋の内側溝で上腕骨に向けて触知・圧迫できる太い動脈。前腕への血流を支配しているため、前腕部からの動脈性出血では上腕動脈を圧迫することで血流を遮断できる。
-
× 4. 橈骨動脈
前腕末梢(手首付近)を走行する動脈で、脈拍触知や採血によく用いられる。前腕出血に対しては末梢側にあたるため圧迫しても止血できない。
用手間接圧迫法の主な圧迫部位は、上肢では腋窩動脈・上腕動脈・橈骨動脈、下肢では大腿動脈・膝窩動脈などである。大原則は「出血部位より心臓に近い動脈を圧迫する」こと。ただし現場の救急処置では、まず直接圧迫止血法(出血部位を清潔なガーゼで強く押さえる)が第一選択で、間接圧迫法は補助的位置付けとなる。長時間の圧迫は末梢組織の虚血・神経障害のリスクがあるため、救急搬送までの一時的措置と捉える。BLSや応急手当教育で頻出の知識。
動脈性外出血に対する間接圧迫止血の解剖学的知識と、「出血部位より中枢側で圧迫する」という原則を理解しているかを問う問題。
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