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体位ドレナージの基本原理

看護師国家試験 第108回 午前 第40問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第40問

右中葉領域で粗い断続性副雑音水泡音が聴取された場合の体位ドレナージの体位を図に示す。適切なのはどれか。

  1. 1. 選択肢1
  2. 2. 選択肢2
  3. 3. 選択肢3
  4. 4. 選択肢4

対話形式の解説

博士 博士

今日は体位ドレナージについて学ぼう。右中葉の痰貯留がテーマだよ。

アユム アユム

体位ドレナージって何をする手技ですか?

博士 博士

重力を利用して末梢気道の分泌物を中枢気道へ移動させ、排痰を促す手技だ。ポストラル・ドレナージともいうよ。

アユム アユム

どうやって体位を決めるんですか?

博士 博士

原則は「貯留部位を上、太い気管支を下」にすること。そうすれば重力で痰が中枢へ流れるんだ。

アユム アユム

右中葉はどこですか?

博士 博士

右肺は上葉・中葉・下葉の3葉に分かれていて、中葉は前下方に位置する。中葉気管支は右主気管支から前外側に分岐するんだ。

アユム アユム

正解はどれですか?

博士 博士

正解は2番、左側臥位だよ。右側を上にして左向きに寝かせると、右中葉が上になり痰が重力で中枢気道に流れる。さらに頭低位15度程度を加えるとより効果的だ。

アユム アユム

選択肢1の腹臥位はどうですか?

博士 博士

腹臥位は両肺下葉の後肺底区、つまり背側の痰貯留に用いる。中葉は前面にあるから腹臥位では重力方向が逆になるんだ。

アユム アユム

選択肢3の右側臥位は?

博士 博士

右側臥位は左側が上になるから、左肺の痰貯留、特に左下葉側壁に用いる体位だ。右中葉を上にできないので中葉ドレナージには不適切だよ。

アユム アユム

選択肢4の坐位は?

博士 博士

坐位やファウラー位は両肺上葉の痰貯留に用いる。解剖学的に上葉が最上部だから重力で痰が下に移動するんだ。中葉は下部にあるから坐位では流れないね。

アユム アユム

部位別の体位を整理してもらえますか?

博士 博士

①上葉尖区:坐位、②上葉前区:仰臥位、③上葉後区:腹臥位頭側高、④中葉と左舌区:対側側臥位頭低15度、⑤下葉上区:腹臥位、⑥下葉前底区:仰臥位頭低30度、⑦下葉後底区:腹臥位頭低30度、⑧下葉外側底区:対側側臥位頭低30度だよ。

アユム アユム

実施時間や頻度は?

博士 博士

1部位15〜20分、1日2〜4回、食後1〜2時間は避ける。誤嚥や嘔吐のリスクがあるからね。

アユム アユム

他の排痰手技と組み合わせますか?

博士 博士

体位ドレナージ単独より、スクイージング(呼気時に胸郭を圧迫)、軽打法、振動法、咳嗽指導と組み合わせるのが効果的だ。近年は高頻度胸壁振動装置HFCWOも使われるよ。

アユム アユム

禁忌や注意点はありますか?

博士 博士

頭蓋内圧亢進、循環不全、出血傾向、喀血、重度胸水、頸椎不安定、心不全急性期などでは禁忌や慎重適応だ。頭低位はショック・脳圧亢進に要注意だよ。

アユム アユム

実施中のモニタリングは?

博士 博士

バイタルサインとSpO2を常時観察し、呼吸困難感や顔色変化、不整脈に注意する。気分不快があればすぐ中止だ。

アユム アユム

肺の解剖と手技を関連づけることが重要ですね。

博士 博士

そう、解剖学的イメージができれば体位選択は論理的に導ける。図で覚えるより構造で理解しよう。

POINT

体位ドレナージは重力を用いた排痰手技で、貯留部位を上、太い気管支を下にするのが原則。右中葉の貯留には左側臥位(右側を上、頭低位15度)が最適で正解は2。腹臥位は下葉後底区、右側臥位は左肺、坐位は両上葉用。スクイージングや咳嗽指導と併用し、食後1〜2時間は避け、バイタルとSpO2を監視する。頭蓋内圧亢進や循環不全などでは禁忌・慎重適応。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:右中葉領域で粗い断続性副雑音水泡音が聴取された場合の体位ドレナージの体位を図に示す。適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。体位ドレナージ(postural drainage)は重力を利用して末梢気道の分泌物を中枢気道へ移動させ排痰を促す手技で、貯留部位に応じた体位選択が重要です。右中葉は解剖学的に右肺前下方に位置し、貯留部位を上、太い気管支を下にする体位、すなわち左側臥位(右側を上にし、骨盤を少し高くする)が最適です。理想的には左側臥位で上半身を約15度下げた頭低位(15度トレンデレンブルグ)を取り、分泌物が重力で中葉気管支から中間気管支へ流れるようにします。

選択肢考察

  1. × 1.  
    選択肢1

    腹臥位は両肺下葉の後肺底区(背側)の痰貯留に用いる体位で、中葉ドレナージには適しません。

  2. 2.  
    選択肢2

    左側臥位(右側を上)は右中葉の重力ドレナージに最適な体位。右中葉気管支は右主気管支から前外側に分岐するため、左側臥位で右側を上に向けると分泌物が重力で中枢へ移動します。

  3. × 3.  
    選択肢3

    右側臥位(左側を上)は左肺(特に左側下葉側壁)の痰貯留に用います。右中葉を上にできないため中葉ドレナージには不適切です。

  4. × 4.  
    選択肢4

    坐位あるいはファウラー位は両肺上葉の痰貯留に用います。中葉は解剖学的に下部にあるため、坐位では重力で痰が移動しません。

体位ドレナージの部位別体位は、①上葉尖区:坐位、②上葉前区:仰臥位、③上葉後区:腹臥位(頭側高)、④中葉/左舌区:対側の側臥位(患側上、頭低位15度)、⑤下葉上区:腹臥位、⑥下葉前底区:仰臥位・頭低位30度、⑦下葉後底区:腹臥位・頭低位30度、⑧下葉外側底区:対側側臥位・頭低位30度。1回15〜20分、食後1〜2時間は避け、バイタルサイン・SpO2を監視。頭蓋内圧亢進・循環不全・出血傾向・胸水などでは禁忌・慎重適応となります。実施中はスクイージング・振動・咳嗽指導と組み合わせます。

肺葉・肺区の解剖と重力ドレナージの原理を理解し、病変部位に応じた適切な体位を選択できるかを問う問題です。