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TPNと高血糖 中心静脈栄養で押さえる代謝性合併症

看護師国家試験 第109回 午後 第43問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第43問

中心静脈栄養法〈 TPN 〉で高カロリー輸液を用いる際に、起こりやすい合併症はどれか。

  1. 1.高血圧
  2. 2.高血糖
  3. 3.末梢静脈炎
  4. 4.正中神経麻痺

対話形式の解説

博士 博士

今日は中心静脈栄養法、TPNについて学ぶぞ。TPNとは何の略か言えるかの?

サクラ サクラ

total parenteral nutrition、完全静脈栄養法ですね。経口や経腸栄養ができない患者さんに、静脈から必要な栄養をすべて補給する方法です。

博士 博士

よく覚えておる。TPNでは通常ブドウ糖濃度12〜25%の高カロリー輸液を使う。生理的な血糖維持に使う末梢輸液が5%くらいじゃから、相当高濃度じゃな。

サクラ サクラ

そんなに濃い糖が入ると…血糖が急に上がりそうです。

博士 博士

その通り、それが今回のポイント。高カロリー輸液投与中に最も起こりやすい代謝性合併症が高血糖じゃ。

サクラ サクラ

特に糖尿病のある患者さんや感染症がある患者さんはインスリン抵抗性が高いから余計に上がりやすいんですよね。

博士 博士

よく知っておるのう。TPN施行中は数時間ごとに血糖測定し、必要ならインスリンを混注またはスライディングスケールで対応する。

サクラ サクラ

逆に急に止めると低血糖になると聞きました。

博士 博士

そう、反跳性低血糖じゃ。高濃度糖の持続注入で体が高インスリン状態になっておるから、突然止めるとインスリンが相対的に過剰になる。終了時は徐々に減量するのが鉄則じゃな。

サクラ サクラ

選択肢3の末梢静脈炎は、確かに高カロリー輸液を末梢から入れると起きそうですよね。

博士 博士

するどい指摘じゃ。高カロリー輸液は浸透圧が血漿の5〜7倍と高く、末梢静脈では即座に静脈炎を起こす。だから浸透圧を血液で速やかに希釈できる中心静脈から投与するんじゃ。今回問われているのは『TPNで起こりやすい合併症』だから末梢静脈炎は不正解。

サクラ サクラ

選択肢1の高血圧はどうですか?

博士 博士

TPNで直接高血圧は起こらない。ただし過剰輸液による心負荷や、電解質異常は念頭に置くべきじゃよ。

サクラ サクラ

選択肢4の正中神経麻痺は?

博士 博士

これは解剖学的に無関係じゃ。TPNで使う中心静脈の穿刺部位は内頸静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈、最近はPICCで上腕からの末梢挿入型中心静脈カテーテルも普及しておる。正中神経は前腕の神経だから直接の合併はない。

サクラ サクラ

TPNで他に気をつける合併症はありますか?

博士 博士

大事なのはリフィーディング症候群じゃ。長期低栄養の患者に急に高カロリー輸液を開始すると、急激な同化に伴って低リン血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症が起こり、不整脈や心不全で死亡することもある。

サクラ サクラ

だからTPN開始時は低エネルギーから始めて数日で目標量に近づけるんですね。

博士 博士

その通り。さらに長期TPNでは肝機能障害、胆汁うっ滞、腸粘膜萎縮、カテーテル関連血流感染などにも注意じゃ。

サクラ サクラ

栄養療法は命に関わるからこそ、モニタリングと段階的な開始が大切なんですね。

POINT

中心静脈栄養法(TPN)は経口・経腸栄養が困難な患者に対し、中心静脈から高濃度の栄養輸液を投与する治療法です。用いられる高カロリー輸液はブドウ糖濃度が12〜25%と高いため、投与速度の超過やインスリン抵抗性の高い病態では高血糖が生じやすく、これが最も代表的な代謝性合併症です。管理では頻回の血糖測定とインスリン調整が基本で、急な中止では反跳性低血糖、長期低栄養患者の急速開始ではリフィーディング症候群が問題になります。また末梢静脈炎を避けるために中心静脈を選ぶこと、カテーテル関連血流感染や肝胆道障害など多岐にわたる合併症管理が看護師に求められる重要な分野です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:中心静脈栄養法〈 TPN 〉で高カロリー輸液を用いる際に、起こりやすい合併症はどれか。

解説:正解は 2 の高血糖である。TPN(total parenteral nutrition:中心静脈栄養法)では糖濃度が高い(通常ブドウ糖濃度12〜25%程度)輸液を投与するため、投与速度が速い、またはインスリン分泌予備能が低い患者では容易に高血糖をきたす。開始時・増量時の血糖モニタリングとスライディングスケールによるインスリン調整が基本である。

選択肢考察

  1. × 1.  高血圧

    TPN製剤自体に血圧を上昇させる直接作用はなく、高血圧は典型的な合併症として挙げられない。ただし過剰な容量負荷が心不全を誘発しうる点には注意する。

  2. 2.  高血糖

    高カロリー輸液は高濃度ブドウ糖を含むため、投与速度超過・インスリン抵抗性・糖尿病既往・感染症合併などで高血糖が生じやすい。急な中止では反跳性低血糖も起こるため徐々に減量する。

  3. × 3.  末梢静脈炎

    高カロリー輸液は浸透圧が血漿の約5〜7倍と高いため、末梢静脈から投与すると静脈炎を起こす。そのため中心静脈から投与する。『中心静脈投与の合併症』としては不適。

  4. × 4.  正中神経麻痺

    正中神経は上肢の神経で、TPNで通常用いる内頸静脈・鎖骨下静脈・大腿静脈の穿刺部位から解剖学的に離れており、直接合併することはない。

TPNの主な合併症は(1)カテーテル関連:気胸・血胸・動脈誤穿刺・空気塞栓・カテーテル関連血流感染(CRBSI)、(2)代謝性:高血糖・低血糖・電解質異常・リフィーディング症候群・肝機能障害・胆汁うっ滞、(3)消化管:腸管粘膜萎縮・bacterial translocation。長期栄養障害患者で急に高カロリー輸液を開始するとリフィーディング症候群(低リン・低K・低Mg血症)を起こし致死的となるため、開始時は低エネルギーから漸増する。

TPNで用いる高カロリー輸液の代謝性合併症を問う。ブドウ糖濃度が高いため高血糖をきたしやすいという基本と、反跳性低血糖、リフィーディング症候群まで押さえる。