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ディフィシル下痢の陰部洗浄、PPEはどこまで揃える?

看護師国家試験 第109回 午前 第33問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第33問

クロストリジウム・ディフィシレ(ディフィシル)( Clostridium difficile )による下痢を発症している患者の陰部洗浄をベッド上で行う際の個人防護具を着用した看護師の写真を別に示す。適切なのはどれか。

  1. 1. 選択肢1
  2. 2. 選択肢2
  3. 3. 選択肢3
  4. 4. 選択肢4

対話形式の解説

博士 博士

今回は画像問題じゃが、画像が見えずとも正解に辿り着ける知識を整えるのじゃ。題材はC.ディフィシル感染症患者の陰部洗浄時のPPEじゃ。

サクラ サクラ

C.ディフィシルって、抗菌薬を長期使用した人に起きる腸炎ですよね。

博士 博士

その通り。正式にはクロストリジオイデス・ディフィシル。抗菌薬で腸内細菌叢が乱れた隙に増殖し、トキシンAとBを出して偽膜性腸炎を引き起こす。頻回の水様便が特徴じゃ。

サクラ サクラ

この菌は芽胞を作るから、アルコール消毒が効かないんでしたよね。

博士 博士

よく覚えておった。だから手指衛生は流水と石けんによる物理的洗浄、環境消毒は次亜塩素酸ナトリウムが基本じゃ。予防策は標準予防策+接触予防策となる。

サクラ サクラ

では陰部洗浄のときのPPEは何が必要ですか?

博士 博士

まず手袋、そして撥水性の長袖ガウン、マスク、さらに眼の粘膜を守るゴーグルまたはフェイスシールド。この4点セットが基本じゃ。

サクラ サクラ

なぜゴーグルまで必要なんですか?おむつ交換レベルなら手袋とガウンで足りる気がします。

博士 博士

鋭い質問じゃ。陰部洗浄では洗浄ボトルから水を流すため、便と洗浄水が飛沫やエアロゾルとなって顔や眼に飛ぶ可能性がある。粘膜からの汚染を防ぐためにゴーグルが必要になるのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど、行為のリスクに応じてPPEを選ぶんですね。

博士 博士

そうじゃ。PPEは『その行為でどこが汚染される可能性があるか』から逆算して選ぶ。これはCDCのガイドラインでも明確じゃ。

サクラ サクラ

選択肢4がフル装備で正解というのは納得できます。他の選択肢はどこかが欠けているんですね。

博士 博士

そう。ガウンなし、ゴーグルなし、長袖ではないなど、どこかが不足しておる。画像が見えなくても『フル装備=正解』と判断できるのが本問のコツじゃ。

サクラ サクラ

手指衛生のタイミングもPPE着脱と関係しますよね。

博士 博士

WHOの『手指衛生5つのタイミング』じゃな。患者接触前、清潔操作前、体液暴露後、患者接触後、患者環境接触後。ディフィシル患者ではアルコール擦式ではなく石けんと流水で行うのが大事じゃ。

サクラ サクラ

PPEを外す順番も大切ですよね。

博士 博士

手袋→ゴーグル→ガウン→マスクの順が基本。最も汚染度の高い手袋を最初に外し、最後は顔面を守るマスクじゃ。外した後は必ず手指衛生を行う。

サクラ サクラ

環境整備では次亜塩素酸ナトリウムを使うんですね。

博士 博士

その通り。高頻度接触面は0.05〜0.5%次亜塩素酸ナトリウムで1日1回以上清拭。専用のトイレや物品の使用、個室隔離も接触予防策の柱じゃ。

サクラ サクラ

PPEの選び方と感染経路、セットで押さえます!

POINT

C.ディフィシル感染症患者の陰部洗浄では、標準予防策に接触予防策を加え、さらに飛沫や水しぶきによる粘膜暴露を防ぐため、手袋・撥水性長袖ガウン・マスク・ゴーグル(またはフェイスシールド)をすべて装着する必要があります。本問は画像の適切なPPE装備を選ばせる問題で、4点すべてを備えた選択肢4が正解です。C.ディフィシルは芽胞を作りアルコール無効なため、手指衛生は流水と石けんで行い、環境消毒には次亜塩素酸ナトリウムを用います。PPEは行為に伴う汚染リスクから逆算して選択する視点が、感染対策の実践では欠かせません。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:クロストリジウム・ディフィシレ(ディフィシル)( Clostridium difficile )による下痢を発症している患者の陰部洗浄をベッド上で行う際の個人防護具を着用した看護師の写真を別に示す。適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。画像問題のため視覚的判断が不可欠だが、C.ディフィシル(現:クロストリジオイデス・ディフィシル)腸炎患者の下痢便の処理や陰部洗浄では、標準予防策に加えて接触予防策が必要であり、さらに陰部洗浄は飛沫・エアロゾル暴露のリスクがあるため、手袋・撥水性(長袖)ガウン・マスク・眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)をすべて装着したフル装備が推奨される。選択肢 4 がこれらをすべて満たしている装備である。

選択肢考察

  1. × 1.  
    選択肢1

    手袋とマスクのみなど装備が不十分。陰部洗浄中は腕や前胸部にも便や洗浄水が付着しうるためガウンとゴーグルが必要。

  2. × 2.  
    選択肢2

    ガウンを欠いている、または眼の防護具がないなど、飛沫や接触による汚染から十分守れない装備である。

  3. × 3.  
    選択肢3

    ゴーグルなど眼の粘膜を守る防護具が欠けている装備。飛散した便や洗浄水が結膜に触れれば感染・汚染の経路になる。

  4. 4.  
    選択肢4

    手袋・撥水性ガウン(長袖)・マスク・ゴーグルをすべて装着した装備であり、標準予防策+接触予防策+粘膜保護を満たす最適解。

C.ディフィシルは芽胞形成性のグラム陽性嫌気性桿菌で、抗菌薬使用後に腸内細菌叢が乱れて増殖し、毒素(トキシンA・B)産生によって偽膜性腸炎を引き起こす。アルコール消毒は芽胞に無効であるため、手指衛生は流水と石けんによる機械的洗浄が必須、環境消毒は0.05〜0.5%の次亜塩素酸ナトリウムを用いる。個室隔離、専用トイレまたはポータブルトイレ、専用物品(聴診器・血圧計など)の使用も推奨される。

C.ディフィシル感染症患者の陰部洗浄時に必要な個人防護具の構成を問う画像問題。接触予防策+飛沫暴露対策を押さえられるかが鍵。