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SpO2を正しく測る、パルスオキシメータの落とし穴

看護師国家試験 第109回 午前 第37問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第37問

クリップ式のプローブを用いて手指で経皮的動脈血酸素飽和度〈 SpO 2 〉を測定する方法で適切なのはどれか。

  1. 1.同じ指で 24 時間連続で測定する。
  2. 2.マニキュアをしたままで測定する。
  3. 3.装着部位に冷感がある場合は温める。
  4. 4.指を挟んだプローブはテープで固定する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は現場で毎日使うパルスオキシメータについて学ぶのじゃ。簡単そうで実は誤差要因が多く、正しく使わないと判断を誤る。

サクラ サクラ

SpO2の測定原理を復習させてください。

博士 博士

プローブは赤色光と赤外光の2波長を出し、指を透過した光の吸収比から酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの割合を計算する。動脈拍動の成分だけを抽出することで動脈血酸素飽和度を推定するのじゃ。

サクラ サクラ

つまり拍動がしっかり検出できないと正確な値は出ない、と。

博士 博士

その通り。末梢循環が悪いと拍動が弱まり、測定値が低く出たり測定不能になる。

サクラ サクラ

問題の選択肢3『装着部位に冷感がある場合は温める』が正解なのはそのためですね。

博士 博士

そうじゃ。温罨法や軽いマッサージで血流を回復させてから測定するのが基本。冷感が強いときは別の指や耳朶に変更する選択もある。

サクラ サクラ

選択肢1の24時間連続測定はなぜダメなんですか?

博士 博士

プローブ内のLEDが発熱するため、長時間同一部位で圧迫し続けると低温熱傷を起こす。またクリップの圧迫で末梢循環障害や皮膚損傷のリスクもある。おおむね4〜8時間ごとに装着部位を変えるのが安全じゃ。

サクラ サクラ

マニキュアは落とすべきなんですよね。

博士 博士

特に黒・青・緑系のマニキュアやジェルネイルは光を吸収して誤差を生む。除光液で落とすか、装着を横向きにして爪ではなく指の側面で測る方法もある。

サクラ サクラ

人工爪やつけまつげの糊みたいな濃い色素も影響しますか?

博士 博士

人工爪はもちろん、皮膚色素沈着、黄疸、メチレンブルー投与後なども影響する。強い外光でも誤差が出るため、直射日光下では遮光するのじゃ。

サクラ サクラ

プローブをテープで固定するのは?

博士 博士

クリップ式は適度なテンションで自然に固定するよう設計されておる。テープでぎゅっと巻くと血流が阻害されて、むしろ拍動が取れなくなる。持続測定で動いてしまう場合は粘着式プローブに変更するほうが安全じゃ。

サクラ サクラ

一酸化炭素中毒ではSpO2が当てにならないと聞きました。

博士 博士

重要な落とし穴じゃ。一酸化炭素ヘモグロビン(HbCO)は酸素化ヘモグロビンと似た光吸収を示すため、SpO2が見かけ上正常に見えるが実際は低酸素。CO中毒疑い例では動脈血ガスで直接測定する必要がある。

サクラ サクラ

メトヘモグロビン血症も注意ですね。

博士 博士

その通り。亜硝酸薬や局所麻酔薬などで起こるメトヘモグロビン血症では、SpO2が85%付近で頭打ちになる特徴がある。薬剤歴を聞くのがポイントじゃ。

サクラ サクラ

正常値と閾値もおさらいを。

博士 博士

健常成人で96〜99%、90%以下で呼吸不全を疑う。COPDなどでは目標90%前後に保つ場合もあり、疾患別に目標値が異なる。一律に100%を目指すのは避けるのじゃ。

サクラ サクラ

数字だけでなく原理と誤差を理解することが大切なんですね。

POINT

パルスオキシメータによるSpO2測定は動脈拍動を光の透過度で捉える原理に基づくため、末梢循環が不良な部位では正確な値が得られません。冷感がある場合は温罨法や部位変更で血流を回復させ、マニキュアや人工爪は除去し、同一部位の長時間装着は低温熱傷予防のため避けます。テープでの強固な固定は血流阻害を招くため不適切で、クリップ式の適切な装着が基本です。CO中毒やメトヘモグロビン血症、貧血などでは誤差が大きくなることも踏まえ、数値だけで判断せず臨床症状と合わせて評価する姿勢が求められます。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:クリップ式のプローブを用いて手指で経皮的動脈血酸素飽和度〈 SpO 2 〉を測定する方法で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。SpO2はパルスオキシメータにより、指先や耳朶の動脈拍動を光の透過度で測定し、ヘモグロビンの酸素飽和度を経皮的に求める値である。正確な測定には動脈拍動が十分に検知されることが必要で、装着部位が冷たく末梢循環が低下していると動脈拍動が弱まり、測定値が低く出たり測定不能になることがある。このような場合は装着部位を温める、もしくは血流の良い別の指に変更することで、正確な測定が可能になる。

選択肢考察

  1. × 1.  同じ指で 24 時間連続で測定する。

    プローブのLED発光部は発熱し、長時間の連続装着は低温熱傷や圧迫による皮膚損傷・循環障害を招く。装着部位はおおむね4〜8時間ごとに変更する。

  2. × 2.  マニキュアをしたままで測定する。

    マニキュア(特に黒・青・緑系)やジェルネイルは光の透過を妨げ測定誤差を生じるため、除去してから測定する。

  3. 3.  装着部位に冷感がある場合は温める。

    冷感がある部位は末梢循環が低下しており拍動が弱いため正確な測定ができない。温罨法やマッサージで血流を回復させてから測定するのが適切。

  4. × 4.  指を挟んだプローブはテープで固定する。

    クリップ式プローブは適度なテンションで自然に固定されるよう設計されている。テープで強固に固定すると血流を阻害し、むしろ正確な測定ができなくなる。

SpO2測定の誤差要因には、末梢循環不全(冷感、ショック、血圧低下)、マニキュア・人工爪、体動、強い外光、異常ヘモグロビン(一酸化炭素ヘモグロビン・メトヘモグロビン)、貧血、色素(メチレンブルーなど)、皮膚色素沈着などがある。一酸化炭素中毒ではHbCOも酸素化Hbと同様の光吸収特性を示すためSpO2が見かけ上正常に出ることがあり、臨床判断の落とし穴として有名。正常値は96〜99%、90%以下で呼吸不全を疑う。

パルスオキシメータの測定原理と誤差要因、適切な装着方法を問う基本問題。