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AEDを正しく使いこなす!胸が濡れていたらどうする?

看護師国家試験 第112回 午後 第42問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第42問

成人に対する自動体外式除細動器<AED>の使用で正しいのはどれか。

  1. 1.胸部が濡れている場合は電極パッドを貼る前に拭き取る。
  2. 2.電極パッドは左前胸部に並べて貼る。
  3. 3.心電図の解析中にも胸骨圧迫を継続する。
  4. 4.心拍が再開されたら電極パッドを直ちにはがす。

対話形式の解説

博士 博士

今日はAED、自動体外式除細動器の使い方について整理していこうかの。

アユム アユム

AEDって駅やコンビニでも見かけるようになりましたよね。

博士 博士

そうじゃ。市民救命士の普及で一般人でも使える機器じゃが、正しい手順を知らないと効果が出ないどころか危険もある。

アユム アユム

今回の問題では『胸部が濡れている場合は電極パッドを貼る前に拭き取る』が正解とのことですが、なぜそんなに大事なんですか?

博士 博士

良い着眼点じゃ。皮膚が水や汗で濡れていると、電気がパッド間を体表伝いにショートカットしてしまい、心筋まで十分な電流が届かんのじゃ。加えて周囲の人が感電したり、傷病者が熱傷を負う可能性もある。

アユム アユム

なるほど、だからまず乾いたタオルで拭き取るんですね。パッドの位置は右胸と左脇腹でしたっけ?

博士 博士

その通り。右前胸部の鎖骨下と、左乳頭の外側下方、つまり心臓を挟むように配置するのが原則じゃ。並べて貼ると電流が心臓を横断せず無意味になる。

アユム アユム

解析中に胸骨圧迫を続けてはいけないのはどうしてですか?

博士 博士

AEDは心電図波形を自動で解析してショックの要否を判定する。胸骨圧迫の振動や体動はノイズになって判定を誤らせる。音声が『離れてください』と言ったら全員が手を離すのじゃ。

アユム アユム

心拍が戻ったらパッドを外していいんですよね?

博士 博士

いや、ここがひっかけポイントじゃ。自己心拍再開後も再発の可能性があるため、救急隊に引き継ぐまでパッドは貼ったままにしておく。AEDは装着中もモニタリングを続けてくれる。

アユム アユム

あと、ペースメーカーが入っている人とか、貼付薬がある人はどうしたらいいですか?

博士 博士

ペースメーカーのふくらみからは8cm以上離して貼る。貼付薬はめくってから貼るのじゃ。小児の場合は小児用パッドか小児モードを使い、なければ成人用を前胸部と背部に貼る方法もある。

アユム アユム

胸毛が濃い人は?

博士 博士

密着不良になるので予備パッドで除毛してから貼るのじゃ。CPR中断は最小限にして、ショック後は直ちに胸骨圧迫を再開、2分ごとに解析じゃ。

アユム アユム

AEDは『貼って終わり』じゃなくて、その後のCPRの質も大事なんですね。

POINT

AEDは心室細動や無脈性心室頻拍に対する除細動を非医療従事者でも実施できるようにした機器で、使用時は胸部の水分除去、右前胸部と左側胸部に心臓を挟む位置でのパッド貼付、解析中の接触禁止、心拍再開後もパッドを装着したまま維持することが基本となります。皮膚が濡れていると電流がショートカットし心筋に到達しないため、乾いた布で必ず拭き取る必要があります。ペースメーカー植込み部位からは8cm以上離し、貼付薬は除去するなどの配慮も求められます。看護師は院内急変時のみならず、市民救命の指導役としてもAEDの正しい使用法と胸骨圧迫との組み合わせを理解し、質の高い一次救命処置を実践できる必要があります。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:成人に対する自動体外式除細動器<AED>の使用で正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。AEDは心室細動や無脈性心室頻拍に対して電気ショックを加え、正常な心リズムへの回復を図る機器である。電気ショックを有効かつ安全に行うためには、電極パッドと皮膚の間に十分な密着と絶縁を確保する必要がある。胸部が汗・水・血液などで濡れていると電流が体表を伝って流れ、心筋に到達しない「ショートカット」が起こり、効果が低下するだけでなく周囲への感電や熱傷のリスクも高まる。したがって、パッドを貼る前に乾いたタオルなどで必ず水分を拭き取ることが正しい対応である。

選択肢考察

  1. 1.  胸部が濡れている場合は電極パッドを貼る前に拭き取る。

    胸部の水分は電流の通り道となり、心筋へ到達する電気エネルギーを減少させる。また皮膚表面で電気が流れることで熱傷の原因にもなる。乾いた布で水分を除去してからパッドを貼付するのが正しい手順である。

  2. × 2.  電極パッドは左前胸部に並べて貼る。

    2枚のパッドは心臓を挟むように貼る必要があり、通常は右前胸部(鎖骨下)と左側胸部(左乳頭の外側下方)に配置する。並べて貼ると電流が心筋を十分に横断せず、除細動効果が得られない。

  3. × 3.  心電図の解析中にも胸骨圧迫を継続する。

    解析中の体動や胸骨圧迫は心電図波形のノイズとなり、ショック適応の判定を誤らせる。音声メッセージ『傷病者から離れてください』に従い、胸骨圧迫を中断して傷病者に触れないようにする。

  4. × 4.  心拍が再開されたら電極パッドを直ちにはがす。

    自己心拍が再開しても再度心室細動に移行する可能性があるため、パッドは装着したままAEDの電源を入れた状態で維持し、救急隊に引き継ぐまで継続的にモニタリングする。

AED使用時の注意点として、貼付部位に貼付薬や医療用テープがある場合ははがしてから貼る、ペースメーカーや植込み型除細動器のふくらみからは8cm以上離す、体毛が濃い場合は予備パッドで除毛するなどがある。小児(未就学児)には小児用パッドまたは小児モードを用い、ない場合は成人用パッドを前胸部と背部に貼り代用する。心肺蘇生(CPR)の質を保つために、ショック後は直ちに胸骨圧迫を再開し、2分ごとに波形解析を行うのが2020年以降のガイドラインの基本である。

AED使用の基本手順と安全確保の原則を問う問題。胸部の水分除去、パッド位置、解析中の接触禁止、心拍再開後もパッドを外さないことが重要ポイント。