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経鼻胃管の安全な入れ方、嚥下を促すタイミングを押さえる

看護師国家試験 第112回 午後 第80問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第80問

成人に経鼻経管栄養の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか。

  1. 1.無菌操作で行う。
  2. 2.挿入時、患者の体位は仰臥位にする。
  3. 3.胃管が咽頭に達するまで頸部を前屈してもらう。
  4. 4.胃管が咽頭に達したら嚥下を促す。
  5. 5.水を注入して胃管の先端が胃内に到達したことを確認する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は経鼻胃管挿入の手技の問題じゃ。誤挿入を防ぐための体位と頸部の動きがポイントじゃよ。

アユム アユム

胃管って無菌操作で入れるんじゃないんですか?

博士 博士

鼻腔も咽頭も常在菌がいるし、胃自体も胃酸はあるが無菌ではない。だから清潔操作で十分じゃ。尿道カテーテルや血管内カテーテルのような無菌操作は不要じゃよ。

アユム アユム

挿入時の体位は?

博士 博士

座位または半座位(頭部30〜45度挙上)が基本じゃ。仰臥位では気管入口の方へ誘導されやすく誤挿入のリスクが高まる。

アユム アユム

頸部の動かし方はどうしますか?

博士 博士

鼻腔から咽頭までは頸部をやや伸展または中間位にして通し、咽頭に達してから前屈させるのじゃ。前屈すると食道の入り口が広がり、気管が閉じやすくなる。

アユム アユム

前屈のタイミングで嚥下してもらうんですね。

博士 博士

その通り。嚥下により喉頭蓋が倒れて気管入口を閉じ、食道が開く。少量の水を飲んでもらうのも有効じゃ(嚥下障害がなければ)。選択肢4が正解じゃな。

アユム アユム

挿入長はどのくらいですか?

博士 博士

鼻尖→耳朶→剣状突起の距離、いわゆるNEX距離を測る。成人では約45〜55cmが目安じゃ。

アユム アユム

位置確認はどうやるんですか?

博士 博士

伝統的には気泡音聴取じゃが、これだけでは気管誤挿入を完全には否定できん。胃液吸引(pH5.5以下)やX線撮影を組み合わせるのがゴールドスタンダードじゃ。

アユム アユム

水を注入して確認するのはダメなんですね。

博士 博士

絶対にダメじゃ。気管に入っていたら一発で誤嚥性肺炎を起こす。これは重要な禁忌じゃから覚えておきなさい。

アユム アユム

留置後の注意点は?

博士 博士

注入時は半座位以上で30分以上維持、注入前後に微温湯でフラッシュ、栄養剤の温度と速度を適切に、固定テープ部の皮膚トラブルやバンパー圧迫壊死に注意、そして毎回注入前に胃液吸引で位置確認じゃ。

アユム アユム

経鼻胃管が留置できない人はどうしますか?

博士 博士

長期の経管栄養が必要な場合は胃瘻(PEG)や腸瘻を選択する。短期ならNGチューブ、長期なら胃瘻、というのが一般的な使い分けじゃ。

アユム アユム

安全管理のポイントがよく分かりました。

POINT

経鼻胃管の挿入では、座位または半座位で開始し、鼻腔から咽頭までは頸部をやや伸展させ、咽頭到達後は前屈してもらって嚥下を促すことで食道への誘導が確実になります。水注入による位置確認は気管誤挿入時に誤嚥性肺炎を起こす危険があり禁忌で、胃泡音聴取・胃液吸引(pH5.5以下)・X線撮影を組み合わせて位置を確認します。挿入長は鼻尖-耳朶-剣状突起のNEX距離を参考に成人約45〜55cm、胃管は非無菌部位への挿入のため清潔操作で行います。注入時は半座位以上で30分以上維持し、注入前後の微温湯フラッシュ、固定部の皮膚トラブル予防、毎回の位置確認が安全な経管栄養管理の基本です。誤嚥性肺炎は経管栄養患者の重大な合併症であり、手技の一つ一つに根拠を持つことが看護の質を高めます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:成人に経鼻経管栄養の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。経鼻胃管挿入では、挿入時の体位は座位または半座位(ファーラー位)とし、カテーテルが鼻腔から咽頭に達するまでは頸部をやや伸展させて通りやすくします。咽頭に達したら頸部を前屈させ、同時に嚥下を促すことで喉頭蓋が気管入口を閉じ、食道への誘導が確実になります。胃内到達の確認は胃泡音聴取と胃液吸引、そして可能であればX線撮影で行います。水を注入して確認する方法は気管誤挿入時に誤嚥性肺炎を起こすため禁忌です。

選択肢考察

  1. × 1.  無菌操作で行う。

    胃管は口腔・鼻腔・咽頭という常在菌のある経路を通り、胃という非無菌部位に到達するため、無菌操作は不要。清潔操作で行う。

  2. × 2.  挿入時、患者の体位は仰臥位にする。

    仰臥位は気管に誘導されやすく誤挿入リスクが高い。座位または半座位(頭部30〜45度挙上)が基本。

  3. × 3.  胃管が咽頭に達するまで頸部を前屈してもらう。

    順序が逆。鼻腔から咽頭までは頸部をやや伸展(または中間位)で通し、咽頭に達してから前屈させて食道へ誘導する。

  4. 4.  胃管が咽頭に達したら嚥下を促す。

    嚥下により喉頭蓋が反転し気管入口を閉鎖、食道が開いてカテーテルが食道へ誘導される。水を少量飲んでもらう方法も用いられる。

  5. × 5.  水を注入して胃管の先端が胃内に到達したことを確認する。

    気管誤挿入時に水が気道に入り誤嚥性肺炎を起こす危険がある。確認は胃泡音聴取・胃液吸引・X線撮影で行う。

挿入長の目安は鼻尖→耳朶→剣状突起(NEX)の距離で成人約45〜55cm。留置後はX線での位置確認がゴールドスタンダード(近年は気管誤挿入を確実に除外するため推奨)。pH試験紙でpH5.5以下の胃液を確認する方法も有用。気泡音聴取だけでは気管誤挿入を完全には否定できない点に注意。経管栄養注入時は半座位以上で30分以上維持し誤嚥を予防、注入前後に微温湯で管内を洗浄、栄養剤の注入速度と温度、固定テープの皮膚トラブル、バンパー圧迫壊死にも注意する。

経鼻胃管挿入時の体位・頸部姿勢・嚥下誘導・位置確認方法に関する手技の安全性を問う基礎看護技術の問題。