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生理的老化と病的老化 動脈硬化はどっち?

看護師国家試験 第106回 午後 第68問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第68問

病的な老化を示すのはどれか。

  1. 1.肝臓の萎縮
  2. 2.動脈の粥状硬化
  3. 3.毛様体筋の機能低下
  4. 4.心筋の弾性線維の減少
  5. 5.膀胱の平滑筋の線維化

対話形式の解説

博士 博士

今回は老化の種類について学ぶぞ。老化には『生理的老化』と『病的老化』の2種類があるのを知っておるか?

アユム アユム

え、老化って一種類じゃないんですか?

博士 博士

違うぞ。生理的老化は誰にでも起こる普遍的な機能低下。たとえば皮膚のしわ、白髪、視力低下、筋力低下などじゃな。

アユム アユム

年を取れば誰でもなるもの、ということですね。

博士 博士

うむ。これに対して病的老化は、生活習慣や遺伝的要因で生理的老化が加速したり、疾患として現れるものじゃ。

アユム アユム

たとえば?

博士 博士

動脈の粥状硬化、骨粗鬆症、アルツハイマー病、パーキンソン病などじゃ。

アユム アユム

なるほど。選択肢を見てみると、動脈の粥状硬化がありますね。

博士 博士

そうじゃ、これが正解。粥状硬化とは、動脈の内膜に脂質(主にLDLコレステロール)が沈着してアテローム(粥腫)を形成する状態で、脳梗塞や心筋梗塞の直接的原因になる。

アユム アユム

高血圧や糖尿病が悪化させるんですよね?

博士 博士

その通り。脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙、肥満が5大危険因子じゃ。だから単なる加齢だけでなく、生活習慣病の要素が強い『病的』な老化に分類される。

アユム アユム

他の選択肢は全部生理的老化?

博士 博士

そうじゃ。肝臓の萎縮は加齢で誰にでも起こる。毛様体筋の機能低下は老視の原因、これも必然的に起こる。

アユム アユム

老眼は誰にでもなるんですね。

博士 博士

40代後半からほぼ確実に進行するぞ。水晶体が硬くなり、毛様体筋の収縮による調節が効きにくくなる。

アユム アユム

心筋の弾性線維の減少は?

博士 博士

これも生理的老化じゃ。ただし左室肥大や拡張機能低下を伴って心不全のリスクにはなる。

アユム アユム

膀胱平滑筋の線維化は?

博士 博士

加齢で膀胱容量が低下し、頻尿や残尿感が増す。これも生理的老化の範疇じゃ。

アユム アユム

ところで『動脈硬化』は全て病的なんですか?

博士 博士

よい質問じゃ。動脈硬化には3種類ある。粥状硬化、中膜硬化(メンケベルグ型)、細動脈硬化じゃ。このうち粥状硬化が臨床的に最も重要で、病的老化の代表。

アユム アユム

予防にはどうすれば?

博士 博士

生活習慣病予防がそのまま動脈硬化予防になる。禁煙、適度な運動、バランスの良い食事、体重管理、血圧・血糖・脂質の適正化じゃ。

アユム アユム

看護師としては、健康教育や退院指導で伝えるんですね。

博士 博士

その通り。特に中高年の患者には生活習慣病の二次・三次予防の視点で関わるぞ。

アユム アユム

病的老化は生活習慣と遺伝の影響が大きいんですね。

博士 博士

そういうことじゃ。逆に言えば、生活習慣を整えれば病的老化はある程度予防できる。これがヘルスプロモーションの核心じゃ。

POINT

老化には『生理的老化』と『病的老化』があり、生理的老化は誰にでも普遍的・進行性に起こる機能低下(肝臓萎縮、老視、心筋弾性線維減少、膀胱平滑筋線維化など)、病的老化は生活習慣や疾患により生理的老化が加速した状態(動脈の粥状硬化、骨粗鬆症、アルツハイマー病、パーキンソン病など)です。動脈粥状硬化は脂質異常症・高血圧・糖尿病・喫煙・肥満などの危険因子が関与し、脳梗塞・心筋梗塞の原因となる代表的な病的老化です。看護師は高齢者看護の場面で、生理的変化と病的変化を見分け、適切な予防・早期発見・健康教育を行うことが求められます。老年看護の基礎として重要な概念です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:病的な老化を示すのはどれか。

解説:正解は 2 です。老化は『生理的老化』と『病的老化』に大別される。生理的老化は加齢に伴って誰にでも起こる不可逆的・普遍的な機能低下で、肝臓の萎縮、動脈壁の肥厚、水晶体の硬化、心筋の弾性線維減少、膀胱平滑筋の線維化などが含まれる。一方『病的老化』は、生理的老化が著しく加速したり疾患として現れた状態で、動脈の粥状硬化(アテローム硬化)、骨粗鬆症、アルツハイマー病、肺線維症などが代表例。動脈硬化は加齢に伴い誰にでもある程度起こるが、粥状硬化は脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙などの危険因子が絡んで病的に進行した状態を指すため、病的老化にあたる。

選択肢考察

  1. × 1.  肝臓の萎縮

    肝臓は加齢とともに重量が減少し萎縮するが、これは予備能の低下は伴うものの全員に起こる生理的老化の一つ。

  2. 2.  動脈の粥状硬化

    正しい。粥状硬化(アテローム硬化)は動脈内膜に脂質が沈着してプラークを形成する病的な動脈硬化で、脳梗塞・心筋梗塞の原因となる。加齢のみならず生活習慣病が強く関与し、病的老化に分類される。

  3. × 3.  毛様体筋の機能低下

    毛様体筋は水晶体の厚みを調節する筋で、加齢により機能低下し老視(老眼)を生じる。誰にでも起こる生理的老化。

  4. × 4.  心筋の弾性線維の減少

    加齢に伴い心筋の弾性線維が減少し、左室肥大や拡張機能低下を生じるが、これは生理的老化の範疇。

  5. × 5.  膀胱の平滑筋の線維化

    加齢により膀胱平滑筋が線維化し、膀胱容量低下、頻尿、排尿困難を生じるが、これも生理的老化の一つ。

生理的老化の4特徴:①普遍性(誰にでも起こる)、②内在性(遺伝的要因で進行)、③進行性(不可逆)、④有害性(機能低下をもたらす)。病的老化の代表例は、動脈硬化(粥状硬化)、骨粗鬆症、アルツハイマー病、パーキンソン病、老人性難聴(高度なもの)、肺気腫など。動脈硬化には粥状硬化(大・中動脈、脂質関与)、中膜硬化(メンケベルグ型)、細動脈硬化(高血圧関与)の3種があり、粥状硬化が最も臨床的に重要。

生理的老化と病的老化を区別する問題。病的老化は『疾患』の色合いが強く、危険因子の影響を受けて進行するものと理解する。