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老年期の生殖機能の変化

看護師国家試験 第107回 午後 第47問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第47問

老年期の加齢に伴う生殖器および生殖機能の変化で正しいのはどれか。

  1. 1.卵巣が肥大する。
  2. 2.腟壁が薄くなる。
  3. 3.精液中の精子がなくなる。
  4. 4.男性はテストステロンが増加する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は高齢者の生殖器の変化について見ていこう。

サクラ サクラ

女性の場合、閉経が大きな転機ですよね。

博士 博士

その通りじゃ。閉経に伴いエストロゲンが激減する。それが多彩な変化をもたらすのじゃ。

サクラ サクラ

卵巣は大きくなりますか。

博士 博士

逆じゃ。30代後半から萎縮が始まり、閉経後はさらに小さくなる。若い頃の半分以下の重量になるぞ。

サクラ サクラ

腟壁はどうなりますか。

博士 博士

粘膜が薄くなり乾燥しやすくなる。これを萎縮性腟炎と呼び、性交痛や感染のもとになるのじゃ。

サクラ サクラ

泌尿生殖器症候群という言葉も聞きます。

博士 博士

GSMじゃな。腟や外陰の萎縮に加えて尿道萎縮や頻尿、尿失禁も含む包括的な概念じゃ。

サクラ サクラ

男性の変化はどうでしょう。

博士 博士

テストステロンが20代をピークに年1〜2%ずつ漸減する。これがLOH症候群の背景じゃ。

サクラ サクラ

精子はなくなってしまうのですか。

博士 博士

いや、精子産生自体は生涯続く。量や運動率は低下するが、ゼロにはならんのじゃ。

サクラ サクラ

だから高齢男性でも生殖能力が残るんですね。

博士 博士

そうじゃ。ただし精子DNAの損傷率は上がるから、胎児への影響も報告されておる。

サクラ サクラ

ホルモン補充療法は使われますか。

博士 博士

女性のHRTは骨粗鬆症や更年期症状に、男性のテストステロン補充療法はLOH症候群に適応がある。

サクラ サクラ

高齢者には相談しにくい話題ですね。

博士 博士

じゃからこそ配慮ある問診が大切じゃ。QOLに直結する領域じゃからな。

POINT

老年期には女性でエストロゲン低下による卵巣萎縮や腟壁菲薄化、男性でテストステロン漸減が起こりますが、精子産生は生涯続きます。これらの変化は泌尿生殖器症候群やLOH症候群として顕在化し、QOLに影響します。高齢者の性に関する問題は語られにくい分野であり、看護師が先入観を排し丁寧に関わる姿勢が重要です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:老年期の加齢に伴う生殖器および生殖機能の変化で正しいのはどれか。

解説:正解は2です。閉経後はエストロゲン分泌が著しく低下し、腟壁や外陰の粘膜が萎縮して薄くなるため、萎縮性腟炎や性交痛の原因となります。

選択肢考察

  1. × 1.  卵巣が肥大する。

    卵巣は30代後半から重量が減少し始め、閉経後はさらに萎縮して成熟期の半分以下の重量になるため、肥大するという記述は誤りです。

  2. 2.  腟壁が薄くなる。

    エストロゲン低下により腟上皮の重層扁平上皮が萎縮し、壁が薄く乾燥しやすくなります。これに伴い自浄作用も低下し感染リスクが高まります。

  3. × 3.  精液中の精子がなくなる。

    男性は加齢で精子量や運動率は低下しDNA損傷率は増加しますが、精子産生自体は生涯継続するため、完全に消失することはありません。

  4. × 4.  男性はテストステロンが増加する。

    テストステロンは20〜30代をピークに年1〜2%程度ずつ漸減し、加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)の背景となります。

閉経に伴うエストロゲン低下は生殖器だけでなく、骨密度低下、脂質代謝異常、ホットフラッシュ、泌尿生殖器症候群(GSM)など全身に影響します。男性でもアンドロゲン低下により筋力低下、抑うつ、性機能低下が生じ、ホルモン補充療法の適応が検討されます。高齢者の性に関する悩みは訴えにくい領域であり、配慮ある問診とケアが求められます。

加齢により女性は腟壁萎縮、男性はテストステロン漸減が起こりますが、精子産生は生涯続くことを押さえておきましょう。