StudyNurse

高齢者の薬物動態の特徴

看護師国家試験 第107回 午後 第48問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第48問

高齢者の薬物動態の特徴で正しいのはどれか。

  1. 1.薬物の吸収の亢進
  2. 2.薬物の代謝の亢進
  3. 3.薬物の排泄の増加
  4. 4.血中濃度の半減期の延長

対話形式の解説

博士 博士

今日は高齢者の薬物動態について整理しよう。

アユム アユム

若年者と比べてどう違うんですか。

博士 博士

吸収、分布、代謝、排泄の四つの観点で見るとわかりやすいのう。

アユム アユム

まず吸収はどうなりますか。

博士 博士

胃酸低下、消化管血流減少、腸管運動低下で若干落ちるが、臨床的な差は小さい。亢進はせんぞ。

アユム アユム

分布については。

博士 博士

体内水分が減り脂肪が増えるから、水溶性薬物は血中濃度が上がりやすく、脂溶性薬物は脂肪に蓄積しやすくなる。

アユム アユム

ジゴキシンやベンゾジアゼピンで問題になりますね。

博士 博士

そうじゃ。ジゴキシン中毒やベンゾの過鎮静は典型的な例じゃな。

アユム アユム

代謝はどうですか。

博士 博士

肝血流低下とCYP活性低下で代謝は落ちる。初回通過効果も減るから活性型薬物が増える薬もあるぞ。

アユム アユム

排泄は腎臓ですよね。

博士 博士

加齢でGFRは低下する。クレアチニンだけ見ると筋肉量減少で見かけ上正常に見えるから、CcrやeGFRで評価するのじゃ。

アユム アユム

結果として半減期は延びるんですね。

博士 博士

その通り。代謝も排泄も遅れるから薬が体内に長居する。同量でも血中濃度が上がり副作用が出やすい。

アユム アユム

処方のコツはありますか。

博士 博士

Start low, go slowじゃ。少量から始めて慎重に増量する。

アユム アユム

ポリファーマシーも問題ですよね。

博士 博士

6剤以上で副作用が増えるとの報告もある。STOPP/START基準やBeers基準で不要薬を見直すのじゃ。

アユム アユム

看護師として観察すべき点は。

博士 博士

ふらつき、転倒、意識レベル低下、食欲不振、便秘、尿量変化などを継続的に見ることじゃ。

POINT

高齢者では肝代謝と腎排泄の低下により半減期が延長し、同量でも血中濃度が上昇しやすくなります。水溶性薬物は血中、脂溶性薬物は脂肪組織に蓄積しやすい点も重要です。Start low, go slowを原則とし、ポリファーマシー対策と副作用モニタリングを丁寧に行うことが高齢者看護の柱となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:高齢者の薬物動態の特徴で正しいのはどれか。

解説:正解は4です。高齢者では肝血流量や腎機能の低下により代謝・排泄が遅延するため、薬物の血中濃度半減期が延長し、作用持続や蓄積中毒のリスクが高まります。

選択肢考察

  1. × 1.  薬物の吸収の亢進

    加齢に伴い胃酸分泌低下、消化管血流減少、腸管運動低下が起こり、吸収はやや低下または変化なしが一般的で亢進はしません。

  2. × 2.  薬物の代謝の亢進

    肝重量減少、肝血流低下、CYP活性低下により肝初回通過効果と代謝速度は低下し、薬物が体内に残りやすくなります。

  3. × 3.  薬物の排泄の増加

    加齢により糸球体濾過量と腎血流量が低下するため、腎排泄型薬物のクリアランスは減少し、排泄は増加ではなく減少します。

  4. 4.  血中濃度の半減期の延長

    代謝と排泄の両方が低下するため薬物消失は遅れ、半減期は延長します。同量投与でも血中濃度が上昇し副作用が出やすくなります。

高齢者では体内水分量の減少と脂肪量の増加により、水溶性薬物(ジゴキシンなど)は血中濃度が上がりやすく、脂溶性薬物(ジアゼパムなど)は蓄積しやすい特徴があります。多剤併用によるポリファーマシーも問題で、STOPP/START基準やBeers基準を参考に減薬を検討します。腎機能評価ではCreだけでなくCcrやeGFRを用い、用量調整を行います。

高齢者では吸収はほぼ不変、代謝・排泄低下、半減期延長が基本パターンです。少量から開始し慎重に増量することを原則にしましょう。