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高齢者が熱中症になりやすい生理学的な理由

看護師国家試験 第111回 午後 第27問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第27問

若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。

  1. 1.熱産生量の増加
  2. 2.熱放散量の増加
  3. 3.自律性体温調節反応の低下
  4. 4.視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下

対話形式の解説

博士 博士

今日は高齢者の熱中症に関する問題じゃ。近年は毎年夏に熱中症で多くの高齢者が救急搬送されておるぞ。

サクラ サクラ

博士、なぜ高齢者は若年者より熱中症を起こしやすいのですか?

博士 博士

正解は3の自律性体温調節反応の低下じゃ。加齢で自律神経機能が衰えると、発汗や皮膚血管拡張といった体温調節反応が鈍くなるのじゃ。

サクラ サクラ

自律性体温調節反応ってどういうものですか?

博士 博士

暑いとき汗をかいて気化熱で体を冷やしたり、皮膚の血管を広げて熱を放散したりする反応じゃ。これが無意識に働くので自律性と呼ぶ。

サクラ サクラ

1の熱産生量の増加はなぜ違うのですか?

博士 博士

高齢者はサルコペニアで筋肉量が減少し、基礎代謝も低下する。だから熱産生量はむしろ減少するのじゃ。熱中症との関連は逆方向になる。

サクラ サクラ

2の熱放散量の増加はどうですか?

博士 博士

発汗能力や皮膚血管拡張反応が低下するから熱放散量は減少するのじゃ。体に熱がこもりやすくなって熱中症リスクが高まる。

サクラ サクラ

4の視床下部のセットポイント低下はどう違うのですか?

博士 博士

セットポイントは体温の目標値で、発熱時には炎症性サイトカインで上昇するが、加齢では基本的に変化しない。だから不正解じゃ。

サクラ サクラ

高齢者が熱中症になりやすい他の要因はありますか?

博士 博士

温度感受性の低下で暑さを感じにくい、口渇中枢の鈍化で喉の渇きを感じにくい、体内水分量が若年者より少ないなどの複数要因が重なるのじゃ。

サクラ サクラ

予防はどうすればよいのですか?

博士 博士

こまめな水分補給が基本じゃ。喉が渇く前に定時で飲水する、室温を28℃以下に保つ、エアコンを適切に使う、涼しい衣服を選ぶことが大切じゃな。

サクラ サクラ

利尿薬を服用している高齢者は特に注意が必要ですか?

博士 博士

その通り。利尿薬は体内の水分を排出するため脱水傾向を助長する。降圧薬全般にも注意が必要で、夏場は医師に相談して調整することもあるぞ。

サクラ サクラ

熱中症が疑われたらどう対応しますか?

博士 博士

涼しい場所に移動し、衣服を緩め、体を冷やす。意識があれば経口補水液を摂取させるが、意識障害や嘔吐があればすぐに救急搬送じゃ。

POINT

高齢者は加齢による自律神経機能の低下で発汗や皮膚血管拡張反応が鈍り、熱放散が不十分となります。温度感受性や口渇感覚の低下、筋肉量減少に伴う基礎代謝低下、体内水分量減少も重なり熱中症リスクが高まります。予防には定時の水分摂取、室温管理、エアコンの適切な使用が基本で、利尿薬服用者には特に注意が必要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:若年者よりも高齢者が熱中症を起こしやすい理由はどれか。

解説:正解は 3 です。高齢者は自律神経機能の低下により、発汗や皮膚血管拡張などの自律性体温調節反応が低下しています。また、温度感受性の低下で暑さを感じにくく、口渇中枢の感度も鈍るため脱水に気づきにくくなります。これらが重なって熱中症を起こしやすくなります。

選択肢考察

  1. × 1.  熱産生量の増加

    加齢により筋肉量が減少し基礎代謝が低下するため、熱産生量はむしろ減少する。熱中症との関連は逆方向。

  2. × 2.  熱放散量の増加

    発汗能や皮膚血管拡張反応の低下により熱放散量は減少するため、体熱が体内にこもりやすくなる。

  3. 3.  自律性体温調節反応の低下

    自律神経機能の低下で発汗・血管拡張反応が鈍り、熱放散が不十分となる。温度感受性や口渇感覚の低下も重なり熱中症を起こしやすい。

  4. × 4.  視床下部の体温調節中枢のセットポイントの低下

    加齢で視床下部のセットポイントは変化しない。セットポイントが変化するのは発熱時(炎症性サイトカインによる上昇)。

高齢者の熱中症予防には、喉の渇きを感じにくいことを踏まえた定時の水分摂取、室温の28℃以下への調整、エアコンの適切な使用、衣服の調節、外出時の帽子や日陰の利用などが重要です。独居高齢者への声かけや見守り、尿の色や量で脱水兆候をチェックすることも有効です。利尿薬服用中の高齢者は特にリスクが高くなります。

加齢による自律性体温調節機能の低下が熱中症リスクを高めることを問う問題。高齢者の身体的特徴と熱中症予防の理解がポイント。