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歳をとると血はどう変わる?高齢者の造血機能と貧血

看護師国家試験 第112回 午前 第53問 / 老年看護学 / 高齢者の健康

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第53問

老化に伴う血液・造血器系の変化で適切なのはどれか。

  1. 1.エリスロポエチンが増加する。
  2. 2.黄色骨髄が減少する。
  3. 3.顆粒球数が増加する。
  4. 4.赤血球数が減少する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は加齢に伴う血液・造血器系の変化じゃ。臨床で高齢者が「ちょっと貧血気味」と言われる理由が見えてくるぞ。

サクラ サクラ

そもそも血液細胞はどこで作られるんでしたっけ?

博士 博士

成人では主に脊椎・胸骨・腸骨などの扁平骨の赤色骨髄で作られる。赤色骨髄は造血組織を含み、見た目が赤いからそう呼ばれるのじゃ。

サクラ サクラ

じゃあ黄色骨髄というのは?

博士 博士

脂肪組織に置換されて造血能を失った骨髄じゃ。加齢とともに赤色骨髄は減り、黄色骨髄が増えていく。つまり選択肢2「黄色骨髄が減少する」は逆で誤りじゃな。

サクラ サクラ

造血能が落ちるから、赤血球も減るんですね。

博士 博士

そうじゃ。さらに赤血球産生を刺激するホルモン「エリスロポエチン」も影響する。これはどこで作られると思う?

サクラ サクラ

えっと、骨髄ですか?

博士 博士

惜しい。エリスロポエチンは約90%が腎臓で産生されるホルモンじゃ。加齢で腎機能が低下するとエリスロポエチン産生も減り、赤血球産生の指令が弱まる。

サクラ サクラ

だから高齢者は腎性貧血になりやすいんですね。選択肢1は「増加する」だから誤りですね。

博士 博士

その通り。選択肢4「赤血球数が減少する」が正解となる。高齢者ではヘモグロビンも低下傾向で、WHO基準では男性13g/dL未満、女性12g/dL未満で貧血と判定する。

サクラ サクラ

顆粒球はどうなるんですか?

博士 博士

末梢血の白血球総数自体は大きく変わらないんじゃ。ただし質が落ちる。T細胞の多様性が減り、好中球の貪食能も低下し、全体として免疫機能が低下する。これを免疫老化(immunosenescence)というぞ。

サクラ サクラ

だから高齢者は感染症にかかりやすいんですね。

博士 博士

そうじゃ。インフルエンザや肺炎のワクチン効果も若年者に比べて減弱する。だから高齢者は予防接種の重要性がより高いのじゃ。

サクラ サクラ

貧血があったらすぐ「加齢のせい」と片付けていいんですか?

博士 博士

それは危険じゃ。高齢者の貧血は消化管出血(胃癌・大腸癌)、ビタミンB12・葉酸欠乏、骨髄異形成症候群など治療可能な疾患が隠れていることがある。必ず原因検索を行うべきじゃ。

サクラ サクラ

看護師としても「年齢だから仕方ない」と決めつけず、便潜血や食事内容も確認する必要がありますね。

POINT

加齢に伴い骨髄の造血幹細胞機能が低下し、赤色骨髄が減少して黄色骨髄が増加します。さらに腎機能低下に伴うエリスロポエチン産生の減少が重なり、高齢者では赤血球数・ヘモグロビンが低下傾向となります。白血球の総数は大きく変化しないものの、T細胞の多様性低下や好中球の貪食能低下など「免疫老化」が進行し、感染症やワクチン効果減弱のリスクが高まります。看護師は高齢者の貧血を「加齢のせい」と決めつけず、消化管出血・栄養欠乏・慢性疾患など治療可能な原因の有無を評価する視点を持つことが大切です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:老化に伴う血液・造血器系の変化で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。加齢とともに骨髄の造血能は低下し、赤色骨髄(造血組織)が減少して脂肪組織に置換された黄色骨髄が増加します。腎機能の低下によりエリスロポエチンの産生も減るため、赤血球産生が低下し、高齢者では軽度の貧血傾向(赤血球数・ヘモグロビンの低下)がみられやすくなります。

選択肢考察

  1. × 1.  エリスロポエチンが増加する。

    エリスロポエチンは主に腎臓で産生されるホルモンで、赤血球の産生を促進する。加齢による腎機能低下に伴って産生量は減少し、高齢者では腎性貧血の一因となる。

  2. × 2.  黄色骨髄が減少する。

    黄色骨髄は造血能を失って脂肪に置換された骨髄であり、加齢に伴い増加する。逆に造血を担う赤色骨髄は減少する。

  3. × 3.  顆粒球数が増加する。

    末梢血の白血球総数は加齢で大きく変化しないが、好中球の貪食能や細胞性免疫(T細胞機能)は低下し、感染防御能が低下する。顆粒球数が増加するわけではない。

  4. 4.  赤血球数が減少する。

    造血幹細胞の機能低下、エリスロポエチン産生低下、慢性疾患・栄養状態の影響などが複合し、高齢者では赤血球数・ヘモグロビン濃度が低下傾向となる。

高齢者の貧血の原因は多彩で、鉄欠乏(消化管出血・吸収低下)、ビタミンB12・葉酸欠乏、慢性炎症性疾患に伴う貧血、腎性貧血、骨髄異形成症候群などを鑑別する。WHOの貧血基準はヘモグロビン男性13g/dL未満、女性12g/dL未満。加齢による免疫機能低下(免疫老化)では、T細胞の多様性低下、胸腺萎縮、獲得免疫応答の低下が特徴で、ワクチン効果の減弱や感染症・悪性腫瘍リスクの増加につながる。

加齢に伴う造血機能の変化(造血能低下・黄色骨髄化・エリスロポエチン減少)を整理して問う問題。