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人工骨頭置換術後の腓骨神経麻痺を防ぐ看護

看護師国家試験 第103回 午後 第57問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護

国試問題にチャレンジ

103回 午後 第57問

大腿骨転子部骨折(trochanteric fracture)のため人工骨頭置換術を行った。 術後の腓骨神経麻痺予防のための看護で適切なのはどれか。

  1. 1.大腿四頭筋訓練を実施する。
  2. 2.患側下肢を外旋位に固定する。
  3. 3.患側下肢に弾性ストッキングを着用する。
  4. 4.患側下肢の母趾と第2趾間の知覚異常の有無を観察する。

対話形式の解説

博士 博士

じゃこ博士じゃ。今日は大腿骨転子部骨折で人工骨頭置換術を受けた患者さんの腓骨神経麻痺予防についてじゃ。

サクラ サクラ

腓骨神経麻痺ってどうして術後に起こりやすいんですか?

博士 博士

腓骨神経は腓骨頭の外側を走る表在神経で、ベッドや装具で外側から圧迫されやすいのじゃ。長時間の圧迫で容易に麻痺するのじゃよ。

サクラ サクラ

どんな症状が出ますか?

博士 博士

下垂足、つまり足首を背屈できなくなる症状と、足背・第1〜2趾間の知覚低下が典型的じゃ。歩行に大きく影響するのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢を見ていきましょう。

博士 博士

正解は4の「母趾と第2趾間の知覚異常の有無を観察する」じゃ。第1趾間は深腓骨神経の支配領域じゃから、ここをチェックすれば早期発見できるのじゃ。

サクラ サクラ

1の大腿四頭筋訓練は?

博士 博士

これは筋力低下予防や歩行能力回復のために必要じゃが、腓骨神経麻痺予防が直接の目的ではないのじゃ。

サクラ サクラ

2の「外旋位に固定」はどうですか?

博士 博士

逆効果じゃ。外旋すると腓骨頭がベッドに押し付けられて圧迫されやすくなるからのう。回旋中間位、軽度外転中間位が正解じゃ。

サクラ サクラ

3の弾性ストッキングは?

博士 博士

これは深部静脈血栓症予防のためで、腓骨神経麻痺予防ではないのじゃ。目的が違うのじゃよ。

サクラ サクラ

人工骨頭置換術では脱臼予防もありますよね?

博士 博士

そうじゃ。後方アプローチなら股関節屈曲90度以上、内転、内旋を避けるのが原則じゃ。脱臼肢位の禁忌動作を覚える必要があるのじゃ。

サクラ サクラ

腓骨頭の圧迫を避ける工夫は?

博士 博士

腓骨頭部に枕やタオルを当ててベッドから直接圧迫されないようにするのじゃ。下垂足になったら短下肢装具で対応することもあるのじゃよ。

サクラ サクラ

知覚観察と肢位管理が両輪なんですね。

博士 博士

その通りじゃ。観察と予防的体位の両方で麻痺を未然に防ぐのが看護の腕じゃぞ。

POINT

腓骨神経は腓骨頭外側を走る表在神経で、人工骨頭置換術後はベッドや体位による圧迫で麻痺を起こしやすくなります。母趾と第2趾間の知覚異常は深腓骨神経麻痺の早期所見で、観察により早期発見が可能です。回旋中間位の保持と腓骨頭部の圧迫回避が予防の基本となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:大腿骨転子部骨折(trochanteric fracture)のため人工骨頭置換術を行った。 術後の腓骨神経麻痺予防のための看護で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。腓骨神経は腓骨頭の外側を走行する表在神経で、外側からの長時間圧迫やギプス・装具・体位による圧迫で容易に麻痺を起こします。麻痺が生じると下垂足、足背・第1〜2趾間の知覚低下、足関節背屈困難が現れます。人工骨頭置換術後は患肢を回旋中間位(軽度外転位)に保持し、腓骨頭部の圧迫を避ける工夫とともに、母趾と第2趾間の知覚異常を観察することで早期発見・対応につなげます。

選択肢考察

  1. × 1.  大腿四頭筋訓練を実施する。

    大腿四頭筋訓練は廃用予防・膝伸展力維持・歩行能力回復のために重要ですが、目的は筋力低下予防であり腓骨神経麻痺予防が直接の目的ではありません。

  2. × 2.  患側下肢を外旋位に固定する。

    外旋位では腓骨頭がベッドに圧迫されやすく、かえって腓骨神経麻痺のリスクが高まります。人工骨頭置換術後の脱臼予防の観点からも回旋中間位とします。

  3. × 3.  患側下肢に弾性ストッキングを着用する。

    弾性ストッキングは深部静脈血栓症(DVT)予防のために術後に着用するもので、腓骨神経麻痺予防が目的ではありません。

  4. 4.  患側下肢の母趾と第2趾間の知覚異常の有無を観察する。

    母趾と第2趾間(第1趾間)は腓骨神経(深腓骨神経)の支配領域で、ここの知覚異常は腓骨神経麻痺の早期所見として重要です。観察により早期発見・対応が可能となります。

人工骨頭置換術(後方アプローチ)後は脱臼予防として、股関節屈曲90度以上・内転・内旋を避ける肢位制限が必要です。腓骨神経麻痺予防には腓骨頭部に枕やタオルを当ててベッドからの直接圧迫を避ける、患肢を軽度外転中間位に保つ、足関節背屈運動の確認を行います。下垂足が生じた場合は短下肢装具の使用が必要となることがあります。

腓骨神経の解剖と支配領域、人工骨頭置換術後の体位管理を理解しているかを問う問題です。腓骨頭の圧迫回避と母趾・第2趾間の知覚観察が予防の核心です。