高齢者うつ病の特徴を学ぼう
看護師国家試験 第103回 午前 第58問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
国試問題にチャレンジ
高齢者のうつ病(depression)の説明で正しいのはどれか。
- 1.電気けいれん療法は行わない。
- 2.認知症との区別はつきやすい。
- 3.三環系抗うつ薬を第一選択薬とする。
- 4.若年者と比べて身体症状の訴えが多い。
対話形式の解説
博士
今日は高齢者のうつ病の特徴を考えるぞ。
アユム
どの選択肢が正解ですか?
博士
4の身体症状の訴えが多いが正解じゃ。気分の落ち込みより頭痛・倦怠感・食欲低下などが前景に立つ「仮面うつ」が特徴じゃ。
アユム
1の電気けいれん療法は行わないは?
博士
重症例や自殺企図がある場合は高齢者でもmECTが行われるのじゃ。
アユム
2の認知症との区別はつきやすいですか?
博士
いや、仮性認知症と呼ばれるほど鑑別は困難じゃ。専門医でも難しい。
アユム
3の三環系抗うつ薬を第一選択は?
博士
抗コリン作用で便秘・尿閉・認知機能低下・不整脈などが強く出るから高齢者には不向きで、SSRIやSNRIが第一選択じゃ。
アユム
高齢者うつのリスク因子は?
博士
配偶者の死別、退職、慢性疾患、社会的孤立などの喪失体験じゃ。
アユム
認知症との鑑別ポイントは?
博士
発症の急性さ、本人の訴えの存在、日内変動、抑うつ気分の有無などじゃ。
アユム
治療の進め方は?
博士
副作用に注意して少量から漸増し、重症ならmECTも検討する。
アユム
看護で気をつけることは?
博士
自殺念慮の評価、社会的孤立の解消、生活リズムの再構築が大切じゃ。
アユム
早期発見が大切ですね。
博士
身体症状の訴えに隠れたうつのサインを見逃さないことじゃ。
POINT
高齢者うつ病は気分の落ち込みより身体症状の訴えが多い「仮面うつ」が特徴で、認知症との鑑別が困難です。三環系抗うつ薬は副作用が強いためSSRI/SNRIが第一選択で、重症例ではmECTも選択肢となります。看護では自殺念慮の評価と社会的孤立への介入が鍵です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:高齢者のうつ病(depression)の説明で正しいのはどれか。
解説:正解は4です。高齢者のうつ病は若年者と比べて気分の落ち込みや悲哀感の訴えが目立たず、頭痛・肩こり・倦怠感・食欲低下・不眠・便秘などの不定愁訴や身体症状の訴えが多くなる「仮面うつ」の特徴を示します。さらに集中力低下や記銘力低下を伴い認知症との鑑別が困難となります。
選択肢考察
-
× 1. 電気けいれん療法は行わない。
重症うつ病や自殺企図、薬物治療が無効な場合には高齢者でも修正型電気けいれん療法(mECT)が選択され、年齢制限はありません。
-
× 2. 認知症との区別はつきやすい。
高齢者うつ病は記銘力低下や意欲低下を伴い「仮性認知症」とも呼ばれ、認知症との鑑別は専門医でも困難です。
-
× 3. 三環系抗うつ薬を第一選択薬とする。
三環系抗うつ薬は抗コリン作用による口渇、便秘、尿閉、認知機能低下、起立性低血圧、不整脈などの副作用が高齢者に強く出るため避けるべきで、SSRIやSNRIが第一選択です。
-
○ 4. 若年者と比べて身体症状の訴えが多い。
高齢者うつ病は仮面うつとして現れ、抑うつ気分よりも身体症状や不定愁訴が前景に立ち、内科を受診することも多い特徴があります。
高齢者うつ病は喪失体験(配偶者死別、退職、健康喪失)、慢性疾患、社会的孤立がリスク因子です。仮性認知症との鑑別ポイントは、発症の急性さ、本人の自覚や訴え、抑うつ気分の存在、日内変動、既往歴などです。治療はSSRI/SNRIが中心で副作用に注意して少量から漸増します。重症例ではmECTも有効です。看護では自殺念慮の評価と社会的孤立への介入が重要です。
高齢者うつ病の臨床的特徴と治療の留意点を理解しているかを問う問題です。
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