認知症高齢者との対話の基本
看護師国家試験 第108回 午後 第50問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
国試問題にチャレンジ
認知症高齢者との対話で適切なのはどれか。
- 1.表情を見せながら話す。
- 2.高齢者の横から話しかける。
- 3.会話の内容を記憶しているか確認する。
- 4.言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。
対話形式の解説
博士
今日は認知症高齢者との対話の留意点について考えよう。
アユム
認知症の方って会話が難しいイメージがあります。
博士
記憶や言語理解が低下しておるから、言葉だけのコミュニケーションには限界があるんじゃ。だからこそ非言語的な要素が重要になるんじゃよ。
アユム
正解はどれですか?
博士
1の表情を見せながら話す、が正解じゃ。
アユム
表情がそんなに大事なんですか?
博士
そうじゃ。言語理解が低下しても感情は伝わるからな。笑顔や穏やかな表情は安心感と信頼感を生み、ケアの基本姿勢なんじゃ。
アユム
2の横から話しかけるのはなぜダメなんですか?
博士
視野外からの声は驚きや混乱を招くんじゃ。加齢性難聴や視野狭窄もあるから、正面から目線を合わせて存在を示してから話すのが基本じゃよ。
アユム
3の記憶を確認するのもダメですね。
博士
記憶を試す質問は「できない自分」を意識させて自尊心を傷つけ、不安や抑うつ、BPSDを引き起こしやすいんじゃ。
アユム
じゃあ何を話題にすればいいですか?
博士
今の感情や体験を共有する姿勢じゃ。「気持ちいいですね」「美味しそうですね」など、いまここの感覚を言葉にするとよいぞ。
アユム
4の思い出すまで待つのは?
博士
ある程度待つのは大事じゃが、長すぎる沈黙は焦りを生むんじゃ。文脈から「○○のことですか?」と選択肢を示したり、簡単な言葉で補うことも必要じゃ。
アユム
認知症ケアの代表的技法って何がありますか?
博士
ユマニチュードが有名じゃな。「見る・話す・触れる・立つ」の4つの柱で、BPSD軽減効果が報告されておる。
アユム
他にも技法はありますか?
博士
バリデーション療法、パーソンセンタードケア、回想法などじゃ。いずれも本人の人格と尊厳を尊重する姿勢が共通しておる。
アユム
話し方のコツはありますか?
博士
短く具体的な言葉、ゆっくりした口調、一度に一つずつの指示が原則じゃ。長文や抽象的な説明は混乱を招くぞ。
アユム
BPSDへの影響も大きいんですね。
博士
そうじゃ。対応次第で不穏や興奮が減ることも多い。コミュニケーションこそ最良のケアと言われる所以じゃ。
アユム
対話の基本がよく分かりました。
POINT
認知症高齢者との対話では、表情を含む非言語コミュニケーションが最も重要です。正面から目線を合わせ、穏やかな表情と短く具体的な言葉でゆっくり話しかけることで信頼関係を築きます。記憶を試す質問や長時間の沈黙は自尊心を傷つけBPSDを誘発するため避けます。ユマニチュードなどの技法が有効で、人格尊重の姿勢が根底にあります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:認知症高齢者との対話で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。認知症高齢者は言語理解力や記憶力が低下するため、言葉だけでなく表情・視線・ジェスチャー・トーンなどの非言語的コミュニケーションが重要になります。正面から目線を合わせ、穏やかな表情を見せながら話すことで安心感を与え、信頼関係の構築と不安軽減につながります。
選択肢考察
-
○ 1. 表情を見せながら話す。
表情は最も強力な非言語メッセージで、笑顔や穏やかな表情は認知症高齢者に安心感と信頼感を与えます。言語理解が低下しても感情は伝わるため、ケアの基本姿勢として推奨されます。
-
× 2. 高齢者の横から話しかける。
横からや後ろからの声かけは視野外からの刺激となり、驚きや不安、混乱を招きます。加齢性難聴や視野狭窄もあるため、正面から視線を合わせ、存在を示してから話しかけるのが基本です。
-
× 3. 会話の内容を記憶しているか確認する。
記憶を試すような確認は本人の自尊心を傷つけ、「できない自分」を意識させて不安や抑うつ、BPSDを誘発する恐れがあります。記憶の有無を問うより、今の感情や体験を共有する姿勢が大切です。
-
× 4. 言葉が出てこない時は思い出すまで待ち続ける。
過度な沈黙の継続は本人に焦りや自尊心の傷つきをもたらします。適度に待ちつつも、文脈から内容を察して選択肢を示したり、簡単な言葉で確認するなど柔軟な援助が必要です。
認知症ケアの代表的技法にユマニチュードがあります。これは「見る」「話す」「触れる」「立つ」を4つの柱とし、正面から目線を合わせ、ポジティブに語りかけ、優しく触れるケアで、BPSD軽減効果が報告されています。他にバリデーション療法、パーソンセンタードケア、回想法なども実践されています。短く具体的な言葉、ゆっくりした口調、一度に一つずつの指示が基本原則です。
認知症高齢者との非言語コミュニケーションの重要性を問う問題です。自尊心保護と信頼関係構築の視点で対話を組み立てられるかが焦点です。
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