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一人暮らし認知症高齢者のリスクアセスメント

看護師国家試験 第108回 午前 第70問 / 老年看護学 / 高齢者の生活を支える看護

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第70問

Aさん(74歳、女性)は、1人暮らし。要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIa。頻尿のため、自室からトイレへの移動中に廊下で失禁することが頻繁にある。1日3食の高齢者向け配食サービスを利用している。 現時点でのAさんの日常生活で最も起こりやすいのはどれか。

  1. 1.窒息
  2. 2.転倒
  3. 3.熱傷
  4. 4.徘徊

対話形式の解説

博士 博士

今日は事例問題じゃ。74歳のAさんは一人暮らし、要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度IIa、頻尿でトイレ移動中に廊下で失禁が頻繁。配食サービスを利用しておる。

アユム アユム

博士、Aさんに最も起こりやすいのは何でしょう?

博士 博士

正解は2番「転倒」じゃ。これは複数の要因が重なる典型的な転倒高リスク事例なんじゃ。

アユム アユム

どんな要因がありますか?

博士 博士

整理するとこうじゃ。①74歳の高齢、②一人暮らしで見守りなし、③要介護1の身体機能低下、④認知症で判断力低下、⑤頻尿で頻回にトイレ移動、⑥切迫感で急ぐ心理、⑦失禁による床の濡れで滑りやすい、といった複数のリスクが重なっておる。

アユム アユム

選択肢1の「窒息」はどうですか?

博士 博士

窒息リスクは嚥下機能低下や食事中のむせが重要な背景因子じゃ。しかし本事例には嚥下の情報がなく、配食サービス利用のみでは最も起こりやすいとは言えないんじゃ。

アユム アユム

選択肢3の「熱傷」は?

博士 博士

Aさんは1日3食の配食サービスを利用しておる。つまり自分でコンロを使って調理する機会がほとんどない。熱傷リスクは相対的に低いと判断できるんじゃ。

アユム アユム

選択肢4の「徘徊」は?

博士 博士

これは認知症高齢者の日常生活自立度の理解が重要じゃ。IIaは「家庭外で日常生活に多少の支障が出るが、誰かが注意していれば自立できる」段階じゃ。徘徊はIIIa以上で顕在化する行動症状なんじゃ。

アユム アユム

日常生活自立度のランクについて詳しく教えてください。

博士 博士

Iは認知症だが自立、IIは多少の支障、IIIは支障が頻繁、IVは常時介護、Mは著しい精神症状等じゃ。IIaは家庭外で、IIbは家庭内でも症状が出るということじゃ。

アユム アユム

なるほど、IIaはまだ徘徊の段階ではないんですね。

博士 博士

その通り。IIaの段階では道に迷ったり買い物や金銭管理のミスが目立つ程度で、徘徊は起きにくいんじゃ。

アユム アユム

高齢者の転倒はどんな影響がありますか?

博士 博士

大腿骨近位部骨折につながれば、廃用症候群、寝たきり、ADL低下、認知症の進行という負の連鎖を招くことが多いんじゃ。

アユム アユム

予防策はどうすればいいですか?

博士 博士

環境整備が重要じゃ。夜間照明の確保、ポータブルトイレの活用、尿パッドの使用、廊下の手すり設置、床の段差解消、滑り止めマットなどじゃ。

アユム アユム

排尿管理も重要ですね。

博士 博士

そうじゃ。頻尿の原因は過活動膀胱、尿路感染、利尿薬の副作用などさまざまじゃ。原因検索と適切な治療・排尿誘導が転倒予防になるぞ。

アユム アユム

看護師はどう関わればいいですか?

博士 博士

訪問時にトイレ導線の安全確認、ポータブルトイレの提案、排尿パターンの把握、家族やケアマネとの連携で生活環境全体を整えることが重要じゃ。

アユム アユム

事例情報を複合的にアセスメントすることが大切なんですね。

博士 博士

まさにその通り。高齢者看護では単一のリスクだけでなく、複数要因の相互作用を見る視点が求められるぞ。

POINT

一人暮らし・要介護1・認知症IIaで頻尿・失禁のあるAさんは、頻回なトイレ移動と床の濡れが重なり転倒リスクが最も高い事例です。配食サービス利用で熱傷リスクは低く、IIaでは徘徊は通常みられず、嚥下情報がないため窒息と判断する根拠も薄い状況です。高齢者の転倒は骨折から寝たきりへの連鎖を招くため、環境整備・排尿管理・多職種連携による総合的予防が重要です。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aさん(74歳、女性)は、1人暮らし。要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IIa。頻尿のため、自室からトイレへの移動中に廊下で失禁することが頻繁にある。1日3食の高齢者向け配食サービスを利用している。 現時点でのAさんの日常生活で最も起こりやすいのはどれか。

解説:正解は 2 です。Aさんは74歳一人暮らし、要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度IIa(家庭外で多少の支障)、頻尿でトイレへの移動中に廊下で失禁が頻繁という状況から、急いで移動することや失禁による尿で滑ることなどが重なり、転倒のリスクが最も高いと判断できます。

選択肢考察

  1. × 1.  窒息

    窒息は嚥下機能低下や食事中のむせ込みが重要な背景因子ですが、本事例では嚥下機能に関する情報がなく、配食サービス利用のみでは窒息リスクが最も高いとは言えません。

  2. 2.  転倒

    頻尿による頻回なトイレ移動、排尿切迫感で急ぐ心理、廊下での失禁による床の濡れ、高齢・一人暮らし・要介護1という背景が重なり、転倒リスクが最も高い状態です。大腿骨近位部骨折につながれば寝たきりの契機となります。

  3. × 3.  熱傷

    Aさんは1日3食の配食サービスを利用しており、コンロ使用などの調理機会がほとんどないため、熱傷リスクは相対的に低いと判断されます。

  4. × 4.  徘徊

    認知症高齢者の日常生活自立度IIaは「日常生活に支障をきたす症状・行動が多少みられるが、誰かが注意していれば自立できる」状態で、家庭外で見られる段階です。徘徊はランクIIIa以上で顕在化する行動で、IIaでは通常みられません。

認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はI(何らかの認知症だが日常生活自立)、II(多少の支障あり)、III(日常生活に支障をきたす症状・行動、意思疎通困難が頻繁)、IV(常に介護を要する)、M(著しい精神症状等で専門医療必要)に分類されます。IIaは家庭外で、IIbは家庭内でも症状がみられる段階です。高齢者の転倒は大腿骨近位部骨折→廃用症候群→寝たきり・ADL低下の連鎖を招くため、夜間照明、ポータブルトイレの活用、尿パッド使用、手すり設置など環境整備が重要です。

認知症・要介護状態の一人暮らし高齢者における生活上のリスクを、提示された情報から適切にアセスメントできるかを問う事例問題です。