高齢者虐待防止法の措置先、特別養護老人ホームが答えの理由
看護師国家試験 第109回 午後 第35問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会福祉の基本
国試問題にチャレンジ
高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉で、措置された高齢者が入所する社会福祉施設はどれか。
- 1.有料老人ホーム
- 2.特別養護老人ホーム
- 3.高齢者生活福祉センター
- 4.サービス付き高齢者向け住宅
対話形式の解説
博士
今回は高齢者虐待防止法における措置入所先についてじゃ。国試では法制度の細部まで問われるから、きちんと整理しておくぞ。
サクラ
高齢者虐待防止法って、いつできた法律ですか?
博士
2005年に成立し、2006年4月に施行された比較的新しい法律じゃ。正式名称は「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」という。
サクラ
養護者への支援も含まれるんですね。
博士
そこが重要な特徴じゃ。虐待する養護者も、介護疲れやストレスで追い詰められているケースが多い。単に処罰するのではなく、介護負担軽減や相談支援で家族ごと支える視点が組み込まれておる。
サクラ
虐待にはどんな種類があるんですか?
博士
身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待、そして介護・世話の放棄放任(ネグレクト)の5類型じゃ。とくに経済的虐待は年金搾取など、外から見えにくい形で起こりやすい。
サクラ
虐待を見つけたらどうすればいいんですか?
博士
医療・介護従事者は、生命・身体に重大な危険がある場合は市町村への通報義務、それ以外は努力義務がある。通報先は市町村または地域包括支援センターじゃ。守秘義務より通報義務が優先される点もポイントじゃな。
サクラ
措置って具体的に何をするんですか?
博士
措置とは、市町村の判断で養護者から引き離して一時的に保護することじゃ。老人福祉法の「やむを得ない事由による措置」として、契約を介さず行政権限で入所させることができる。
サクラ
どの施設に措置入所できるんですか?
博士
対象は訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、そして施設入所としての「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」じゃ。
サクラ
だから選択肢2の特別養護老人ホームが正解なんですね。
博士
そうじゃ。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は自己契約による入居で、措置制度の対象外じゃ。
サクラ
高齢者生活福祉センターは違うんですか?
博士
違う。あれは地域の高齢者の相談や交流の拠点であって、措置入所の受け入れ施設ではない。名前が紛らわしいから注意じゃな。
サクラ
特別養護老人ホームの入所要件は何ですか?
博士
原則として要介護3以上で、常時介護が必要な高齢者が対象じゃ。ただし虐待の措置入所や特例入所では要件が緩和されることがある。
サクラ
養護者への支援はどんな形で提供されるんですか?
博士
介護負担軽減のためのレスパイトケア(短期入所)、経済的支援、心理的相談、介護教室などじゃ。家族を責めるのではなく、支えることで虐待を減らすというのがこの法律の大切な理念なのじゃ。
POINT
高齢者虐待防止法は2006年施行で、養護者または要介護施設従事者等による高齢者虐待を防止し早期発見と養護者支援を目的とする法律です。虐待で生命・身体に重大な危険がある場合、市町村は老人福祉法に基づく「やむを得ない事由による措置」により一時保護し、訪問介護や短期入所、特別養護老人ホームなどへ入所させることができます。特別養護老人ホームは介護老人福祉施設として措置対象となる一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は自己契約による入居のため対象外です。看護師は虐待の5類型を理解し、兆候を発見した場合には地域包括支援センターへの通報義務を果たすとともに、養護者の介護負担軽減も視野に入れた包括的な支援の一翼を担うことが求められる重要な法律です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉で、措置された高齢者が入所する社会福祉施設はどれか。
解説:正解は 2 です。高齢者虐待防止法(2006年施行)は、養護者または要介護施設従事者等による高齢者虐待を防止し、早期発見と養護者支援を目的とする法律である。第9条では、虐待により生命・身体に重大な危険が生じている高齢者を一時的に保護するため、老人福祉法の「やむを得ない事由による措置」を講じることが定められている。この措置によって利用できるサービスは、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、そして施設入所としての特別養護老人ホームである。
選択肢考察
-
× 1. 有料老人ホーム
老人福祉法に規定される民間事業者が運営する施設で、介護付き・住宅型・健康型に分類される。自己契約による入居が基本で、市町村による措置入所の対象ではない。
-
○ 2. 特別養護老人ホーム
老人福祉法上の「介護老人福祉施設」にあたり、措置制度による入所が可能な施設として高齢者虐待防止法の保護先に該当する。原則要介護3以上が対象で、常時介護が必要な高齢者を受け入れる。
-
× 3. 高齢者生活福祉センター
地域の高齢者に居住・介護支援・交流の機能を総合的に提供する施設だが、高齢者虐待防止法による措置入所の対象施設ではない。
-
× 4. サービス付き高齢者向け住宅
高齢者住まい法に基づく登録制度の賃貸住宅で、安否確認と生活相談サービスが付帯する。自己契約による居住形態であり、措置制度の対象ではない。
高齢者虐待には身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待、介護・世話の放棄放任(ネグレクト)の5類型がある。医療・介護従事者は虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合、市町村への通報義務(身体・生命に危険がある場合)または努力義務がある。通報先は市町村または地域包括支援センター。養護者支援として、介護負担の軽減(レスパイトケアや短期入所)、経済的支援、心理的相談なども法の重要な柱となっている。
高齢者虐待防止法において、緊急時に措置入所できる老人福祉法上の施設を問う問題。措置制度の対象施設の暗記が必要。
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