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介護福祉士が実施できる医行為 喀痰吸引と経管栄養の法改正ポイント

看護師国家試験 第112回 午後 第34問 / 健康支援と社会保障制度 / 健康を支える職種に関する法や施策

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第34問

介護保険法と社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、介護福祉士が一定の条件を満たす場合に実施できる医行為はどれか。

  1. 1.摘便
  2. 2.喀痰吸引
  3. 3.血糖測定
  4. 4.インスリン注射

対話形式の解説

博士 博士

今日は介護福祉士による医行為の話じゃ。原則として医行為は医師・看護師など有資格者の独占業務だが、2012年から一部例外が認められるようになったのじゃ。

アユム アユム

え、介護福祉士さんが医療行為をできるんですか?

博士 博士

正確には「医行為のうち喀痰吸引と経管栄養に限り」「所定の研修を修了」かつ「都道府県知事の認定」を受けた場合のみじゃ。条件が厳密にセットされておる。

アユム アユム

なぜそんな法改正が行われたんですか?

博士 博士

背景には在宅医療・介護の拡大と、喀痰吸引等を必要とする利用者の増加があった。看護職だけでは在宅や施設の24時間体制を支えきれず、グレーゾーンのまま介護職員が実施していた実態を法的に整備したのじゃ。

アユム アユム

喀痰吸引は具体的にどこを吸引できるんですか?

博士 博士

口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部の3か所じゃ。気管カニューレよりさらに奥の気管内吸引は含まれないので注意するのじゃ。

アユム アユム

経管栄養はどうですか?

博士 博士

胃瘻・腸瘻、経鼻経管栄養の注入が可能じゃ。ただし胃瘻チューブの交換や位置確認は介護福祉士の業務ではなく、看護職が行う必要がある。

アユム アユム

摘便はどうですか?便塞栓が詰まったら介護職がやってもいい気がしますが。

博士 博士

だめじゃ。摘便は医行為に該当し、介護福祉士には認められておらん。便秘や便塞栓は看護師が対応する。

アユム アユム

血糖測定は?

博士 博士

穿刺を伴う血糖測定は医行為で介護福祉士は実施不可。ただし利用者自身や家族が実施するのを介助することはできる。

アユム アユム

インスリン注射は?

博士 博士

注射はすべて医行為で、例外なく介護福祉士は実施できん。看護師が行うか、患者自身による自己注射を支援する形になる。

アユム アユム

研修の内容はどんなものですか?

博士 博士

基本研修50時間の講義・演習と、実地研修を修了する必要がある。看護師が指導看護師として関わることも多く、他職種連携の場でもあるのじゃ。

アユム アユム

介護職がどこまでできるかを看護師が把握していないと、連携がうまくいきませんね。

博士 博士

その通り。法改正の背景と現場の実態を理解し、役割分担を明確にしつつ協働することが看護管理者にも求められるのじゃ。

POINT

2012年施行の社会福祉士及び介護福祉士法改正により、所定の喀痰吸引等研修を修了し都道府県知事の認定を受けた介護福祉士は、医師の指示と看護職との連携のもと、喀痰吸引と経管栄養を実施できるようになりました。喀痰吸引の対象部位は口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部に限られ、経管栄養は胃瘻・腸瘻・経鼻経管の注入が可能です。摘便、血糖測定、注射などその他の医行為は介護福祉士には認められていません。これは在宅・施設における医療的ケアのニーズ増大を背景にした制度整備で、看護師は指導看護師として研修に関わり、現場では役割分担と連携の中心的な役割を担います。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:介護保険法と社会福祉士及び介護福祉士法に基づき、介護福祉士が一定の条件を満たす場合に実施できる医行為はどれか。

解説:正解は 2 です。2011年(平成23年)の社会福祉士及び介護福祉士法の改正(2012年4月施行)により、一定の研修(喀痰吸引等研修)を修了し都道府県知事の認定を受けた介護福祉士等は、医師の指示のもとで喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃瘻・腸瘻・経鼻経管)を業として実施できるようになった。

選択肢考察

  1. × 1.  摘便

    摘便は医行為に該当し、介護福祉士には認められていない。便塞栓の除去は看護師など医療者の業務で、介護職員が勝手に行うことはできない。

  2. 2.  喀痰吸引

    研修修了と都道府県知事認定を受けた介護福祉士は、医師の指示と看護職との連携のもとで口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引が可能。在宅や施設の療養生活を支える重要な制度である。

  3. × 3.  血糖測定

    持続皮下グルコース測定器の装着補助は認められる場合があるが、穿刺を伴う血糖測定は医行為として介護福祉士には認められていない。

  4. × 4.  インスリン注射

    注射はすべて医行為であり、介護福祉士が実施することは法律で認められていない。医師または看護職が行う業務である。

喀痰吸引等研修は基本研修(講義50時間+演習)と実地研修から構成され、第1号(不特定多数の利用者)、第2号(不特定多数、気管カニューレ内吸引除く)、第3号(特定の者を対象)の3区分がある。高齢者や神経難病患者の在宅療養・施設療養を支える重要な仕組みで、看護師は指導的立場として関わる。なお2023年度から特別養護老人ホーム等の配置医不在時の看取りに関する運用も見直されている。

介護福祉士が法改正により実施可能となった医行為を問う問題。喀痰吸引と経管栄養の2つだけが研修修了者に認められている点を覚える。