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心拍出量を決める4つの因子

看護師国家試験 第111回 午前 第26問 / 人体の構造・機能 / 循環器系

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第26問

正常な心臓で心拍出量が減少するのはどれか。

  1. 1.心拍数の増加
  2. 2.大動脈圧の上昇
  3. 3.静脈還流量の増加
  4. 4.心筋収縮力の上昇

対話形式の解説

博士 博士

今日は循環の基本、心拍出量じゃ。心拍出量はどうやって計算するかな?

アユム アユム

「1回拍出量×心拍数」ですよね。成人で安静時は約5L/分と習いました。

博士 博士

そのとおり。そしてそれを決定する因子は前負荷、後負荷、心収縮力、心拍数の4つじゃ。この問題で減少させるのは何番かな?

アユム アユム

大動脈圧の上昇…選択肢2です。

博士 博士

正解じゃ。大動脈圧が上がると左心室は血液を送り出す際に強い抵抗にぶつかる。これを後負荷の増大というのじゃ。

アユム アユム

後負荷が増えると拍出量は減るんですね。

博士 博士

そうじゃ。さらに大動脈や頸動脈洞にある圧受容器が興奮して副交感神経を介して心拍数を下げるから、心拍数の面からも心拍出量が減少するのじゃ。

アユム アユム

選択肢1の心拍数増加はどうでしょう?

博士 博士

心拍数が増えれば単純計算で心拍出量は増加する。ただし極端な頻脈(例えば毎分180回以上)になると拡張期の心室充満時間が短くなって1回拍出量が減り、結果的に心拍出量が下がることもあるのじゃ。正常範囲では増加じゃ。

アユム アユム

選択肢3の静脈還流量増加は?

博士 博士

静脈還流量が増えると心室がより拡張して心筋が伸展される。これが前負荷の増大じゃ。フランク・スターリングの法則により、心筋は引き伸ばされるほど強く収縮し1回拍出量が増えるのじゃ。

アユム アユム

フランク・スターリングの法則ですね。輸液量や循環血液量の変化と関係しますか?

博士 博士

そのとおり、輸液によって前負荷を増やすことで心拍出量を増やすのが循環管理の基本じゃ。ただし心不全では過剰輸液は肺水腫につながるから注意が必要じゃぞ。

アユム アユム

選択肢4の心筋収縮力の上昇は?

博士 博士

収縮力が上がれば拍出量も増える。交感神経刺激やカテコラミン(ドパミン、ドブタミン、アドレナリンなど)は陽性変力作用により収縮力を高めるのじゃ。

アユム アユム

逆に収縮力が下がるのは?

博士 博士

β遮断薬や心不全、心筋梗塞などで下がる。心不全治療では前負荷・後負荷・収縮力を総合的に調整するのじゃ。

アユム アユム

後負荷を下げる薬にはどんなものがありますか?

博士 博士

ACE阻害薬、ARB、血管拡張薬などじゃ。高血圧や心不全治療で後負荷軽減は重要な戦略じゃよ。

アユム アユム

4因子をしっかり整理すると、循環のいろいろな場面で応用できそうです。

博士 博士

そのとおり、心機能を考える時は常に前負荷・後負荷・収縮力・心拍数のどこに異常があるかを意識するのじゃ。

アユム アユム

今回は「後負荷増加=心拍出量減少」を覚えます!

博士 博士

その調子じゃ。循環は看護観察の根幹じゃから、基本生理を押さえておくのじゃよ。

POINT

心拍出量は1回拍出量×心拍数で決まり、前負荷・後負荷・収縮力・心拍数の4因子で調節されます。大動脈圧上昇は後負荷増大となり左室駆出を妨げ、さらに圧受容器反射で心拍数も低下させるため心拍出量が減少します。一方、心拍数増加・静脈還流量増加(前負荷増)・心筋収縮力上昇はいずれも心拍出量を増やす方向に働きます。フランク・スターリングの法則は循環管理の基本として押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:正常な心臓で心拍出量が減少するのはどれか。

解説:正解は 2 です。心拍出量は「1回拍出量×心拍数」で決まります。大動脈圧が上昇すると左心室が血液を拍出する際の後負荷が増加し、心室からの血液駆出が妨げられるため1回拍出量が減少し、結果として心拍出量が減少します。また大動脈圧上昇は圧受容器反射を介して副交感神経を刺激し、心拍数を低下させる作用もあります。

選択肢考察

  1. × 1.  心拍数の増加

    心拍数の増加は心拍出量を増やす方向に働きます。ただし極端な頻脈では拡張期充満が不十分となり低下することもありますが、正常範囲では増加します。

  2. 2.  大動脈圧の上昇

    大動脈圧上昇は後負荷増大により左室駆出を妨げ、1回拍出量を減少させます。圧受容器反射による心拍数低下も加わり心拍出量は減少します。

  3. × 3.  静脈還流量の増加

    静脈還流量増加は前負荷の増大となり、フランク・スターリングの法則により心筋が伸展されて1回拍出量が増加します(心拍出量は増加)。

  4. × 4.  心筋収縮力の上昇

    心筋収縮力の上昇は1回拍出量を増やし心拍出量を増加させます。交感神経刺激やカテコラミンによって生じる陽性変力作用の代表例です。

心拍出量を決める因子は前負荷(静脈還流量)、後負荷(大動脈圧や末梢血管抵抗)、心収縮力、心拍数の4つです。フランク・スターリングの法則では前負荷の増加で1回拍出量が増え、逆に後負荷の増加は拍出量を減らします。成人の安静時心拍出量は約5L/分です。

心拍出量を決定する4因子(前負荷・後負荷・収縮力・心拍数)の関係と、後負荷増大が心拍出量を減らすメカニズムを問う問題です。